電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

懐かしのレコードカタログ~CBSーSONYベストクラシック100選~その1

2010年11月16日 06時02分35秒 | クラシック音楽
LPレコードが花盛りだったころ、各社で「ベストクラシック100選」のような企画を競っておりました。中でも、「よいレコードを、もっと多くの人に」という理念と、"私は1分23秒のセルの「英雄」に泣いた"という荻昌弘さんの名コピーが印象深い、「音のカタログ」という二枚のLPを頒布する企画は、ずいぶん受けたのではないかと思います。この頃のカタログはきれいなカラー印刷で、使用している紙質も立派で、好感の持てるものでした。開始した年度は不明ですが、バーンスタインとともにソニーの井深大さんが挨拶を載せているところを見ると、たぶん1970年代の半ば~後半前半かと思います。このカタログから、懐かしのジャケット写真を、数回に分けて掲載したいと思います。まずは、「交響曲」から。



ごらんのとおり、バーンスタインの「運命・未完成」とワルターの「田園」を見開きに配置し、下段にはワルターの「運命・未完成」、ブーレーズの「運命」、ワルターの「英雄」、セルの「英雄」を左面、バーンスタインの「田園」、ワルターの「4番と8番」、バーンスタインとワルターの「合唱」が右面という構成です。



次も「交響曲」で、ワルターの「ジュピター・ト短調」とセルの「新世界」を見開きに配置し、下段左にはセルの「ト短調&39番」、ワルターの「39番&ハフナー」、セルの「驚愕とオックスフォード」、バーンスタインの「ザ・グレート」、下段右にはバーンスタインの「新世界」、「悲愴」、セルの「チャイコ5番」、バーンスタインの「シベリウス2番」という具合。



次も「交響曲」で、ブーレーズの「幻想」とバーンスタインの「巨人」を見開きに配置し、下段左にはバーンスタインの「幻想」とワルターの「ロマンティック」、セルの「ブルックナー8番」、ワルターの「ブルックナー9番」、そして下段右にはワルターの「巨人」、「復活」、バーンスタインの「マーラー4番」「同9番」が並びます。



次のページは、左が「交響曲」で、上段はワルターの「ブラームス1番」、セルの「同2番」、ワルターの「同4番」、下段にはセルの「同4番」、セルの「春&ライン」、「イタリア」、バーンスタインの「ショスタコーヴィチ5番」が並びます。
そして右ページは「管弦楽曲」で、上段にバーンスタインの「展覧会の絵」、下段にはブーレーズの「海」、セルの「スラブ舞曲」、オーマンディの「チャイコフスキー三大バレエ音楽集」と、本シリーズのロゴマーク、という具合です。

うーん、見慣れたLPのジャケットが懐かしい。よく考えると、だいぶCDでも買い直していることに気づきます。CDになって初めて購入したもので、格別に印象深いのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管によるブルックナーの「交響曲第8番」でしょうか。(続く)

【追記】
このカタログは、1970年代後半のものと思っていましたが、三枚組「音のカタログ」は1975年のものであるとのこと、この「100選」カタログは、おそらく1973~74年頃のものかと思われます。この点、訂正しました。

