電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

つけペンを使ってみた記憶

2024年01月19日 06時01分40秒 | 手帳文具書斎
学生時代だったと思いますが、いつ頃だったでしょうか、愛用していたショートタイプの万年筆、パイロットの Elite を紛失し、一時的につけペンを使っていたことがあります。つけペンというのは、写真でわかるように金属製のペン先を軸に取り付け、インク瓶に突っ込んでインクをつけて書く、というものです。細いカリカリとした書き味も慣れないし、何よりもすぐにインクが切れて、またインク瓶に浸さなければならず、イライラがつのるばかり。万年筆のありがたさが身にしみました。


  (セーラー万年筆のサイトより)

たしかこの頃に、大学生協でセーラーの茶色のキャンディ万年筆(600円)を見つけて購入してみました。使ってみたら、書き味は金ペン万年筆に劣るけれども、つけペンよりもずっと便利なものでした。そうか、実用だけなら必ずしも金ペンでなくてもいいんだと実感した記憶があります。今でも Preppy などの廉価な万年筆に食指が動くのは、このときの記憶が強いからだろうと思っています。つけペンは今でも持っていますが、遊びとしてはともかく、実用的に使ってみようという気にはなかなかなれません。たくさん書くほどに、お値段にかかわらず、万年筆のありがたさを感じます。



写真の万年筆は、結婚したばかりの頃、たしか妻に買ってもらったパイロットの万年筆、カスタム・グランディ。同社に一度修理してもらい、すでに45年も使っています。当時のお値段は忘れましたが、仮に 9,000円だったとすると、45年で割れば1年あたり200円。長く使えば経済的という見本のようなものです。現在、プラチナの#3776ブルゴーニュ、TWSBI のダイヤモンド580ALラヴァーとともに愛用している常用万年筆のうちの一本です。


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2 コメント

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kimura@seminark さん、 (narkejp)
2024-01-19 20:03:47
コメントありがとうございます。私のつけペンの印象は、愛用の万年筆を紛失し、ゼブラのペン先を購入して仕方なく使うようになったときの、ガッカリ気落ちした時のものがベースになっています。したがって、漫画家やペン習字等の経験者の方々のようなアーティスティックな観点は皆無(^o^)/ まことに無粋の限りです。では、なぜいまだにつけペンを所有し、2011年には新たに軸を購入しているのか?
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/fe4d3adbe6e73feaa3ca1f19d5384b3f
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/d1264c8b9f12255a8107beed2bd862df
これは、純然たる好奇心にほかなりません。例えばつけペンでプラチナ社の古典BBインクを付けて書くと、文字の黒さが増すのですよ。酸性で鉄が溶けて鉄イオンの濃度が増すためと考えていますが、同じインクでペン先によって色が変わる面白さは金ペンにはないですね(^o^)/
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「遊び」でなごんでいます (kimura@seminark)
2024-01-19 16:30:08
■ つけペンと万年筆の関係、お考えの通りです。世の圧倒的支持を得る多数派の見解だと思います。
■ 万年筆が優れている点、同様にして「CDとLP」「ATの国産車とMTの輸入車」「電波クオーツ時計と機械式時計」「炊飯ジャーと土鍋」などと同様、「実用」面では、優劣に議論の余地のないものが思い浮かびます。
■ 万年筆は実務上の「実用」の品かの点は置くとしても、つけペンは、比べられると立場がなさそうです。
■ つけペンを使うのは、いわば、「遊び」、というご指摘も、なるほどなぁと思いました。万年筆も、こんにちでは、ボールペンの隆盛に照らすと、ちょっと「遊び」な面があるかもしれませんね。
■ また、「実用」の点では、「毛筆」も、「つけペン」同様、万年筆やボールペンから見ると、同じ立場かなぁと、敷衍して想像してみました。
■ 「硬筆書写」=「ペン書道」という技能分野があって、履歴書に記載可能な技能を証する公的資格にもなっているのですが(硬筆書写技能検定試験)、その最大会派は、雑誌の広告で有名な「日ペンの美子ちゃん」率いる(?)日本ペン習字研究会です。そこの月刊の会報誌は、会トップ師範の方々が、初心者向けにはあえて「ジェットストリーム」などボールペンを用いた手本を示していますが、準師範・師範クラス向けの手本や検定試験向けの手本には、万年筆で書いた手本は絶無で、もれなく「つけペン」で手本を示しています(手本に、使用したペン先を必ず注記しています)。おびただしい点数の生徒さんの「書道展」でも、筆記具の使用分布状況は同じです。また、マンガの分野で、例えば、手塚治虫が、万年筆よりも、Gペンや、今日の記事に写っているタマペンを好んで使ったなど、今日でも漫画家さんのつけペン需要は旺盛なようです。
■ LP・MT車・機械式時計・毛筆・つけペンは、そういう遊び心や趣味性、ひいてはそれが芸術性への欲求に応えてくれるという存在価値がありそうですね。「ヒト」という生物が、「ホモ・ルーデンス」である所以だと思います。
■ 私は、実は、つけペンを、毎朝、1時間弱程度使っています。ヘタな字を正す「書道」の練習のつもりです。ペン先は「タマペン」か「日本字ペン」です。それ以外に、欧米文には細字を使いたい際に「Gペン」を愛用しています。
■ 壊滅的少数派の私は、表記の私のウェブログの2023/8/24に、身も細る思いで、ささやかな抵抗を試みてみました(;^^ゞ
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