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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『はやぶさ新八御用旅』(2)を読む

2006年05月04日 10時01分13秒 | -平岩弓技
江戸町奉行・根岸肥前守鎮衛の内与力、隼新八郎は、出張先の京都で別の任務を与えられます。それは、朝廷の経費を担当する御所役人の不正を証拠立てることでした。女官の雪路と京都町奉行所の同心・土屋兵介と探索を続けるが、ことごとく埒が明かない。新八郎主従の日常を世話してくれている、土屋の妹で未亡人の小篠が、朝廷を担当する与力の押田内匠を怪しいと考え、危険を覚悟で押田宅に奉公すると言い出す。
結局、悪事はあばかれ一部の者が逃亡したために、小篠母子に危険が予想される。新八郎主従は小篠母子を守り、中仙道を下る。様々な危険を乗り越え、小篠母子は新八郎に思いを寄せるが、新八郎には江戸に残した妻がいる。
このあたりから、作者は物語に深刻さを与えまいとしたのだろうか、新三郎という女形のような役回りを与え、勝気な女医みすずを登場させるなど、これでもかとばかりに女難・剣難を繰り出す。みすずが新八郎の寝所に忍んで来る色っぽい場面などは、テレビ連続ドラマに格好の題材だろう。

やれやれ、楽しませてはもらいましたがいささか安手で、どうも何度も読み返したくなる物語とはいえないように思います。
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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」を聞く

2006年05月03日 20時45分09秒 | -オーケストラ
5月に入り、いい陽気になりました。東京では先日夏日になったとか。当地は桜の花びらが舞う風が心地よい気候です。桃の花が咲き、サクランボの白い花も咲き始めました。果樹園は今が見頃です。

先日のピアノ協奏曲第3番がきっかけで、最近ベートーヴェンを取り出して聞く機会が増えました。いつもは若いベートーヴェンの音楽を好んで聞いているのですが、今日は中期の充実した音楽を。交響曲第6番「田園」です。この有名な曲は、私のささやかなコレクションでも、いつのまにか複数点が集まってしまいました。

最初に全曲を聞いたのは、たぶん高校時代、友人宅でしょうか。カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団によるエンジェル盤。たしか、赤い塩化ビニルのLPだったと思います。自分で購入したのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏するLP全集。大学生の頃に、アルバイトをしてようやく入手したものだけに、ほんとによく聞きました。面白いことに、この全集にはニューヨーク・フィルを指揮した同じ「田園」のモノラル盤がボーナス・レコードとして添付されており、演奏比較ができるようになっておりました。内容的には断然クリーヴランド管とのステレオ録音の方が素晴しいと思いました。現在はデジタルリマスター版輸入CDをおもに聞いていますが、LPはとても捨てられません。
演奏面では、金管楽器も気合いの入った鳴りっぷりです。セルの演奏はしばしばトランペットを強く強調します。時には他の金管楽器で裏打ちさせることもあったとのこと。このあたりが、まろやかな夢幻的な響きを大切にする方には受け入れにくい理由かもしれません。「セルの運命交響曲の素晴らしさはわかるが、あのトランペットだけはどうもね」とおっしゃる方も、第四楽章の嵐の場面では威嚇的な響きを納得できるのでは。最後の第五楽章は堂々としたテンポで、田舎に到着したばかりの第一楽章の快速うきうきリズムとは違います。田舎の生活になれて、万事ゆったりとしてくるのでしょうか。
録音は1962年1月20~21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールにて。デジタル・リマスタリングのプロデューサーは、ハワード・スコットです。

CD時代になり、珍しくレギュラー・プライス盤を購入したアバド指揮ウィーンフィルの録音も、クリムトの絵を配した世紀末風のデザインと共に印象深いものです。演奏の点では第一楽章に特徴があり、アレグロ・マ・ノン・トロッポという指示はあるものの、実にゆったりとしたテンポです。ところが、後半になると次第にスピードアップしてきます。セルの演奏とは好対照です。
録音はこの中では一番新しく、1986年9月、ウィーンのムジークフェラインザールにてデジタル録音されています。

スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレの演奏も、比較的ゆったりとしたテンポで、気持ちよく聞くことができます。通勤時は、もっぱらこの演奏で楽しんでいます。DENON My Classic Gallery シリーズ中の1枚で、GES-9213 という型番、1980年7月7~9日、壁崩壊前の東ベルリンにおけるデジタル録音です。

