春なのに雪が舞うお天気が続いた3月、山形市のテルサホールで山響こと山形交響楽団の第315回定期演奏会を聴きました。今回のゲストはフィンランドの世界的な巨匠指揮者、オッコ・カム氏です。若い頃に、カラヤン指揮者コンクールで優勝(1969年)して一躍有名になった頃のことはよく覚えていますが、まさか当地・山形で何度も間近に接することができるとは思ってもいませんでした。前回の演奏会(*1)ではオール・シベリウスのプログラムで、「フィンランディア」、交響曲7番、2番というものだったと記憶していますが、コロナ禍での来日中止を経て今回再びの来演。サッリネンとシベリウスがフィンランド、ニールセンがデンマークですから、北欧の音楽に焦点を合わせた、待ちに待った演奏会です。
今回のプログラムは、
というもの。
指揮のオッコ・カムさんに西濱事務局長がインタビューするプレコンサートトークが興味深いものでした。サッリネンは長く交友が続く大切な作曲家で、オッコ・カムさん自身が今回の曲の初演者でもあるそうです。また、今回ソロをつとめる常盤さんと知久さんのお二人について、才能ある若い奏者で音楽の背後にあるものをとらえて演奏しようとする姿勢が素晴らしいと評価。ニールセンについては、ニールセンが以前住んでいた家を買い取り、現在オッコ・カムさんが住まわれているのだそうで、西濱さんが羨んでいました(^o^)/
さて1曲め、サッリネンの交響曲第2番 作品29 〜ソロ・パーカッションとオーケストラのための交響的対話〜という作品ですが、ステージ上には正面中央にマリンバ、ヴィヴラフォン、トムトム、ボンゴ、バスドラム、スネアドラム、アンティーク・シンバル、ゴング、ギロ、タムタム等の独奏パーカッション群が配置され、目を引きます。指揮台はこの後方で、弦楽5部が左から 10-8-6-6-4 の配置です。左手後方にハープ、正面後方にフルート(2)、オーボエ(2),その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)の木管群が並び、金管楽器は左手にホルン(4)、右手にトランペット(3)、トロンボーン(2)、テューバという楽器編成と配置になっています。
弦楽が下降する音階のような音を奏する中で、ヴィヴラフォン等が同様に下降音階を奏でたかと思うと、一転してパーカッションの本領発揮!なんてかっこいいんだろう。ソロの常盤紘生さんが真っ赤なシャツで登場した気持ちもわかるなあ。ネットで予習していったとはいうものの、実演の迫力と魅力は桁違いのものでした。
聴衆もやんやの拍手喝采、常盤さんのアンコールは、ネヴォイシャ・ヨハン・ジヴコヴィッチ「ヴィヴラフォンのためのスオミネイト」でした。
ステージ上からパーカッション群が退き、こんどはニールセンのフルート協奏曲です。楽器編成と配置は、左から 10-8-6-6-5 の弦楽5部に、正面奥に Ob(2), Cl(2), Fg(2) と木管楽器が並びますが、Fl は独奏フルートだけのようです。金管楽器は左手奥に Hrn(2) と正面奥 Timp. の右側に Bass-Tb だけで Tp がありません。ちょっと変わった編成です。独奏フルートの知久翔さん、冒頭から素晴らしい音と演奏。素人目にも難しそうなところを難なく吹き、ニールセン晩年の音楽を見事に表現します。例えばフルートの高い音とクラリネットの低い音の対比と掛け合いは魅力的ですし、弦楽の美しい響きが突然に荒々しく変わったりするところなど、1927年に完成された音楽らしく現代的な要素もあり、説得力のある音楽と感じます。ちなみに、Timp. は先のソリストの常盤さんが黒の衣装に早着替えのマジックを見せて参加していました。山響団員はタフでなければつとまらないのかも(^o^)/
聴衆の盛大な拍手を受けて、ソリスト・アンコールはドビュッシーの「シランクス」。神秘的な響きに思わずほぉーっとため息がもれました。
ここで15分の休憩。後半は、シベリウスの交響曲第1番です。Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(3), Tb(3), Tuba, Timp. Perc, Harp に弦5部という楽器編成です。第1楽章の冒頭の Timp. のロール?に始まり、クラリネットのモノローグが長く続きますが、これが実にいいのですよ! この曲の魅力にここでぐっとつかまれるのです。そして弦楽によって奏でられる音楽。オッコ・カム指揮の山響は、この曲の魅力を充分に聴かせてくれたと思います。音楽は悲劇的な要素をはらんでいるのですが、正直に言って、あんまり幸せすぎて終楽章のあたりではほとんど意識が落ちていたくらいです(^o^)/
いや〜、今回もほんとに良い演奏会でした。
終演後、お隣に座っていたご婦人に声をかけられました。「◯◯◯です」、ええっ、いやいや全然気が付きませんで失礼しました。某庄内の笛吹きさんの奥様でした。ずいぶんお久しぶりですが、そういえば我が家の母娘猫が元気だった頃、某千代丸クンをかわいがっていたはず、その後の消息もお聞きできませんでしたが、いろいろ懐かしく思い出してしまいました。
(*1): 山形交響楽団第268回定期演奏会でオール・シベリウス・プログラムを聴く〜「電網郊外散歩道」2018年4月
今回のプログラムは、
