電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルトの「交響曲K320」と「ポストホルン・セレナード」を聴く

2020年01月02日 06時04分51秒 | -オーケストラ
山形交響楽団のモーツァルト「交響曲全集」の追加盤として発表されたCD(Exton:OVCL-00711)の内容は、交響曲ニ長調K.320、交響曲第40番ト短調K.550のクラリネットが入った改訂版による演奏、そして交響曲イ短調K.Anh.220(16a)「オーデンセ」というものでした。その中で、特に冒頭の交響曲ニ長調K.320が、初耳の曲かと思ったらなんだか馴染みの音楽みたい(^o^)/

CD添付の解説を見たら、セレナード第9番「ポストホルン」から、第1、第5、第7楽章を抜粋したもので、1779年の作曲から五年後、1784年にドナウエッシンゲンのフォン・フェルステンベルグ公爵に献呈するために、三楽章構成の交響曲に仕立て直したものらしいです。

山響の録音は、2019年2月2日、南陽市にある「世界最大の木造コンサートホール」としてギネスブックに登録されている「シェルター南陽」ホールにて収録されたもので、たぶん通常の山響定期では取り上げられていないのではなかろうか。

第1楽章:アダージョ・マエストーソ〜アレグロ・コン・スピリト、ニ長調、4/4拍子。楽譜で確かめているわけではないので、まるっきり同じなのかどうかは不明ですが、確かに「ポストホルン」の第1楽章です。第2楽章:アンダンティーノ、ニ短調、3/4拍子の緩徐楽章。憂愁を感じさせる悲痛な第1主題と慰撫するような第2主題によるソナタ形式。第3楽章:プレスト、ニ長調、2/2拍子。活気ある堂々たるフィナーレです。なるほど、こうしてみるとたしかに「交響曲」として成立しているなあ。「ポストホルン」セレナードが冗長だとは思わない(*1)けれど、これはこれで、けっこういい曲じゃないか(^o^)/
クラリネット入りのト短調とクラリネットのない演奏とを比較することができるだけでなく、こういう発見がありますので、山響のCDは毎回何かしらお楽しみがあります。



試しに、いつも簡易な PC-audio で聴いているジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による「ポストホルン」セレナードから、該当する三つの楽章をプレイリストに抜き出してみたら、意外なほど大オーケストラによる鈍重さみたいなものが少ない、現代的な表現に通じるキビキビした演奏です。緩徐楽章は繰り返しを省略しているのか、演奏時間が6割ほどしかないようですが、なるほど立派な演奏で楽しめます。



参考までに、演奏データを記します。
■飯森範親指揮、山形交響楽団
I=7'51" II=9'39" III=4'03" total=21'33"
■ジョージ・セル指揮、クリーヴランド管弦楽団
I=7'33" II=5'29" III=3'53" total=16'55"

元旦は例によって総代をしている寺の業務と近隣の寺参り、帰省した娘夫婦と孫たちにご馳走作り(大晦日は「板そば」ならぬイタリアン・パスタで元旦は中華おこわ)に従事し、新年の音楽記事の第1号は、このようなものとなりました。今年も良い音楽、良い演奏会、良い音盤に出会えますように。

(*1):モーツァルト「ポストホルン・セレナード」を聴く〜「電網郊外散歩道」2006年2月


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2 コメント

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パスピエ さん、 (narkejp)
2020-01-02 09:25:05
明けましておめでとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします。
同曲が収録された盤をお持ちでしたか。ハフナー交響曲の成立のいきさつは承知していましたが、ポストホルンの事情は知りませんでした。なかなかいい交響曲になりますね。他にもあるようで、興味深いところです。
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Unknown (パスピエ)
2020-01-02 08:07:07
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。

手持ちのCDにブルーノ・ワイル指揮、ターフェルムジーク管弦楽団による「6 Symphonies after Serenades」というアルバムがあり、ハフナーなどとともに「ポストホルン」が含まれています。
「ポストホルン・セレナード」は好きな曲なので手軽に聴きたい時は交響曲版で聴いています(^^

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