【青空に夾竹桃が映える。それでは桃源郷へ出発だ!】
いまから遡ること、8年前の1999年の夏。
まだ「コラボレーション」の言葉も一般的でなかった当時、
日本から全く新しいエンタテインメントショーが誕生した。
そう、『ユーミンスペクタクル シャングリラ』。
全国5大都市44公演約32万人の観客動員に成功した
コンサートとサーカスとシンクロナイズドスイミングの
コラボレーションという斬新なアイデアは、
日本のコンサート史上最高のショーと絶賛を浴びた。
2003年夏、今度はシンクロナイズドスイミングのプールが、
本物のアイスリンクに変わり、
氷上サーカスとコンサートという組み合わせで
『ユーミンスペクタクル シャングリラⅡ~氷の惑星~』が
約37万人の観客動員を果たした。
そして「シャングリラⅡ」は日本発の
スペクタクルショーとして海を渡り、
香港で初の海外公演に成功、世界に
通じる一流エンタテインメントの評価を得た。
そして2007年夏、再び伝説のスペクタクルショーが
帰ってきた。『ユーミンスペクタクル・シャングリラⅢ』は
ロシア最高峰のモスクワ国立サーカスを新たに招き、
『シャングリラ』で好評を博したプールステージを
観客から近いセンターステージ形式で復活させ
シンクロナイズドスイミングの
金メダリストをキャスティングするなど、
さらにスケールアップを図った。
ユーミンのお言葉。
「ひとつの目標に向かって生命を燃やす
みんなの輝きを、私はひとりでも
多くの観客の記憶にとどめたい。」
ロシア、フランス、イギリス、アメリカ、
そして日本。5カ国からなるキャスト、
スタッフたちがユーミンのメッセージ通り、
叡智を結集して作り上げる伝説の国、
「shangrila(理想郷)」が姿を見せたのだ。
そして、これが最終章。『ドルフィンの夢』。
ⅠもⅡも観たから行くしかない。
会場に入ると、もうシャングリラの世界。
スタンド席に4ヶ所、深海魚の死骸、
貝の化石のようなオブジェも飾られ、
海底をイメージしたと思われる、
薄暗い会場には青や白のライティングで
海底に差し込む太陽の光を演出。
また、「ボコッ ボコッ」という
水の泡のSEが流れていた。
しばらくするとステージからスモークが
勢いよく噴出し、ステージ一面スモークで包まれた。
会場が暗くなり、クラシックのような
ストリングスが奏でられ、ステージ横から
バンドメンバーが台に載せられた
グランドピアノを、ステージ中央にセット。
【曲目順とアクトの内容】
① グレイス・スリックの肖像
ユーミンがステージ横から花束を持って登場。
どことなく喪服のようにも見える、
紫紺のドレスを身にまとい、弾き語りで唄う。
②Happy Birthday to You ~ヴィーナスの誕生
イントロと共に、喪服のようなドレスが二つに裂け、
白と紫を基調にしたパンツルックの衣装に早変わり!
ステージは一転し、ライトアップされた。
曲の途中でスモークで包まれたステージから、
なんと!シンクロスイマーが飛び出してきた。
と共にスモークも薄れてきて、
ステージはプールに変わっていた。
今回のシャングリラは、シンクロあり、
サーカスありで、ひとつのステージで、
いくつかのアクトがある。
そんなステージに対応できるように、
ステージが一瞬にしてプールに
早変わりする装置が開発されたのだ。
知っていたとは言え、これには鳥肌が立った。
③ようこそ輝く時間へ
クラウンに扮したダンサーと鉄棒アクターが
ステージ上に鉄棒を組み立てる。
四角の形に4基の鉄棒を、アクター8人が
交錯しながらアクロバティックな鉄棒演技を披露。
よくぶつからないもんだと感心。
ユーミンは白の帽子に白のロングジャケットで唄う。
④ハルジョオン・ヒメジョオン
宙吊りになったエアリアル・ラートという
リングの中で3人のアクターが、技を魅せる。
ユーミンもラートに座り、空中遊泳。
⑤インカの花嫁
オレンジと緑のライティングで、
ステージ中央で歌うユーミン。
途中民族衣装のような服を着た
ダンサーも登場。曲の終わりと共に、
そのダンサーの衣装も、
ターザンの女性版の衣装に早変わり。
⑥朝陽の中で微笑んで
ステージには、ピンと貼られたワイヤーが。
水の精を思わせる、青のキラキラした衣装でユーミン登場。
曲の間、アクター達はワイヤーの上で綱渡りのパフォーマンス。
⑦時のないホテル
ステージが暗転し、受信感度が
悪い短波放送のような音が聞こえる。
ステージ上、客席には、黒ずくめスーツにサングラス、
まるでスパイのようなアクターが、
懐中電灯を振りかざしながら何かを探してる様子。
原曲とは全く違うアレンジで始まると、
ユーミンも女スパイと言った感じ。
スインギング・プレートと称される
大きなブランコような物に乗り、
左右に揺られながら唄う。
⑧BABYLON
ステージはまたプールに変わり、
デデュー&シンクロチームが華麗なスイミングを披露。
このあたりからステージに噴水が上がった。
⑨12階のこいびと
クラウンが丸めた毛布を持って、
ステージ中央に広げると、
中から少年に扮したアクターがゴロンと登場。
ステージ外周のターンテーブルには、
ユーミンがオネエ座り横座りになって唄う。
⑩別れのビギン
ステージ隅に組み立てられている、
らせん階段で唄うユーミン。
ステージ上では男女二人のアクターが、
天井からぶら下がってるベルトを腕に絡ませ
腕の力だけで宙に浮かびながらパフォーマンス。
それも命綱なしで!
