さくらももこ氏が生み出した郡上八幡のご当地ヒーロー。まだまだ知名度は低いようですが、地道に活躍の場を広げています。公式サイト曰く「ちょっとしたマン」ですから、地味っぽくていいんだと思います(笑)
旅慣れた人、食に関心の深い人なら、地方の公設市場が最高の観光スポットになることはご存知のはず。北海道にはそんな市場が多いのですが、釧路駅前の釧路和商市場(以下、地元民にならって和商市場)もそのひとつです。函館朝市や札幌二条市場のようにほぼ観光地化された場所も中にはありますが、和商市場は正真正銘市民が日常的に買い物をする場所で、そこに観光向け要素もプラスされているという感じ。だから品揃えはローカル色が濃いし、価格も品質も文句なし。たとえば公式Facebookの特売情報見てください!
和商市場には鮮魚や塩干物をメインに、青果、惣菜、菓子、日用品など様々な小売店が集まります。観光客が土産を選ぶにしても、花咲ガニ、シシャモ(輸入物のカペリンではない、地元産の本シシャモ)、サケ・イクラ・筋子、チーズといった、いかにも道東らしい地場産品を選ぶことができます。
そんな和商市場ですが、その場で食べられるグルメスポットとしても要注目。なにしろここは昨今全国に広まりつつある「勝手丼」発祥の地なのですから。まずは勝手丼のシステムを簡単にご紹介。
1. 惣菜店で温かいご飯を買う。量が選べるし、酢飯にすることもできる。
2. 鮮魚店で好きな刺身を買い、ご飯に乗せてもらう。刺身は様々な種類が用意されており、小皿1皿(魚ならたいてい1~2切れ)から買える。1皿は50円~800円程度で、ほとんどのネタが100~300円。鮮魚店のハシゴも可。
3. 鮮魚店で醤油とワサビをもらい、市場内のテーブルで食べる。
高価な食材ばかり選べば価格は天井知らずだけれど、常識的な選択をすれば1人前1,000~3,000円程度で収まるはず。釧路の寿司屋ならもっと安いかもしれないけれど「好きなネタだけ選べる」「珍しいネタに挑戦できる」ところがポイント高し。たとえば生のホッケ、シシャモ、カレイ類、高いけれど鮭児やブドウエビなど、他ではなかなか味わえないネタも大量に並んでいます。勝手丼を食べれば、道東の魚貝類に関してはひととおり制覇できます。釧路には他にもザンギやスパカツなど名物グルメが多いので、心置きなくそれらに挑戦できるのも大きなメリットです。
ここで僕達が発見した勝手丼を上手にいただくコツをご紹介。
「朝食に行くべし」生魚は刺し身に切りつけた瞬間から味が落ちていきます。すべてのネタが仕込んだばかりの朝に行くのが、いちばん美味い。逆に閉店を見据えた夕方はNG。
「まずは歩いて吟味すべし」ご飯を買う前に、まずは鮮魚店をひとまわりして、気になる店とネタをチェックしておきましょう。あれも食べればよかった、あの店のほうが美味そうだった、などと後悔しないために。
「店の方によく聞くべし」美味いものは地元の人が知っています。季節ごとのお薦め、地物の素材など、遠慮せずどんどん聞いちゃいましょう。夏場に行くと最近道東でもよく獲れるシイラを薦められたりして笑っちゃうこともありますが。仲良くなれば、もう1品とかサービスしてくれることも。
このように美味いだけでなく、独特のライブ感を味わえる楽しさも勝手丼の魅力。これを知っちゃうと、たとえ魚が釣れなくとも釧路にまた来たくなっちゃいますよ。
ところで和商市場には寿司、定食、そば、ラーメンなどの飲食店や惣菜店もあり、どの店も安くて美味いので、機会があればそちらもどうぞ。餅屋の「べこ餅」とか、道外の人は知らないでしょ(笑)和商市場向かいのくしろ丹頂市場(規模はごく小さい)には、魚醤ラーメンが人気の「らーめん工房 魚一(うおっち)」もあります。
昨年は間違えて左利き用の包丁を買ってしまったので、そのリベンジにと昨日、関刃物まつりへ。今回はちゃんと右利き用を買ってきましたよ。今にも降り出しそうな天気の下、相変わらずすごい人出でした。
北海道では鶏唐揚げを「ザンギ」と呼びます。道内でもザンギにことのほか熱いのが釧路エリア。釧路市民は自分達のザンギを「釧路ザンギ」と呼んで愛していますが、その発祥の店とされているのが「鳥松」です。
鳥松はザンギ専門店と呼んで差し支えないでしょう。ザンギは鶏ぶつ切りを使い、骨付きと骨なしの2種。他には手羽先を揚げたものや、鶏肉の炒め物などの酒肴数種と、おにぎり等があるだけの極めてシンプルなメニュー構成です。実際のところザンギと酒しか頼まない客が多いですね。客席は大きめなコの字型カウンターがあるだけで、おそらく20人は無理かなという感じの小さな店ですが、いつも大賑わいです。地元民に言わせると「ザンギの美味い店は他にいくらでもあるけれど、ザンギ目当てに行くなら鳥松っしょ!」とのこと。
釧路ザンギは濃い目の下味を付ける店が多いのですが、鳥松は違います。骨の有無に関わらず、塩コショウをベースにしたあっさり目。そこに粉をまとわせ、高温のラードで一気に揚げます。 ラード効果でしょうか、はじめはカラッとした食感が、徐々にしっとりとしていき、その変化が楽しい。味はそのままでも美味いのですが、カウンターに置かれたオリジナルのソース(ウスターソースベース)や、塩、コショウ、一味等を自分好みにブレンドして付けていただくのが鳥松の流儀。地元民にはソースに一味かコショウを振り入れるのが人気なようですが、これがまた不思議と良く合うんです。思わず1人前、2人前、3人前と箸が進んでしまいます。
骨の有無に関しては個人の好みで。昨今は客の大半が骨なしを頼んでいるようですが、じっくり食べ比べれば骨付きの方が僅差ですが美味いと僕は感じます。ちなみに鳥松ではただ「ザンギ」と頼むと骨付きが出てきます。
鳥松は酔客のお土産利用もとても多いのですが、その際のパッケージングが素晴らしい。写真のように何の変哲もないのですが、平成の世にはほとんど見かけることがなくなったザ・昭和なプレゼンテーションです。カウンターの端に吊るされた大きなボビンから、テープをするするっと引出して縛る手際がまた懐かしい。オヤジ世代には感涙ものですよ。
仲間内でもひときわ鳥松LOVEな大野君&浦嶋君に言わせると、ご主人と従業員のオバちゃんとの掛け合いがまた絶妙の面白さなんだとか(分かる人には分かるよね〜笑)。そこはぜひ皆さんも実際に訪問してお確かめいただきたいところです。
場所は「末広」と呼ばれる釧路の繁華街のど真ん中。ラビスタ釧路川やパコ釧路に泊まれば歩いてすぐの立地です。店から通りを挟んで向かいには、ろばた焼き発祥の店とされる「炉ばた」があり、発祥店のハシゴもできますよ。