日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

アバーテの「帰郷の祭り」(栗原俊秀訳)を読みました

2020年12月08日 | イタリアの本・絵本・雑誌
アバーテの「帰郷の祭り」(栗原俊秀訳)を読みました



先日 カルミネ・アバーテ氏のオンライントークイベントで 最近刊行された「海と山のオムレツ」の朗読を聞くことができました:

『世界イタリア料理週間:トークイベント「食とアイデンティティ」でカルミネ・アバーテの朗読を聞きました(2020.11.17)@イタリア文化会館』は  こちら

実は 今年アバーテのの短編集の購読レッスンを取ったのですが 取る前に 彼の小説の日本語訳を1冊でも読んでおけばよかったなぁと思いました 
ギンスブルクは「ある家族の会話」を読んでから取ったので 家族関係等もわかり 翻訳する時に助かりましたが...

なので レッスン終了後に彼の日本語訳を一冊ずつ読んでゆきました

「帰郷の祭り」(2016年)は 今回購読レッスンで訳していたアバーテの短編集と同じバックグラウンドでわかりやすく すっと頭に入りました

お父さんがフランスに出稼ぎに行かねばならず ずっと故郷にいてほしいと願う息子とその家族たちのエピソード
姉は お父さんがフランスで若い頃結婚したフランス人との間に生まれ 家の中に様々な旋風を巻き起こします
飼い犬のスペルティーノは 賢くて勇敢で... この犬も短編集に出てきていましたね

アバーテの若き頃の思い出に根づいた作品世界 移民の切ない思いを綴った男性的な筆致に惹かれて さて次は一番の長編
偉大なる時のモザイク」を読みます!!

彼の作品にはよく 母語のアルバレッシュ語 学校で習うイタリア語 移民先の言葉(この本ではフランス語 短編集ではドイツ語) 
そしてカラブリア方言が出てきます
どうやって訳してよいか全くわからず... この本ではカタカナに直して 文脈から意味を推測できるようにしたり イタリア語の挿入句をつけて文意を明らかにするという手法がとられていたのですね 参考になりました!

父親がとうとう最後に大きな決断をした時 家族の強い結びつきと故郷への熱い思いを感じ取って 胸があつくなりました

「移住はかつてのアバーテにとって 怒りとともに書くべき対象にほかならなかった けれど書き続けるうちにやがて
旅立ちを強いられた者』の宿命を愛し 認めることを学んでゆく」(訳者あとがきより) 

ひとりの作家の作品を 年代順に読んでゆくと そういったこともわかってくるのですね...

「帰郷の祭り」は こちら

私にとっては オンラインであってもアバーテ氏に会うことがてきて 直接お話しはしませんでしたが とても良い思い出になりました💛




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