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講談社文庫で、吉村昭著『日本医家伝』を読みました。ずいぶん久しぶりの再読で、調べてみたら初読は2002年の12月とありますから、ほぼ11年ぶりの再読となります。
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幕末から明治期にかけての、著者の医家ものの発端となった雑誌連載が、1973年に講談社から文庫化され、2002年に新装版として大きめの活字で再刊されたもののようです。本書で取り上げられている人物は、もしかすると年代順なのでしょうか、以下のとおりです。
いずれも、人物と業績を簡潔に紹介するものですが、小説の題材として取り上げるに相応しいドラマがあります。前野良沢と『解体新書』の翻訳の話は『冬の鷹』に、楠本いねについては大作『ふぉん・しいほるとの娘』に、松本良順については『暁の旅人』(*1)として、高木兼寛は『白い航跡』(*2,3)に、それぞれ結実しております。その意味で、本書はこれらの出発点となった記念すべき作品と言えます。中には、独立した作品として取り上げられてはいないけれど、『ふぉん・しいほるとの娘』や『長英逃亡』などの作品の中に生かされているものもあり、全体として幕末~明治の時代を生きた医家のつながりを、大きな山脈のように感じさせてくれます。
本書は、現在は絶版か品切れのようで、現行本としては出ていないようです。Amazonでは中古本としてのみ表示されます。日本の医家の流れを簡潔に一覧することができる好著だけに、まことに残念なことです。
(*1):吉村昭『暁の旅人』を読む~「電網郊外散歩道」2009年11月
(*2):吉村昭『白い航跡』上巻を読む~「電網郊外散歩道」2009年8月
(*3):吉村昭『白い航跡』下巻を読む~「電網郊外散歩道」2009年8月
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幕末から明治期にかけての、著者の医家ものの発端となった雑誌連載が、1973年に講談社から文庫化され、2002年に新装版として大きめの活字で再刊されたもののようです。本書で取り上げられている人物は、もしかすると年代順なのでしょうか、以下のとおりです。
山脇東洋
前野良沢
伊藤玄朴
土生玄碩
楠本いね
中川五郎治
笠原良策
松本良順
相良知安
荻野ぎん
高木兼寛
秦佐八郎
いずれも、人物と業績を簡潔に紹介するものですが、小説の題材として取り上げるに相応しいドラマがあります。前野良沢と『解体新書』の翻訳の話は『冬の鷹』に、楠本いねについては大作『ふぉん・しいほるとの娘』に、松本良順については『暁の旅人』(*1)として、高木兼寛は『白い航跡』(*2,3)に、それぞれ結実しております。その意味で、本書はこれらの出発点となった記念すべき作品と言えます。中には、独立した作品として取り上げられてはいないけれど、『ふぉん・しいほるとの娘』や『長英逃亡』などの作品の中に生かされているものもあり、全体として幕末~明治の時代を生きた医家のつながりを、大きな山脈のように感じさせてくれます。
本書は、現在は絶版か品切れのようで、現行本としては出ていないようです。Amazonでは中古本としてのみ表示されます。日本の医家の流れを簡潔に一覧することができる好著だけに、まことに残念なことです。
(*1):吉村昭『暁の旅人』を読む~「電網郊外散歩道」2009年11月
(*2):吉村昭『白い航跡』上巻を読む~「電網郊外散歩道」2009年8月
(*3):吉村昭『白い航跡』下巻を読む~「電網郊外散歩道」2009年8月
\(^o^)/
『日本医家伝』、簡潔な表現の中にドラマがあって、なかなかおもしろいです。文庫本だけでなく、図書館あたりに単行本がないものでしょうか。