電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

香月美夜『本好きの下剋上』第四部「貴族院の自称図書委員III」を読む

2018年12月03日 06時04分45秒 | -香月美夜
TOブックスの単行本で、香月美夜著『本好きの下剋上』第四部「貴族院の自称図書委員III」を読みました。本巻は、兵士の娘として転生した本好き残念少女が、有り余る身食いの魔力を見込まれて神殿の青色巫女から領主の養女に望まれ、貴族院の一年生でいろいろやらかして領地に戻ってきたところから。

プロローグでは、領主の長男のヴィルフリートと婚約することになり、貴族として洗礼を受けた際の母親エルヴィーラが開始したハルデンツェルでの印刷業を後押しするために、先に製紙業を始めていたイルクナーからも指導の応援を出してもらうように、ギーベ・イルクナーと交渉します。今後、製紙業と印刷業を領地エーレンフェストないに広げて行くには、平民時代にベンノと交わしたマインとルッツの契約魔術が障害になっていました。これを解消し、領主との間に新しい契約魔術を結ぶ形を取ることが求められ、その必要性は理解できますが、平民である下町の家族やルッツたちとの細いつながりが切れてしまう不安に、ローゼマインの心は揺らぎます。

そうこうするうちに貴族院に戻ることになりますが、他の領地や王族との交流は、やっぱり残念少女ローゼマインの本領発揮で、なんとも面白い。アーレンスバッハの我が儘な領主候補生ディートリンデや、クラッセンブルグのエグランティーヌと第二王子アナスタージウスの困った関係、ダンケルフェルガーのいつも間が悪い領主候補生ハンネローレなど、登場するキャラクターも多彩です。情に厚いローゼマインに仕える側近たちも、いっぷう変わった者もいるけれど、全体としてはひたむきで忠実なようです。



面白いです。中高年オジサンも思わずハマる面白さです。聞けば『このライトノベルがすごい!2018』で2年連続第1位なのだとか。それもなるほどとうなづける、納得の面白さです。


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