世の中、常ならぬことは
50年以上生きてきたら
よく分かっているはずなのに
また、悲しくなった。
人生を語っているのではない。
たかが、ファッション(洋服)のことだ。
バブル崩壊後、ご贔屓のアメトラ専門店が
倒産した。とても悲しかった。
体はどんどん太っていく。
服探しもどんどん難しくなっていく。
「服にからだを合わさなきゃ!」
かつてのご贔屓のショップの店長の言葉。
その店が無くなって、しばらく虚無状態。
洋服を買うというより、体に入るのを着てた。
ある日、百貨店のあるショップの責任者と目があった。
私好みの服が並んでいた。
セレクトショップが幅を利かせる
百貨店にあって
その百貨店のプロジェクトで
特別に立ち上げたコーナー。
百貨店が気に入ったブランドを仕入れ
その百貨店が買い取りで販売する方式。
おもしろいショップとなった。
すぐ、そのショップのとりこになった。
Lサイズの服に飛びついた。
そのショップの上顧客となった。
しかし、糖尿病が発覚し闘病の結果
体重は70㎏代から50㎏を割った。
ウエストも92cmから70cmとなった。
今までのすべての服は無駄となった。
2時間近くかかる、その百貨店のショップに
日参して、服に大枚をつぎ込む結果となった。
上顧客から、最高顧客となった。
私のために、特別にSサイズを仕入れてくれた。
服の好みもアメトラから、●●タイプに変わった。
しかし、その頃から百貨店の方針が変わった。
紳士服売り場はひたすら、アダルト嗜好の服の
売り場に変身していった。
贔屓のショップも、バイヤーが変わり
ずいぶんイメージが変わった。
スタッフもほとんど、変わった。
でも、昔からのスタッフが頑張ってくれて
そのショップ通いは続いた。
しかし、夏のバーゲンの時には
そのスタッフの姿もなかった。
しかし、好きなブランドはかろうじて
置いてあった。
先日、売り場から、優待のお知らせが届いた。
購入する服も決めて、店に向った。
しかし、売り場がない。
やっと見つけたら場所も一番隅に変わり
驚いたことに、私好みのブランドは
すべて姿を消していた。
百貨店のプロジェクト・ショップだったのに
かろうじて、ここにコーナーがありますヨ。
とでも言っているような案内ロゴ。
「masaringさんが、来たらきっと怒るわよ。」と
かつてのスタッフが言っていたと
今のスタッフが教えてくれた。
どうやら、百貨店紳士服売り場は
団塊の世代をターゲットにし始めたらしい。
つまらない服なのに、値段はびっくりするほど高い。
「年齢を重ねても、少年の心を忘れず
そんなファッションを追い求めている人も多いのに。」
とスタッフが愚痴っぽく慰めてくれた。
関西には、どうやら、もうそんな店はなさそうである。
9月の終わりには、また、
若者向けのファッションビルができる。
かつて、百貨店に入っていたブランドが並びそうだ。
でも、狙っていた写真のブルゾンとパンツは
そのファッションビルに置かれることはない。
もう、関西で買うことはできない。
関東まで買いに行くほど金持ちでもない。
全く、私ってほんとに変な奴だ。
「世の中の人は
生活のために、働いているんだ。
おまえは、何のために働いているんだ。」
と怒られる。
まだ、学生の子どももいることを
決して忘れてはいません。
嗚呼、無情!!