チョムスキー批判のサイトの最後に飛び出してきた格言です。
以下は転載(備忘録)です。さっと見たのですが、興味深いです。表現の自由を認めよう。論じる自由を疎外してはならない、ですね。政治的なスタンスや状況や選択がどうであれ、個人やアカデミックな探求を疎外してはいけないということかと考えます。どんな異なる主張も、考えも封印してはならない。表現の自由を尊重するスタンスの重要さですね。ややもすると政治は情緒で流れますから、魔女狩りにはならない公正な姿勢の在り方がまた問われますね。同じ色は常に危険ですね。少数意見なり異なる意見の排除は危険で奈落の底に落ちてしまうことをすでに経験している私たちですよね。
道徳的動物日記←始めて知りました!いいブログですね!道徳的という3文字がちょっと気になりますが、徐々に見てみましょう。
動物や倫理学やアメリカについて勉強したことのある人の日記です。
スティーブン・ピンカー、ノーム・チョムスキーらがイスラエルに対する学術的ボイコットを批判
<iframe class="embed-card embed-webcard" style="max-width: 500px; height: 155px; width: 100%; margin: 10px 0px; display: block;" title="米人類学会が、イスラエルの大学へのボイコットを決定" src="http://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fjapanese.irib.ir%2Fnews%2Flatest-news%2Fitem%2F59993-%E7%B1%B3%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E3%81%8C%E3%80%81%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%83%9C%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%92%E6%B1%BA%E5%AE%9A" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>japanese.irib.ir
Anthropologists for the Boycott of Israeli Academic Institutions
アメリカ人類学会(American Anthropological Association)は、パレスチナに対するイスラエルの侵略などを批判する目的で、イスラエルに対する学術的ボイコットを2015年の年次総会で決議した。
学術的ボイコットは、イスラエルに対するBDS(ボイコット・投資引き下げ・制裁)運動の一環として位置づけられているようだ。上述の記事によると、アメリカ人類学会だけでなく、アジア系アメリカ人スタディーズ協会 、アメリカン・スタディーズ協会、ネイティヴ・アメリカンと先住民スタディーズ協会、アメリカ女性学会なども、イスラエルに対する学術的ボイコットを既に決定している*1。
しかし、イスラエルに対する学術的ボイコットや、学術的ボイコットという考えそのものを批判する学者たちも存在している。アメリカ人類学会の決議については、反対する学者たちによるホームページもできている。
http://www.againstanthroboycott.org
このホームページには、様々な学者による、学術的ボイコットに対する批判的な声明や評論・エッセイなどが掲載されていたりリンクが貼られていたりする。学問的な読み物として面白い文章も多い。
このホームページに記載されている記事やインターネット上の他の記事を色々と読んで私が判断したところ、イスラエルに対する学術的ボイコットについて批判する意見は、以下のことを主張している場合が多いようだ。
・イスラエルの大学や学者がイスラエル政府の政策を支持しているとは限らない。だが、学術的ボイコットは、イスラエルという国や政府の行為に対する制裁を、イスラエルの大学や教育機関や学者などに与えている。国家や政府の責任とその他の組織や個人の責任を混同する行為である。
・戦争、占領、虐殺、圧政などを行っている国や政府は現在の世界でも数多く存在しているし、中東地域に限ってもそのような国や政府は多数存在しているのだから、イスラエルだけをボイコットの対象にするのは恣意的である。他の国を批判せずイスラエルだけを特別に批判する理由を言明するべきだ。
・上記二つの問題に関連して、反ユダヤ主義の疑いがある。
・学術的ボイコットは、近年のアメリカのアカデミズムで問題となっている、左傾化の一端である。人類学や女性学などの学問の研究者であることと、イスラエルを批判することや左派的な政治的見解を持つこととの間には関係性がないはずなのに、前者と後者が必然的に結び付いているかのように考えていたり行動したりする学者や学会が数多く存在している。学問と政治との混同である。
・学問は政治的に中立であるべきだから、特定の政治的見解を学会が採択して政治的行動を実行しようとするのは中立性に違反している。多数決で採択されたとしても、その学会内で少数派の政治的見解を抱いている学者にとっては、学問の自由や言論の自由の侵害となる。
今回は、スティーブン・ピンカーとノーム・チョムスキーという特に有名な学者たちに関する短い文章と、学術的ボイッコトへの批判点が端的にまとめられている文章を紹介する。
http://www.againstanthroboycott.org/steven-pinker/
アメリカ人類学会の決定への反対を表明する、スティーブン・ピンカーによる短い文章。なお、2014年にも、ハーヴァード大学で行われた、イスラエル製のソーダ水製造機「ソーダ・ストリーム」を大学から撤去しようとするBDS運動に対してピンカーは反対声明を出している*2。
「選択的な悪魔視(Selective Demonization)に反対する」by スティーブン・ピンカー
近年のイスラエル政府は、非難されるべきことを多く行っている。しかし、イスラエルの政策は国民国家として認められる限度を超えていて、個人的な公正や学問の自由を否定する声明が特別に出されるほどに残虐なのだろうか?グローバルで歴史的な視点から、イスラエル-パレスチナ紛争について考えてみよう…そもそも、それこそが人類学者たちに期待されていることだろう。The Center for Systemic Peaceという団体は、武力紛争の犠牲者を定量化しようとする試みを行っている*3。団体のデータによると、世界中がイスラエル-パレスチナ紛争に大騒ぎしているのにも関わらず、世界中の戦争の犠牲者の合計においてイスラエル-パレスチナ紛争の犠牲者が占めている割合は少ない。イスラエル-パレスチナ紛争ではこの60年間でおよそ2万2千人の死者が出ているが、その死者の数は世界中の武力紛争の中では96位であるし、継続中の紛争の中でも14位だ。だからといってイスラエルの行っている暴力が認められる訳ではないが、イスラエルだけを不公平に悪魔視することには疑問が持たれるだろう。例えば、中国やインドやロシアやパキスタンに対しては、なぜアカデミック・ボイコットを起こさないのだろうか?いずれの国でも軍事占領や暴力的衝突が起こっている。さらに、イスラエルとは違って、それらの国は大量虐殺を公式に宣言している敵たちからの外的脅威に直面してもいないのだ。世界は圧政を行う政府と継続中の紛争に溢れているのに、それらの国のうちただ一つの国の市民だけが特別に悪口を言われて制裁を与えられる、というのは不適当ではないだろうか?
