経済の面から昨日の続きというか補足。郡上漁協の例です。郡上漁協では釣り人からアユを買い集めているのですが、その買い取り価格は魚の個体重量によって変わります。出荷日の市場相場しだいで実際の価格は変動します(なので現金支払は翌日以降)が、7月上旬あたりだと下記がおよその目安となります。
特大(100g以上) 800円/100g →1尾あたり800円以上
大(80~100g) 600円/100g →1尾あたり540円前後
中(60~80g) 400円/100g →1尾あたり280円前後
小(40~60g) 200円/100g →1尾あたり100円前後
ビリ(40g未満、その他規格外) 0円 →金にはならない
この数字だと50gの魚を5尾(500円)釣るよりも、100gの魚を1尾(800円)釣ったほうが、はるかに儲かることに。価格は多少異なるかもしれないけれど川漁師(漁協組合員)でも基本的な仕組みは同じ。だから郡上で稼ぎたい人は、みんな大物志向になります。僕もアユ釣りに狂っていた頃はそうでした。
世知辛い話で嫌だという声もあるでしょうが、これが「郡上鮎」というブランドを守ってきた大きな要因なんだと思います。見た目が立派で、脂が乗って食べても美味いアユを、積極的に集荷・出荷する郡上漁協への信頼を高めてきたというわけ。
そんな郡上ですから、無闇矢鱈と稚魚放流を増やして、魚の平均サイズが小型化してしまっては、漁師も釣り人も消費者も喜ばない残念な結果になります。県内他河川でも少なからず同じ理屈が当てはまるはず。簡単に言ってしまえば、量より質!なんですよ。「アユの漁獲量日本一を目指す」なんてうそぶいている県の役人は、そこをどれだけ理解しているんでしょうか?
写真は美並あたりの長良川。