▲窓の向こうにシマフクロウがやってくる♪ロビー
▲川べりの寝湯。湯温はぬるめでグッスリ眠れる(笑)
▲噂の朝食。写真は数年前の6月。ウド、ネマガリタケ、コゴミ、アスパラ等々の野菜と山菜たっぷり!
道東への釣行時、安価で使い勝手の良いビジネスホテルに泊まることの多い僕達ですが、たまにはちょっと奮発した宿を選ぶこともあります。その中で最も気に入っているのが中標津町養老牛温泉の「湯宿だいいち」です。
養老牛温泉というのは中標津市街地から20kmほど西(摩周湖方面)へ向かった、牧草地の中にある温泉郷。温泉郷といっても今や宿は2軒しかなくさびれまくりですが、ここで北海道屈指の人気宿として頑張っているのが「だいいち」です。
建物は山荘風。何度も増改築を繰り返した結果、外観はいくぶんカオスな表情になっています。ロビー回りの内装は、やはり山荘風。シンプルな造作だけれど広く、窓が大きく、中央に大きな囲炉裏テーブルが置かれ、とても和みます。またご主人の趣味を反映したオーディオルームが最近新設されたり、リクライニングチェア付きラウンジがあったり、ヤマメ釣り道具を貸してくれたりと、おもてなしにも創意工夫が感じられます。
客室はデザイナーズ旅館のテイストをあしらった、小奇麗だけれど居心地の良いもの。和室あり洋室あり和洋室ありメゾネットありと、ひと部屋ひと部屋趣が異なるのが楽しいですね。宿の裏手を流れる渓流(モシベツ川)を多くの部屋から眺められるのも嬉しい。もちろん露天風呂付き客室もあります。手元に良い写真がないので、館内の様子は宿のサイトでご確認ください。
気になる風呂は、男女大浴場がひとつずつ。内風呂はヒノキやヒバを多用し木の香り豊かで、トラディショナルなテイストの空間。露天風呂はモシベツ川に面して設けられた開放的な空間で、岩風呂、丸太風呂、川が目の前の寝湯、源泉ミストサウナなど多彩な浴槽が楽しめます。また男女別露天風呂の双方から混浴露天風呂に入れる設計となっています。
泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物硫酸塩泉。複数の自家源泉を持ち、適宜ブレンドしてるようです。心地良い硫化水素臭が感じられ、肌あたりはまろやかです。源泉温度が高いので加水の可能性はありますが、循環ろ過・消毒なしの掛け流しです。
食事は道東の海の幸山の幸をふんだんに活かした懐石。料理人の腕も確かで、特別に目新しいものや凝ったものはなくても、いつも安心の美味しさです。
そんな「だいいち」の中でも、僕達が特に魅力に感じているところが2点。
ひとつはロビー前にやってくるシマフクロウ。ロビー前にはモシベツ川が流れ、その畔に生簀を置いて毎日ヤマメ数尾を放ち、森に自生するシマフクロウが自由に食べられるようにしているのです。基本は夜、時には朝や昼にもシマフクロウがやってきて、宿泊客はロビー越しに食事風景を眺めることができます。野生の生き物相手なので毎日必ず来るとは限りませんが、昨今では5割以上の確率で見られるようです。宿のスタッフが来訪に気づくと、就寝時以外は館内放送で教えてもらえます。北海道にしか生息しておらず、その数も200羽に満たないとされる天然記念物シマフクロウがこんなにも身近な存在なのは、北海道でも「だいいち」だけでしょう。他にもエゾリスやクロテンなど多種多様な野生動物がロビー前にやってきます。
もうひとつの魅力が朝食。「だいいち」の朝食はいわゆるブッフェスタイルで和洋好きな料理を食べられるのですが、料理の1点1店が凄い。季節の野菜や山菜(もちろん天然物!)をふんだんに使った手作りの惣菜が所狭しと並びます。特に素材の豊富な春から初夏に行くと、感動できること間違い無し。また養老牛で作られる超クリーミーな牛乳や、自家製のジャムもあります。「だいいち」は夕食もけっこうボリューミーなのですが、その量を控えてでも朝食に腹いっぱい食べるのが正解です。また朝食が終わる頃にはロビーで餅つきが行われ、チェックアウト時に作りたて大福がもらえます。
というように部屋も風呂もその他も超充実している「だいいち」。1人1泊1,5000円程度からと道東にしてはお値段は高めですが、それ以上の価値がありますよ。屈斜路湖や忠類川、中標津空港や女満別空港にも思いのほか近く、釣りの拠点にもしやすいと思います。ただこの宿に泊まるとそれ自体が楽しくて、釣りのことなんか忘れそうではありますが(笑)