日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

アバーテの「偉大なる時のモザイク」(未知谷/栗原俊秀訳・解説)を読みました(2020年8月)

2020年12月11日 | イタリアの本・絵本・雑誌
カルミネ・アバーテの「偉大なる時のモザイク」(未知谷/栗原俊秀訳・解説)を読みました(2020年8月)



アバーテの購読レッスンを取ってから 日本語で彼の小説を読み始め いちばん最後にとっておいたのが長編「偉大なる時のモザイク」(il mosaico del tempo grande)でした

実はこの翻訳をされた栗原俊秀氏が この翻訳でもって第2回須賀敦子賞を受賞された時に 私もその授賞式(2016年11月)に参加させていただいたのです

その時には 私にはとても読めないと思って手を出さずにいたのですが...
あれから数年 イタリア語で アバーテの短編の購読レッスンを取ったことがきっかけで 読めるかも...と思いたち
なるべく薄い本から順番に読み始めて ようやく念願の「偉大なる時のモザイク」を あっというまに夢中で読破できました!

何世代にもわたって繰り広げられる アルバニアから南イタリアに移民となって500年前にわたってきた一族の物語です
人物紹介が最初にあるので 照らし合わせながら確認できたので助かりました!

  *   *   *

カルミネ・アバーテは 南イタリアに点在するアルバニア系住民(アルバレッシュ/arbëresh)の共同体のひとつ カルフィッツィ生まれ
バーり大学を出たのちドイツに移住して働く父をたよって移住 移民がテーマの多言語が混ざり合う小説を書く

これらの土地では今も 古アルバニア語に近い「アルバレッシュ語」が話され 独自の文化や習俗が残る
15世紀初めから18世紀後半まで オスマン帝政下のアルバニア(当時は「アルべリア(Arbëria)と呼ばれていた)からイタリアに逃れてきたキリスト教徒が 今のアルバレッシュの祖先にあたるそうです


過去とは現在の記憶であり 未来とは 現在の希望である...

イタリアに移住したアルバレシュたち 閉塞した村人の憎悪 記憶と希望の錯綜
世代を超えて繰り返される 移住また移住
500年以上前の 祖先の逃走に憧れたアントニオは 未来を求めて村を脱出
そして青年ミケーレも 村から旅立つ...

アルバレシュの架空の共同体「ホラ」の物語です

偉大なる時のモザイク」(未知谷)は こちら

これを読んでからまた アバーテの短編テキストを読み返すと じっくり理解できるんだろうなぁ... 先に日本語で読んでおけばよかった!!

アバーテの作品リストは こちら


2020年12月9日(水) オンラインで第4回須賀敦子章授賞式に参加しました 
授賞作品 國司 航佑訳『断想集』(ジャコモ・レオパルディ著、幻戯書房、2020年4月刊)

新進気鋭の國司氏の受賞の言葉を聞きながら 栗原氏の授賞式の時のことを思い出しました (どちらも小さいお子さんが参列していたのです)  本当におめでとうございます!!




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