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10 コメント

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音のカタログ (pfaelzerwein)
2010-11-16 14:45:10
今も手許にこのシリースの「音のカタログ」があります。全部でLP三枚です。どこかの販売店で貰った覚えがあります。さて内容に関しては一枚としてその商品をもっていません。CBS制作が私には縁がなかったのかというと、決してそうでもないのですが。
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グールドの録音など少し (pfaelzerwein)
2010-11-16 14:46:17
失礼しました。グールドの録音など少しは持っているようです。
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pfaelzerwein さん、 (narkejp)
2010-11-17 06:33:50
コメントありがとうございます。このLPカタログは、たぶんカラー印刷できれいだったのと、ジャケット写真が全部載っているということで保存していたのだろうと思います。ただ、年代が書いてないのが残念です。手がかりは、井深大さんの挨拶と、音のカタログのレコードが二枚になっている、ということですね。LP三枚の頃は、たぶん転職や引越し等のためか、記憶にありませんが、もしかすると80年前後でしょうか。CD時代の幕開けも直前だったのかもしれませんね。
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昭和五十年秋発売の百五十選 (pfaelzerwein)
2010-11-18 15:43:16
ご指摘の通りでした。手元の三枚組みはSOCL1103からSOCL1155までの昭和五十年秋発売の百五十選に対して販促資料でした。
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pfaelzerwein さん、 (narkejp)
2010-11-18 20:20:36
コメントありがとうございます。三枚組「音のカタログ」は昭和50年でしたか。昭和50年と言えば1975年、すると、私の予想より5年ほど前になります。1971~72年頃はオイルショックの余波でLPが1枚2,300円くらいに値上がりしていましたので、価格が1枚2,000円という表示のあるこの「100選」カタログは、1973~4年頃なのかもしれません。1975年には井深大さんは会長になっていますので、社長として挨拶をしているのは自然です。記憶は意外に当てにならないものですね。情報をありがとうございます。
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CBS/SONY初代のベスト・クラシック100選 (kuzu)
2014-02-22 14:04:36
このカタログは私も目に焼き付いています。1972年から数か月に分けてリリースされた、初代のベスト・クラシック100選です。このように、旧譜をシリーズで再発売するカタログリリースの草分けでした。今では懐かしい見開きの豪華ジャケットで、SOCL-1から100まで100枚のうち2枚組が4タイトルあるので正確には96選という初代ならではの笑い話もあります。当時のグラフィックデザインを思い切り取り入れた新興レコード会社ならではのジャケットは、私にはオリジナルより思い入れがあります。もう一つ逸話を添えますと、バーンスタインの「新世界から/火の鳥」という不思議なカップリングの1枚は、実際には全く異なるジャケットでリリースされ、カタログの写真も差し替わりました。このあと続編のような形で、エリート・クラシック30選(のちに50選に拡張)もリリースされています。
なお、1975年に発売された2代目にあたるニュー・ベスト・クラシック100選(のちにベスト・クラシック150選に改編)では、厳密に100タイトルになり、すべてシングルジャケットになってしまいました。一方で音のカタログは曲種別に8枚提供され、例えば8枚のうち3枚を占める交響曲編では全楽章からそれぞれの抜粋が収録されるという威容でした。この音のカタログも150選への改編時に、他の方のご紹介にあるように3枚になってしまったのは残念でした。
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kuzu さん、 (narkejp)
2014-02-23 07:33:58
コメントをありがとうございます。1972年頃でしたか。当時のものとしては、破格に立派なカタログでした。LPレコードですと、再生中のLPを立てかけて、ジャケットデザインを楽しみながら音楽を聴く、ということもできました。音楽配信やダウンロード音源は手軽で便利ですが、そういう楽しみはうすいようです。CDですと、ジャケットデザインを楽しむような要素は薄れますが、まあ車でも聴けるし、まずまずの媒体かなと思っています。
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年代特定 (kuzu)
2014-02-23 15:16:46
こちらこそ、懐かしい子供時代のー思い出を呼び起こしていただき、感謝しています。お礼と言っては何ですが、少々マニアックな情報を追加します。
この「ベスト・クラシック100選」は、1972年5月21日に最初の30枚が発売された時点では、前半50枚だけが掲載されたカタログが配布されていました。ですからお持ちのものは、後半50枚の発売が始まる同年9月21日に先立って配布が始まったはずです。また、先述の「新世界から/火の鳥(11月21日発売)」のジャケット写真が差し替わっていませんから、最終デザイン決定前に印刷された初期バージョンでしょう。
実際に入手された時期はともかく、制作時期は1972年7月から9月前後に特定されると思います。
今見返すと、トップ番号のタイトルがバーンスタインの「運命・未完成」であったり、ベートーヴェンの交響曲に第4・第8がありながら第7が含まれていないなど、隔世のラインナップですが、実際に買わずとも毎月少しずつ店頭に出てくるのを楽しみにさせる、秀逸なカタログ戦略だったと思い返しています。
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訂正 (kuzu)
2014-02-23 18:24:13
重ねて細かい情報で恐縮です。2代目の「ニュー・ベスト・クラシック100選」は、1975年ではなく、1974年3月の発売開始でした。初代から2年足らずでのリニューアルだったことになります。150選への改編が1975年だったようです。その都度カタログを熱心に閲覧した記憶が蘇ります。
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kuzu さん、 (narkejp)
2014-02-23 21:20:01
コメント&情報をありがとうございます。この「ベスト・クラシック100選」カタログの発行は1972年9月ですか。詳しい時期が判明し、嬉しいかぎりです。このころはまだ学生時代で、懐は寂しかったけれど、無謀な夢はたくさんありました。古いカタログは、実用的な意味は全くないのですが、なんとなく捨てられません。中高年の懐古趣味と笑われそうですが、笑っている若者たちも、時が経てばやがてはそうなることを確信します。なぜかといえば、年寄りの懐古趣味を笑う若者たちの姿は、昔の自分のものだったから(^o^;)>poripori
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