
何気なく夕食をとりながら目にした最近の国立劇場のパンフを見て驚きました。言語に全く言及していないのです!多言語表示はいいのだが、琉球の伝統芸能の基軸は琉球語、特に首里・那覇語です。言語=文化アイデンティティのコアだと思うのだが、意図的に琉球語の重要さを削除しているようです!編集者はどなた?おかしいですね!伊波普猷は「国語は民族の呼吸」と記しています。その時の国語は日本語ではなく、琉球語です。
組踊の特徴はその楽劇性にあり、唱え、音楽、踊りが重要だと書いています。しかし、日本語の唱えなんですか?唱えも音楽も踊りも琉球語で成り立っています。こんな重要なことを見逃す方が「国立劇場おきなわ」の企画代表であるという現実は、おかしいです。それを指摘できない「保持者」やまた「伝統組踊研究生」を指導する「教官たち」であり、また代表理事の皆さん方であるという現実はかなり厳しい状況を示しているのだと、唖然としてしまいました。
イギリスのウェールズ地方にはウェールズ語で上演される国立劇場があります。「ウェルズにおいて、文化という、私たちのアイデンティティの本質は、ウェールズ語を通じて立ち現われます」とメイリオン・ジョーンズさんは言っています。2011年に鹿児島大で開催された《辺境》の文化力ーケルトに学ぶ地域文化振興のシンポでの発言です。ケルト文化圏の方々の言語意識が深く文化に根ざしていることに感銘を受けたシンポジウムでした。しかし沖縄のこの現実は文化の根を見据えない行為に見えます。
「組踊と世界史」の対比はおもしろい。
琉球古来の芸能=Okinawa's indigenous performing arts と翻訳しています。Ryukyu kingdom’s ancient performing arts? The kingdom of Ryukyus is originated from 1429 till 1879 for 450 years. Ritual dances and old stories could be taken into the form of Kumiodori, but indigenous ?土着、地域の芸能というとRyukyu’s specific ritual performing artsに思えます。 先住民のではなく土着の意味でindigenousかもしれないがー。
このパンフには琉球語での説明が他の外国語より先に必要ですね!2009年ユネスコは琉球諸語=危機言語と認定しました。2010年、組踊は世界無形文化遺産としてユネスコが認定しました。その言語は琉球語ですね。日本語で沖縄の伝統芸能は表現(表出)できません。こんな重要なエッセンスをパンフレットに記述しない「国立劇場おきなわ」は文化の核(コア)を忘れた形骸化したものを追いかけ、表現する場になったのでしょうか?他の言語より先に琉球語で説明してください!沖縄の伝統芸能は琉球語で成り立っています。古典音楽は日本語で歌っていません。8・8・8・6のリズムにのせて歌われ唱えられます。琉歌の大切さも強調したらいいですね。7・5のリズムも入ってはいますが、基軸は8・8・8・6です。
このパンフは6つの国立劇場を強調しています。ウェールズ語だけの国立劇場のように、沖縄は独特な琉球語で表現される伝統芸能の場(空間)なのです。文化の多様性・多元性を認識し、自らのアイデンティティの根を表示できない下のパンフは、歴史の歪曲ですね。