<iframe class="embed-card embed-webcard" style="max-width: 500px; height: 155px; width: 100%; margin: 10px 0px; display: block;" title="Noam Chomsky opposes cultural boycott of Israel" src="http://hatenablog-parts.com/embed?url=http%3A%2F%2Fwww.aljazeera.com%2Fprogrammes%2Fupfront%2F2016%2F02%2Fnoam-chomsky-opposes-cultural-boycott-israel-160201110337640.html" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>www.aljazeera.com
イスラエルに対する文化的ボイコットへの反対を表明しているノーム・チョムスキーへのインタビュー動画が掲載されている、英語版アルジャジーラの記事。
ノーム・チョムスキーがイスラエルに対する文化的ボイコットに反対
<iframe src="http://www.youtube.com/embed/UbA0pUK808I?feature=oembed" frameborder="0" width="480" height="270"></iframe>www.youtube.com
上記の動画にて、アメリカの学者ノーム・チョムスキーはメフディ・ハサンに以下のように語っている*4。「活動家であるなら、自分の選択がどのような結果をもたらすかということについて考えることが習性となります。自分の気持ちを良くするために行動するわけではないのです。」
パレスチナ人を支持するためのBDS(ボイコット・投資引き下げ・制裁)運動は、イスラエル製の商品に対するボイコットだけではなく、イスラエルの文化・教育に関する成果物や組織に対するボイコットも訴えている。
チョムスキーは「占領地域に反対する」BDSキャンペーンは支持しているが、「イスラエルそのものに対する行動」には反対している、と言う。
「アメリカ合衆国は恐ろしい行為を行っていますが、だからといって、私はハーヴァード大学や私自身の大学をボイコットすることを提案しません。それと同じことです。…(中略)… (訳注:イスラエルに対してボイコットするなら)アメリカに対しても同じようにボイコットするべきではないでしょうか?」とチョムスキーは付け加えた。
カリフォルニア大学バークリ校の前副総長のジョージ・ブレスレル(George Breslauer)とロバート・バージンオー(Robert Brigeneau)による、バークリ校の公式ブログに掲載された記事の抜粋。
記事の全文はこちら。
On boycotts of Israeli academic institutions « The Berkeley Blog
「バークリー大学の前副総長による、人類学会のボイコットに反対する声明」
「カリフォルニア大学バークリー校の人類学者たちには、アメリカ人類学会の決定に対して反対することと、学術的ボイコットという考えそのものに反対することを私たちは求めます。その主な理由は、以下の二つです。(1)アメリカ人類学会の決定にはダブル・スタンダードが含まれている。(2)このようなボイコットは、学問の目的と信頼性に対して影響を与える。
まず、ダブル・スタンダードについて。中東の他の地域では大規模な虐殺が起こっており、イスラエル人がパレスチナ人を犠牲にしている数の文字通り数千倍の数の人が犠牲となっているこの時に、イスラエルに対するボイコットの組織的決議が採択されたことは憂慮すべきである、と私たちは考えます。全てのムスリムの命が重要なはずです。
次に、外交政策に関する問題に政治的圧力を与える目的で大学や学部が学術的ボイコットを行うことは、学術的組織として不適切であるし、学術的組織そのものに対しても潜在的に有害である、と私たちは考えます。
学問の根本的な規範や、学問や学術教育の外在的・内在的な正当性や信頼性を保つデリケートなバランスに対して、学術的ボイコットは脅威を与える、と私たちは考えます。フランスの社会学者ピエール・ブルデューを引用しますが、一部の学者は「社会や政治に関わる学問(engaged scholarship)」のことを「格闘技」だと思っているのです。
学問が社会や政治に関わることは重要であり評価されるべき貢献である、と私たちは考えます…ただし、 その学者がエビデンスの基準を遵守していると見なせる理由が充分にある場合か、自分は意見や好みを表明しているだけだと学者自身が認めている場合に限られます。」
*1:マイノリティ関係の学会が多いのは、「インターセクショナリティ」理論にも関係しているのだろうか
<iframe class="embed-card embed-blogcard" style="max-width: 500px; height: 190px; width: 100%; margin: 10px 0px; display: block;" title="「"インターセクショナリティ"はフェミニズムとは正反対だ」 by エヴァ・グラスラッド - 道徳的動物日記" src="http://davitrice.hatenadiary.jp/embed/2016/02/25/102341" frameborder="0" scrolling="no"></iframe>davitrice.hatenadiary.jp
Revered Harvard Psychologist Blasts Campus Capitulation on SodaStream | The Tower
*4:メフディ・ハサン(Mehdi Hasan)はアルジャジーラ英語版のプレゼンター。ハフフィントン・ポストの日本語版にも彼の記事が載っている。
http://www.huffingtonpost.jp/mehdi-hasan/