参考までに、演奏データを示します。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管 (SONY SBK-46532)
I=9'53" II=11'52" III=5'34" IV=3'48" V=10'17" total=41'24"
■クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィル (DG F32G-20206)
I=13'24" II=12'25" III=5'31" IV=3'36" V=9'19" total=44'15"
■オトマール・スゥイトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ(GES-9213)
I=12'21" II=12'14" III+IV+V=19'01" total=43'36"
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平岩弓枝『はやぶさ新八御用旅』(1)を読む

2006年05月03日 09時48分01秒 | -平岩弓技
平岩弓枝さんの作品、文庫版『御宿かわせみ』シリーズは全部読んでしまったので、講談社文庫の『はやぶさ新八』シリーズを読んでみようかと思いましたが、『御用帳』と『御用旅』と別シリーズなのですね。『御用帳』の方を先に読むべきだったと後で気づいたお粗末。それでもまあ後から読めば大勢に影響はないだろうと割り切って、先日購入した二巻を読み始めました。

町奉行・根岸肥前守鎮衛(やすもり)の内与力、隼新八郎は、奉行から内々に某藩の姫君が無事に国許に到着できるよう側面からの警護を命じられ、江戸を旅立ちます。忠実な治助をお供に東海道五十三次を歩くわけですが、実は誰が姫君なのかよくわからないまま旅が続く。これこそ姫君だと思ったら実は別人だったり、それは姫君と言えば若いお嬢さんを想像しますよ。テレビや映画のステレオタイプと承知しつつ、いわば時代物の「お約束」ですから。そこが平岩弓枝さんの工夫したくすぐりか。

ただし、作品としては『御宿かわせみ』シリーズのような情感の中の気品、のようなものには乏しく、いささかご都合主義が目立ちます。まぁ、明るく太平楽な娯楽ものと割り切るべきでしょう。藤沢周平で言えば、『蝉しぐれ』『三屋清左衛門残日録』の格調高さに対して、『よろずや平四郎活人剣』のような屈託のない明るさ、に対応するような関係でしょうか。

しかし、講談社文庫の「時の旅人になる。」時代小説フェアの帯、劇画風のイラストはあまりいただけません。目つきが鋭いのは当然のこととしても、すだれのような前髪がワンパターンです。なぜ暗い情念を抱えた若者はこういうすだれ髪をするものと決まっているのでしょうか。衣装や時代背景は違っていますが、中年おじんにはみな同じに見えてしまいます。
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満開の桜の下で団子を食べると

2006年05月02日 21時37分08秒 | 散歩外出ドライブ
今年のゴールデンウィークは、県北部では前半にまだお花見が可能という珍しい気候でした。満開の桜の下でお団子を食べると、五月の微風に花びらが舞い、お団子に散りかかります。風情があると言えばいいのか、それとも食べにくくてしょうがないと言えばいいのか、なかなか微妙なところです。
写真は4月23日に投稿した「この風景」と同じ場所から、1週間後の29日に撮影したもので、1週間の違いが実に明瞭です。
さすがに今日は葉桜になっており、短い桜のシーズンはもう終わり。かわって今は果樹園のピンクの桃の花とサクランボの白い花が見事です。
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不要物片付けデーです。

2006年05月01日 17時34分13秒 | Weblog
連休の中日、貴重な平日です。休暇を取り、不要物を片付け、処分場に運搬しました。まず、子どもの小さな自転車。補助輪付きのものが2台、補助輪のないものが2台。記念にデジタルカメラで撮影して、妻の古いミシン、壊れた椅子、古いふとん等とともに軽トラックに積み込み、処分場に持ち込みました。軽トラックごと計量して自転車等の金属製品をおろし、再び戻って計量すると、90kgとのことで、1000円程度の処分料金でした。自転車などは、ちょっと見た目にはまだまだ使えそうなものがたくさんありましたが、どこでも場所ふさぎで困っていたのでしょう。

さらに、午後からは子どものおもちゃ、景品類、カセットテープなど、資源回收の際に引き取らないものを処分。なんとも雑多なものをしまいこんでいたものだと呆れます。それでも目に見えてすっきりしたとは言えない状態なので、まだまだ思いきりが必要です。処分場でも、燃えるごみのほうはだいぶ混雑しており、午前中は待ち時間が1時間かかるとのことでしたが、午後三時半頃には30分ほどで完了。120kgで1500円ほどの経費でした。さすがにこの時間帯になると、処分場に向かう車はかなり少なくなっていたようです。
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