今年のノーベル化学賞が、北海道大名誉教授の鈴木章博士、米パデュー大特別教授の根岸英一博士と、米国人研究者の3人に贈られることが決まりました。
遅まきながらお二人にお祝いを申し上げます。
当然のように新聞やテレビでこのことを取り上げお二人の意見やこれに関連する問題を取り上げています。
その問題点について、読売新聞社説、朝日新聞社説と産経「週刊・中田宏」の三つから拾ってみました。
・若手研究者の「内向き志向」
ほとんど海外に行かず、国内だけで研究の道を歩む例が増えている。
米国の大学で博士号を得る外国人学生の出身国の割合は、中国の約30%、韓国の約10%、日本は約2%
この理由をマスコミは所謂草食系男子の発生と結びつけていることが多いようです。
戦後から今まで日本の女子が強くなったのは良いとして、男の子が優しく弱々しくなって来たのを見てきました。
その一番の原因は勿論男女平等の教育は良いのですが、その一方男には男の良い所、女子には女子の良い所があるのは当然なのに、それを活かす教育は差別だとして避けて来られたようで、その悪い方の効果が特に男の子に現れたような気がします。
それともう一つの原因は良く言われる悪平等の教育と、戦前では多くの家庭では高嶺の花だった高校全入の傾向(これも良い方向ですが)です。
これが児童・生徒の競争意欲を失わせる原因になりました。
良くマスコミで取り上げられるように、将来の希望を問われても「別に」と答える生徒が増えて来ました。
社会に出ればグローバル化で厳しい競争が待ち受けているのに。
横並び教育、生徒より教師の権利優先、ゆとり教育を推進する日教組出身の輿石さんを参議院会長に頂く民主党政府に、まともな初等教育改革が出来るでしょうか。
・ノーベル賞受賞の根岸氏:「私は日本の(悪名高い)受験地獄の支持者だ」、その理由は、高度な研究になればなるほど、「基本が大事になるから」。
私も同じ意見です。然し今は「AO・推薦入試」という名の元で大学では当然の学力に特別の才能を持つべき人を発掘する本旨から外れて、単なる人集めの手段として使われていると言う話しもあり、学力低下に繋がっていると中教審では心配しているそうです。
・日本の大学の国際評価の低下
今年の「世界大学ランキング」では最高の東京大が26位で、昨年までのアジア首位の座を21位の香港大に奪われた。上位200位に入る日本の大学の数も昨年の11校から5校に減った。
自民党政権のころから大学改革に色々やっている様ですが、なかなか効果が上がらないようです。
私が学生の頃教授の弟子が教授と違う学説を発表するのに匿名を使うなど苦労したと言う話しを聞いたことがありますが、今もそのような封建的の環境はどうなっているのでしょう。
外野から見れば、教育改革と言えば直ぐどこかの大学教授がその中心になる様ですが、多くの生徒がその最終目標にしているお膝元の大学の改革を教育改革の出発点とすべきと思うのですが。
・貧弱な科学予算
大学や政府系研究機関などでは運営予算が減り、若手研究者は安定した職を得にくくなっている。
対照的に欧米諸国は、科学技術への公的投資を増している。
事業仕分けでの研究への厳しい評価が、若い研究者の意欲をそいだことも指摘されている。
某テレビで米国の大学や一般の研究所の予算は日本の10~100倍近くに達していること、そのテーマも研究者の自由に任せるなど非常に研究の環境が良いこと。
然も企業は金持や企業からの研究に多額の寄付が寄せられせているそうです。
前にも書きましたが寄付による社会貢献の文化のない日本は政府からの財政支出に頼る他ないのですが、日本の企業や金持ちも米国の真似をしてはどうでしょう。
・国と企業の短期的な成果を求める風潮が強まる
じっくり腰を落ち着けて取り組む研究がしにくくなっている。
人材が重要といわれながら、博士号を取っても就職は厳しい。研究現場は若者たちが夢を持って飛び込んでいける場ではなくなりつつある。(それでも前に書いたように日本のに留まっています。)
企業の創業者のように長期的な視野も倫理観にも乏しいサラリーマン的な経営者が増えて、結局は目の前の利益優先、企業防衛で手一杯のようです。
これでは非常に難しい経済環境の中で勝ち抜くのは大変です。
・中田氏:「日本が戦略的に取り組んでいかなければならないのは、このような付加価値の高い先端分野だ」と指摘。
「安く高品質なものを作るというのは相対的な価値の競争。人件費の安い中国など新興国との比較で、日本はすでに優位ではない。日本にしかできない技術や発明を生かした商品や産業は『絶対的』な価値になりうる」
総合的に考えてみると、全ての点でもそうですが、科学技術の点からも日本政府は当然ですが、日本の企業や研究機関、国民ももう一度日本と言う視点に立って考えるべきだと思います。
特に政府は技術面からの戦略を構築し推進する必要があると思います。
何故なら各社の社説などに依らずとも、人的資源しかない日本はそれをを活かすほかないこと、そしてその結晶である技術立国の道しか無いことは明らかですから。
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