⑪Delphine
シャングリラⅢの見所のひとつでもある曲。
プールに変わったステージでは、
デデューと武田美保のシンクロデュエット。
二人のメダリストが織り成す、
華麗でかつしなやかなシンクロは、
ただただ溜息の連続。
青を基調にしたライティングも印象的。
⑫Northern Lights
アクトもなく、ただただシンプルに
ステージ中央でユーミンが歌う。
⑬時はかげろう
これも原曲とはアレンジが少し違い、
かなりドラムが効いた大地の響きを感じさせるアレンジ。
ステージには砂漠の砂嵐を思わせるスモーク演出。
陽が落ちていく感覚にさせる、強いオレンジの照明。
2コーラス目からは、スタンド席のオブジェから
アフリカの民族衣装を着たダンサーが登場。
ステージに移る頃には、砂嵐も止み、
スコールを思わせるような噴水がバンバカ噴出。
とってもダイナミックな曲だった!
⑭SAVE OUR SHIP
ステージが暗転し、上と下からスモークの嵐。
スモークが消える頃には、
ステージにグランドピアノがまたセットされてた。
ステージ上はライトで演出された星空。
スタンド席をスクリーンに見立て、
プロジェクターで宇宙を思わせる映像を映して、
会場はもう宇宙空間と化している。
ピアノの周りとピアノの上に、ギリシャ彫刻のようなダンサー。
決して派手ではないが、目を見張るパフォーマンス。
曲の最後は、ピアノごと天井に消えていくユーミン。
すごく幻想的な感覚に襲われた。
⑮SHANGRILAをめざせ
いよいよ終盤。
このライヴのテーマとも言えるこの曲。観客も
総立ち!螺旋階段でパワフルに歌うユーミン、
派手でスピード感のあるライティング、
スタンド席では、オブジェも踊ってる。
曲の終盤からステージ上空では、
空中ブランコのセットが用意されてる。
ユーミンがステージから退場したあと、
ダイナミックな空中ブランコのアクト。
⑯真夏の夜の夢
シンクロも始まる。
シンクロチーム、デデュー、
それに武田美保も出てきて、噴水が上がる中、
躍動感のあるシンクロアクト。
ここでステージは一旦終了。
EC① 人魚姫の夢(新曲)
オープニングと同じように、会場はブルーに染まる。
衣装もオープニングと同じ。
夢の時間は終わり、また現実に引き戻されたような感覚。
スモークで包まれたステージの中、
アクトもなくしっとりと歌い上げるユーミン。
EC② Carry On
派手なライティングもなく、
ピンスポットのみ浴びて唄うユーミン。
途中、天井から巨大ミラーボールが降りてきて、
会場全体が星の海に。
歌の途中にメンバー紹介
最後にユーミンは、オープニングの時に
持っていた花束を、水面に浮かべステージを去る。
薄暗いステージに、花束だけが
スポットライトを浴び、輝いて見える。
これで終わり?と思った瞬間、
水面からデデュー登場。
静かに流れる音楽に合わせながら
ゆっくりと、時には激しく泳いだ。
そして、また水の中に消えていくデデュー。
これでシャングリラの夢の旅は終わり。
ストーリー性を重視したせいなのか、
選曲がかなりマニアックだった。
始めに書いたように、このⅢをもって
シャングリラは終わりです。
(何しろ私と同じ年齢、ここまでやるのが奇蹟。)
あっという間の二時間半、いい夢を見た♪
理想郷は確かに存在した。
そして現実を着実に歩めと自覚させるための
ステージだったと勝手に解釈したのだった。
以上、「シャングリラⅢ」の見聞記でございました。【完】
←写真をクリックして【余談を聞いてネ。】
※1月に先行予約して当初行くはずだった
7/29公演は良い席だった。
でも、仕事が入っている事を思い出した。
行けないので、急遽平日公演の
チケットを取った。しかし、遅すぎ。
後ろ席。残念であった。でも楽しめた。
行けたことに感謝いたします。
【メドーセージ=ガラティニカセージ。青色が涼しげ。】
7/29のチケットを1月に先行販売でゲットしてたのに、
7/29が仕事と分かった時は天井から落とされた気分でした。
でも、チケットを欲しがってた人にお譲りしたら
大変喜ばれました。一件落着。
花の名前も学名と流通名があるので
益々こんがらがっています。
今後もご指導願います。
大阪城ホール、大勢の方が楽しまれました。ユーミンさんの歌は素晴らしいです。
先の席は解約できたのですか?。ご覧になれて良かったですが--。いかに感動されたかがよく分かります。
下の花はメドーセージが流通名で、ガラティニカセージとハーブの本にあります。学名はSalvia guaraniticaとなっています。
そのとおりの展開でした。
Aブロックがやはり一番良い席でしたネ。
アリーナ席が無く、いきなりスタンド席なので良く見えたと思います。
平日は空き席があると思ってましたが、満席でした。
私のブロックはほとんどが女性。男は見渡して2名でした。
Ⅰ、Ⅱ、そしてⅢ。
Ⅲはもちろんストーリーがあって良かったけど、
個人的にはⅠが一番良かったような?
ステージのすぐ横で観たせいかもしれません。
ご訪問ありがとうございました。