波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

珈琲のある暮らし

2018年11月16日 | 日記・エッセイ・コラム

日は良いことがありそうな晴れの朝。珈琲をうまく淹れることができた、そのあと少し気の重い話し舞い込む。そんなわけで束の間の幸福、午後から曇り、幸福は一杯のこれだったか。
 
8月から、ほぼ毎朝淹れる「水出し珈琲」。温度管理や淹れ方の技術いらず、4杯分で2時間を待ち続けるだけ。ほぼ点滴のリズムと水量なのだが、これがゆとりの時間・贅沢の時間になる老人暮らし。
寒くなりホットに変わっていく。お客さん来宅の日は、時間計算し水出し珈琲。レンジで温かく出来るのだが、ホットにはホットの緊張感ある楽しみが。大前提は豆管理の善し悪しだが、温度と時間と量がドンピシャで命中するとそれはそれはの嬉しさ。今朝がそれ。軽いのにコクあり、果物に似た酸味とほのかな苦みと甘味が飲んだ後も舌に残る。昔から飲んできたものが、昨年本当の淹れ方教えて貰い、次の日から激変した珈琲。今までのは何だったのだろう。

像は、手前が波風氏愛用の陶器カップ(美深で)、奥がママヨさん愛用の磁器カップ(旭川で)、少し重めのミルク入れの奥は焙煎ナッツ(カシュナッツ・アーモンド・ピスタチオ)。これに、チーズとリンゴ甘煮を載せたトースト。こんなので済ませられる最近の朝食。珈琲の入れ方を少し覚えたら、珈琲のある暮らしを自覚するようになった。外から帰ると、何とも落ち着く香りが迎えてくれる。

 公式裏ブログを「工房仕様」(11/11)、「波風氏の眼鏡」(11/16)で更新しました   第5回『ほんのおつきあい』(読書交流)を、11月25日(日)14時~16時、波風食堂店主の自宅で開催します。参加費200円(珈琲含)。参加希望者は連絡いただけると嬉しい(→ namikazetateo@gmail.com)。読まずに話しを聞く参加もOK。
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『波風食堂』の半年(後)

2018年11月14日 | 日記・エッセイ・コラム

 

 
(前回から続く)
どんはモノ。そのモノを手段にした「波風食堂」という装置で、コトとヒトの新しい出会いを知った半年間だった。やってみて食堂の目的がわかってきた。『うどん』は事前連絡により「ではやるか」になるが、イベントは当日まで誰が来るかわからない。機会があれば声をかけるがほぼブログ頼み。9人満員御礼の小屋なのに、「誰も来ないかも」と不安になり「何て広いんだろう」と思うことが少なからずあった。波風君の道楽につきあうのも大変だよなと思い、ママヨさんだけはつきあって下さいね、なんて心の中で手を合わせていた。何て殊勝な(涙)。それが、「悪いけど席を少しつめてね」といつの間にか満席になり、相席の初顔合わせどうしが面白くて楽しい時間を作ってくれる不思議。これはいったい…なんなのだろう、と思う半年間。
 
                   
 
風氏は少しわかってきた。前からぼんやりとは考えていたが、くっきりしてきた。いわく、【嘘か本当かは頭で無く手や身体に聞く】、【人の話を聞き自分で決める、調子に乗らずに】、【ちゃんと遊ぶと飯が美味くて熟睡できる】、【お金を使わなくても機嫌良く暮らせる】。波風家のモットー『品のある貧乏』の細則みたいだが。定年前にブログに書いた『不良定年の原則50』(前編後編)よりもだいぶ大人になった(笑)。
出会ったヒトたちは人類全員がそうであるように闇を抱えているだろう。同時に灯火(ともしび)もだ。あんなに闇だらけの波風氏だって秘技「うどん」づくりを会得しつつある。闇だって他人からは灯火になるかもしれない。来年、そんなコトをもとにヒトとヒトの新しい繋がりができていければ嬉しい。           2018年11月14日   波風食堂 店主
 

 
画像は、知人からいただいたジャージー種とスイスブラウン種の生乳で作った杏仁豆腐。爽やかなのにコクのある美味しさ。もう市販品は食べられない 今年の冬は衣類を整理する。絶対、断固、必ず整理する。やるやると言って3年過ぎた。
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『波風食堂』の半年(前)

2018年11月13日 | 日記・エッセイ・コラム

 


 
日で今年6月スタートの食堂ごっこは一旦終了。準備3回、本番9回で、うどん定食54セットを50人に。
味の自己採点は、前半の麵はボソボソでコシも劣り30点、後半は粉と作り方を一新したが未だ麵幅不揃いで50点。出汁はまあまあの65点。未だ合格点には遠い。ご飯もの(稲荷寿司と握り飯)、スィーツ(ゼリー、杏仁豆腐)、珈琲はうどんよりは良いはず。特に珈琲はその筋の教え子による2回の教室と家庭教師により勉強できた。
 
