(このマップは『沖縄軍人妻の研究』から転載しました!)
まさにコンタクトゾーン・異文化接触の最たる事例が米軍基地であり自衛隊基地なのかもしれないと、ふと頭に過ったのは『沖縄軍人妻の研究』をぺらぺらめくっての印象!
戦後70年がメディアで盛んに取り上げられた。負の遺産、過去の罪の贖罪を、自らの切開を強烈に意識させたのが2015年秋に出版された『1★9★3★7』だった。振り返って沖縄の戦後を見つめると、その現在が辺野古であり翁長知事に象徴された一年でもあった。名護市辺野古でカヌー隊として日夜頑張っている作家の目取真 俊の姿に象徴されるのが、沖縄の島魂としての70年の現在に思えた。そして、70年の間に沖縄に文化変容が起こっているのも事実である。この、ほとんど行かないBOOKOFFで思いがけなくめくった宮西さんの本は、戦後沖縄の米軍基地、そして復帰後に拡張されている自衛隊基地が異文化接触の縮図そのものだと見えてきた。
自衛隊員と娘が結婚したという教え子の話、また自衛隊員と結婚した知人のお嬢さんの例などは現在形の自衛隊基地と沖縄の人間の異文化接触の先端(フェンスで隔離された微妙な位置)なのだろうと、想像できる。一方で70年の歴史を持つ米軍人軍属と沖縄・日本人の女性達との結婚や交際は、異文化接触のショーケースであり続けるのだと、言えようか?
取り上げられた46人の女性たちの米軍人との結婚や離婚、その後の物語はまさに戦後70年であり続けるのだ。米軍基地の所在する世界の基地の周辺で起こっている異文化接触なのかもしれない。世界の警察官を『自認』するアメリカのManifest Destinyは世界にその力を及ぼそうとしてきた戦後70年の基軸精神なのかもしれない。それへの抵抗勢力がロシア、中国、イラン、南米の反米政権などだろうか?
この書は米軍人妻たちの夫がまたアフガニスタンやイラクに派遣されているゆえに、グローバルな視点を余儀なくされている。アメリカ国内でマージナル化されている軍人の立位置も浮上してくる。留学時代にKSの基地の町に一度行ったことを思い出した。ルームメートの韓国系アメリカ人の女性はその町そのものが差別されていると語っていた。基地の存在は忌むべきものだったのである。日本の25倍もあるアメリカ本国のある州の基地の町には韓国系のショップが並んでもいた。
小説や論としても、戦後71年目だが、まだまだ異文化接触先端の島「沖縄」は、語りつくされることはないね。まだまだ語られるべき物語がそこに居座り続けるイメージのままだ。ああ!書きたい物語!
*下のマップは『沖縄軍人妻の研究』より