- サッリネン:交響曲 第2番「交響的対話」作品29
*パーカッション 常盤紘生(山響首席奏者)
- ニールセン:フルート協奏曲 FS 119 フルート: 知久翔(山響首席奏者)
- シベリウス:交響曲 第1番 ホ短調 作品39
オッコ・カム指揮、山形交響楽団
というもの。
指揮のオッコ・カムさんに西濱事務局長がインタビューするプレコンサートトークが興味深いものでした。サッリネンは長く交友が続く大切な作曲家で、オッコ・カムさん自身が今回の曲の初演者でもあるそうです。また、今回ソロをつとめる常盤さんと知久さんのお二人について、才能ある若い奏者で音楽の背後にあるものをとらえて演奏しようとする姿勢が素晴らしいと評価。ニールセンについては、ニールセンが以前住んでいた家を買い取り、現在オッコ・カムさんが住まわれているのだそうで、西濱さんが羨んでいました(^o^)/
さて1曲め、サッリネンの交響曲第2番 作品29 〜ソロ・パーカッションとオーケストラのための交響的対話〜という作品ですが、ステージ上には正面中央にマリンバ、ヴィヴラフォン、トムトム、ボンゴ、バスドラム、スネアドラム、アンティーク・シンバル、ゴング、ギロ、タムタム等の独奏パーカッション群が配置され、目を引きます。指揮台はこの後方で、弦楽5部が左から 10-8-6-6-4 の配置です。左手後方にハープ、正面後方にフルート(2)、オーボエ(2),その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)の木管群が並び、金管楽器は左手にホルン(4)、右手にトランペット(3)、トロンボーン(2)、テューバという楽器編成と配置になっています。
弦楽が下降する音階のような音を奏する中で、ヴィヴラフォン等が同様に下降音階を奏でたかと思うと、一転してパーカッションの本領発揮!なんてかっこいいんだろう。ソロの常盤紘生さんが真っ赤なシャツで登場した気持ちもわかるなあ。ネットで予習していったとはいうものの、実演の迫力と魅力は桁違いのものでした。
聴衆もやんやの拍手喝采、常盤さんのアンコールは、ネヴォイシャ・ヨハン・ジヴコヴィッチ「ヴィヴラフォンのためのスオミネイト」でした。
ステージ上からパーカッション群が退き、こんどはニールセンのフルート協奏曲です。楽器編成と配置は、左から 10-8-6-6-5 の弦楽5部に、正面奥に Ob(2), Cl(2), Fg(2) と木管楽器が並びますが、Fl は独奏フルートだけのようです。金管楽器は左手奥に Hrn(2) と正面奥 Timp. の右側に Bass-Tb だけで Tp がありません。ちょっと変わった編成です。独奏フルートの知久翔さん、冒頭から素晴らしい音と演奏。素人目にも難しそうなところを難なく吹き、ニールセン晩年の音楽を見事に表現します。例えばフルートの高い音とクラリネットの低い音の対比と掛け合いは魅力的ですし、弦楽の美しい響きが突然に荒々しく変わったりするところなど、1927年に完成された音楽らしく現代的な要素もあり、説得力のある音楽と感じます。ちなみに、Timp. は先のソリストの常盤さんが黒の衣装に早着替えのマジックを見せて参加していました。山響団員はタフでなければつとまらないのかも(^o^)/
聴衆の盛大な拍手を受けて、ソリスト・アンコールはドビュッシーの「シランクス」。神秘的な響きに思わずほぉーっとため息がもれました。
ここで15分の休憩。後半は、シベリウスの交響曲第1番です。Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(3), Tb(3), Tuba, Timp. Perc, Harp に弦5部という楽器編成です。第1楽章の冒頭の Timp. のロール?に始まり、クラリネットのモノローグが長く続きますが、これが実にいいのですよ! この曲の魅力にここでぐっとつかまれるのです。そして弦楽によって奏でられる音楽。オッコ・カム指揮の山響は、この曲の魅力を充分に聴かせてくれたと思います。音楽は悲劇的な要素をはらんでいるのですが、正直に言って、あんまり幸せすぎて終楽章のあたりではほとんど意識が落ちていたくらいです(^o^)/
いや〜、今回もほんとに良い演奏会でした。
終演後、お隣に座っていたご婦人に声をかけられました。「◯◯◯です」、ええっ、いやいや全然気が付きませんで失礼しました。某庄内の笛吹きさんの奥様でした。ずいぶんお久しぶりですが、そういえば我が家の母娘猫が元気だった頃、某千代丸クンをかわいがっていたはず、その後の消息もお聞きできませんでしたが、いろいろ懐かしく思い出してしまいました。
(*1): 山形交響楽団第268回定期演奏会でオール・シベリウス・プログラムを聴く〜「電網郊外散歩道」2018年4月
素晴らしいコンサートだったようですね。プレトークの様子も、興味深く拝見しました。サッリネンの交響曲がコンサートで聴くことができるのは、東京でも考えられないと思います。選曲だけでも記憶、記録に残るコンサートですね。
オッコ・カムさんは、群響の定期で一度だけ聴いたことがありますが、その時もかなりよい演奏でした。ニールセンのフルート協奏曲、シベリウスの1番と、僕の好きな曲がプログラムされていて、羨ましいです。続きの記事を楽しみにしています。