年間の「食べ物」屋さんごっこは、片時も手を抜けない緊張世界で遊ばせてもらったこと。波風氏の前職の口先商売と違い、善し悪し即決評価の怖い世界。味は大事だがそれ以上に、清潔感、緊張感、センス、雰囲気全体が一瞬で問われる。一緒に遊んでくれた方々は皆、待っている間、緊張している。クチニナニヲイレラレルノヨという不安が手に取るようにわかる(笑)。波風夫妻はそれ以上に不安(汗)。それが笑顔に変わり、いつしか波風食堂のファンになってくれる有り難さ。「わかる楽しい授業」をした時と同じ感覚。これで生活する人たちは本当に偉いし凄い、新しい出会いが老人生活に入ってからも出来るとは、有り難いことだねと番茶を啜りながらの反省会。波風氏の道楽に、始まったばかりのうどん研究につきあってくれる方々に、感謝の気持ちでいっぱい。(次回に続く)
 

画像は、前回の珈琲教室で提供した「一口 スィートポテト」。波風氏はこれが大好きだ 今年最後の食堂ごっこに、一昨日4名、昨日3名が来てくれて。この遊びで初めて話しをするようになった方々が多い。驚き、笑い、考えさせられる話しが次々に交わされ、あっという間に数時間。【いつもの時間を 一人一人の持ち味で調理して 特別な時間に仕上げて楽しむ波風食堂】
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息子よ、ガンバレ

2018年11月07日 | 新聞感想


元新聞に載った眼鏡屋さんの広告。まず、「息子は、います」に何かあったかとドキリとし、次に臨時休業のお知らせだとわかり、最後に「息子よ、がんばれ」と願わずにいられない展開。洒落てる。先月も調整して貰った、昔から行きつけの眼鏡屋さん。家族ぐるみで仕事されてるが、親切で、身体に触れるものを扱う清潔感、適切な緊張感がある。

   

子さんが少しかわいそうだ、とママヨさん。波風氏は、一人前になって欲しい親の愛と、従業員を未だ一人前の技量に高めさせていない責任を感じた。「はがゆい」に万感の思い。そんなに遠くない将来、「息子に、おまかせ下さい」の広告が出たら、息子さんはなんて嬉しいことだろう。息子よ、ガンバレ。血の通ったこんな広告、めったにない。国語の作文教材(連絡文)になる。


『信じるに足る確かな世界』(「dantyu 7月号」掲載のエッセー)はこういうものかもしれない、と最近の波風氏は思うのであった。参考エッセーを知りたい方はこちら → 波風公式裏ブログ「信じるに足る確かな世界2人展に来てくれた方々に礼状書く。郵便番号検索が意外に楽しく、ママヨさんが「?」の顔 手作り箸の飾り棚つくる。波風食堂は今月で休業し来年6月再開。それまでは波風工房に。

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映画『万引き家族』を観る。

2018年11月04日 | 日記・エッセイ・コラム

【公式】『万引き家族』予告

置とタイヤの冬支度後、今週終了の『万引き家族』(是枝裕和監督)を観に行く。120分間、幸せとは何か、家族とは何か、生きる糧とは何かを考える。スクリーンの独居老人、年金詐欺、非正規採用、幼児虐待、DV、風俗は、21世紀のこの国の貧困の姿。昔の経済的貧困は脱出可能な救いあっても、自己責任でガンジガラメにされている今は難しい。そうした現実を見ないよう、見せないことへの痛烈で優しい批評精神が響く。

族は笑いながら一緒に食べる/コロッケ、ラムネ、ゆでトウキビ、麩、カップラーメン、白菜と麩ばかりのすき焼き、ソーメン。家族は一緒に行動する/海水浴、花火、そして万引き。家族は相手に通じる言葉で話し、子どもを「かまう」。この疑似家族のキーワードが『絆』。3.11以降爆発的に消費され今は胡散臭さ漂う言葉を、社会から見捨てられた家族が真面目に使う皮肉。犯罪を「誰かが捨てたものを拾っただけ」と言う彼らが、実は家族から捨てられ、漂い着いた先で祖母・父・母・子・孫を拾ってきて作ろうとしたのが家族の形。

日、「品のある貧乏」を書いたので、貧乏とは何か、価値観とは何かを違う角度から考えた。そして、この映画が、抜群のセンスを持つ俳優と演出で撮られているから、「貧困」の向こう側にある言葉に出来ない価値を感じさせてくれると思った。
劇場を出ると星空。久しぶりに、ほか弁を買う。ママヨさんは鮭弁、波風氏はイカ明太。この「20世紀の貧困」を象徴するホカ弁で、この品目以外をそれぞれ食べたことが無い。昨日は、文化的かつ経済的贅沢(映画:60歳以上割引で1.100円×2人+シャケ弁450円+イカ明太490円)な文化の日だった。


映画の家族は弁当を食べていない。カップ麺にコロッケを浸して「美味い美味い」と。贅沢なんだろうなあ、弁当は  最近、「実は」という感じで、家族との問題を聞く機会がいくつかあった。「どんな家庭も苦しんでいるけれどただ話をしないだけ」なのだが、波風家も同じ。

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