中公文庫で、吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読みました。巻末のあとがきによれば、もともとは『暮しの手帖』に連載されていた小説とのことで、独特の浮遊感のある雰囲気も、そういう背景かと納得しました。
主人公のオーリィ君は、お気に入りのサンドイッチを見つけ、売っているパン屋さんと親しくなります。働いていないことは好ましくないといわれ、勤め始めます。映画館でよく会う老婦人は、かつて映画に脇役で出ていた女性ですし、スープの味はしだいに洗練されたものになっていきます。
ほんとに不思議なフワフワした浮遊感のある物語です。雰囲気で繋いでいるストーリーという感じ。ふだん読んでいる藤沢周平や吉村昭などの時代小説と比べれば、新感覚派とでも言いましょうか。音楽で言えば、J.S.バッハやベートーヴェン、ブラームスの系統ではなくて、フォーレやドビュッシーなどの系統でしょう。好きな人は好きそうですが、落ち着かないと感じる人もいそうです。
で、私は?
たぶん、ずっと若い頃ならば、好んで読んだでしょうが、今ならば、たまに一味違ったタイプの本を読んでみたい、という時に手にする本、という位置づけでしょうか。
主人公のオーリィ君は、お気に入りのサンドイッチを見つけ、売っているパン屋さんと親しくなります。働いていないことは好ましくないといわれ、勤め始めます。映画館でよく会う老婦人は、かつて映画に脇役で出ていた女性ですし、スープの味はしだいに洗練されたものになっていきます。
ほんとに不思議なフワフワした浮遊感のある物語です。雰囲気で繋いでいるストーリーという感じ。ふだん読んでいる藤沢周平や吉村昭などの時代小説と比べれば、新感覚派とでも言いましょうか。音楽で言えば、J.S.バッハやベートーヴェン、ブラームスの系統ではなくて、フォーレやドビュッシーなどの系統でしょう。好きな人は好きそうですが、落ち着かないと感じる人もいそうです。
で、私は?
たぶん、ずっと若い頃ならば、好んで読んだでしょうが、今ならば、たまに一味違ったタイプの本を読んでみたい、という時に手にする本、という位置づけでしょうか。