昨日の産経のWeb版に尖閣諸島問題に関する二つの記事が載っていました。
一つは石原慎太郎さんの尖閣、国家としての試練、もう一つは一つは イラン油田撤退、中国の覇権主義に翻弄 尖閣事件で米に負い目の記事です。
この中で米国の関与部分だけ拾ってみました。
石原さんの記事
今また尖閣を巡ってのアメリカの意向が厳しく質される時が来ている。尖閣周辺の領海領土に関しての中国の姿勢は我々を見くびった強引なもので、これがまかり通れば世界の秩序は簡単に崩れさる。日米安保を至上のものとしてきた日本にとっても、すべてアメリカ依存で過ごしてきた戦後の全てが総括されるべき時の到来ともいえる。アメリカは決して自らのいかなる犠牲においても日本の領土を守ることはありはしまい、いや守れまい。明らかな衰弱の傾向にあるアメリカにとって現時点での日米中の関係での中国の比重は著しく増しており、ヒラリーは日本を守ると見栄は切っても他の高官は両国とも慎重に話し合えと圧力をかけてき、日本政府は渡りに船とその言葉を押し頂き、なんと地方の一検事にゆだねて中国に屈してしまった。
・アメリカは、返還後に中国や台湾が尖閣での漁業権を巡って主張し始めた時、日本がハーグの国際裁判所で裁判にも持ち込もうとアメリカに協力を申し入れたがアメリカは何を思ん計ったか、尖閣は沖縄として日本に返還はしたが、それがいかなる国に属するかについてはアメリカは関与しないといいはなった。
産経の記事
国際石油開発帝石がイランのアザデガン油田から撤退する方針を固めた問題で、同油田の権益の大半が中国に譲渡されることが大きく影響したことが3日、関係者の話で分かった。イランへの制裁を強める米国は、日本政府に中国への譲渡を理由に撤退を要求。さらに米国が尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で日本支持を表明したことも負い目となり、撤退を余儀なくされた。
米政府は、7月に議会でイランと石油などエネルギー関連で取引のある企業を対象とした「イラン制裁強化法」が成立したのを受け、日本側に同油田からの撤退を求めてきた。7月中旬にコーエン米財務次官補が、8月上旬にはアインホーン米国務省調整官が来日し、意見交換をした。
交渉にかかわった関係者によると、日本側は当初、10%の権益は法案成立前に契約を結んでおり、制裁の対象外と主張し、権益維持の考えを伝えた。
これに対して米国側は、イランが同油田の権益のうち70%を中国の国有石油会社CNPCに譲渡することで合意し、年内にも契約する見通しであることを問題視。権益の枠組みが大きく変わるため、INPEXが権益の保持を続けた場合、「新たな投資」とみなしし、制裁の対象にするとの見解を示してきた。
これで思い出すのは石原さんの指摘した以外の米国の日本外交に及ぼす影響です。
・小泉さんが拉致家族の一部の日本帰国と言う(日本にしては珍しい?)自主外交の成果を上げかけたとき、北朝鮮の核疑惑が起こり米国主導の6ケ国協議に巻き込まれた。
・中東紛争の時は北朝鮮のミサイル発射が、自衛隊派遣の一つの理由になった。
・04年からイラン最大のアザデガン油田の開発事業を行っていた日本はイランの核疑惑で米国の圧力でその持ち株割合を順次減らしてきた。
ことを思い出します。
・そして今回の完全撤退です。
上記の報道に依れば、8月下旬に米ワシントンで事務レベルの協議が行われ、「相当激しい応酬があった」という。こうした日米間の交渉が続く中、尖閣事件をめぐり、日米外相会談でクリントン米国務長官が「日米安保条約が適用される」と述べ、日本支持を明確に表明したことが、結果として、撤退の流れを決定づけた。
と言うように尖閣諸島問題がイラン権益の消失にも影響しているのと指摘しています。
イランには私も駐在していたことがありますが、中東に多い親日国の一つであり、日本はイランと西側を繫ぐ役割もしてきたそうですし、核疑惑でも欧米より一歩引いて立場を取り、それなりの存在感を示していたそうですが、もうイランに対する日本の影響力は殆どなくなるのでしょうか。
これは平和国家日本が安全保障について、米国依存一本槍で進んできた結果です。 (勿論それに依り得る事も多いからそうしたし、しているでしょうが。)
今の米国は石原さんの指摘するように、米国の力はもうかってほどの力はないようですし、中国が力を伸ばしているのも現実です。
産経の報道に依ればイラン制裁と一歩引いている中国はイランの最大油田の権益を確保しかけています。
米国や中国のやり方に就いては勿論自国の利益優先でするのですから、日本として主張すべきところをするのは当然ですが、基本的には日本がどう対応するかに掛かっていると思います。
私は、尖閣諸島問題と米国の関与 でも触れましたが、06年の「その場凌ぎの政治を抜け出すために」で何度か米国や中国の情勢の変化に対応して、その時になって慌てないように日米関係の見直しを検討するシンクタンクを造ってはと書いてきました。
勿論その方向はどうあるべきかについては、自称、普通のおっさんの考え得る範囲外ですが、検討の必要があることだけは間違いはないようです。
もう今となっては手遅れですが、いざとなって慌てふためないように、もう一度この難しい問題に基本的かつ長期的な視野で取り組む機関を設置し、研究すべきと思うのですが。
今回は菅さんと中国の温家宝首相との廊下での会談で、建設的互恵関係に戻ろうと言う話しで何とか終わりそうな気配ですが、また同じようなことが起こるかも知れないのですから。
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