「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告&海外の生協2016」を読みました@生協総合研究所「生活協同組合研究」
公益財団法人 生協総合研究所(CCIJ)主催の公開研究会「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」の配布資料「生活協同組合研究 (2016.8 Vol.487)」の特集記事「海外の生協2016 世界的な環境変化のなかでの歩み」の中で 「イタリアで設立が進むコミュニティコープ訪問報告」という記事を興味深く読みました:
コミュニティコープは 欧州をはじめとした世界各地で増え続けている 地域社会と密着した事業活動を行う協同組合のことです
とりわけ 公的サービスが行き届かない小規模自治体で設立が増えており 「くらし」にかかわるニーズに応えて住民の満足度を高めることが目的とのこと
なのでこのリポートでは 南イタリアのプーリア州(かかとの部分)のレッチェ(Lecce)とバーリ(Bali)の 二つの村のコミュニティコープが紹介されていました
これらは レガ・コープ(Lega Coop)によって支援されています
イタリアには協同組合の中央会が5つありますが(コンフコープ レガ・コープ AGCI UNCI Uni.coop)2017年1月に一つに合併し ACI(Alleanza Cooperative Italiane/イタリア協同組合同盟)を設立したとのこと
さてプーリア州バーリとは かのアルベロベッロで有名な街ですね
コムーネ(comune)は基礎自治体で8000以上ありますが そのうち7割が人口5000人未満なのです ← というわけで"Il borgo più bello d'Italia"という「イタリアの美しい村コンテスト」が盛んなのですね♡
2008年のリーマンショック 2010年の経済危機で 小規模自治体は様々な公共サービスが閉鎖・中止されたりしている中にあって 福祉 交通 エネルギー 地産地消 観光 飲料水 教育などのサービスを 地域のニーズに合わせて提供し 組合員以外の非組合員である地域社会の構成員にもサービスが利用できるのだそうです
またイギリス・ウェールズでも 子育て支援や地域のレクリエーション活動 コミュニティセンターを運営等のケースがあるそうです
さてプーリア州レッチェ県 メルピニャーノ(Melpignano)村(人口2300人のコムーネ)に2011年に設立されたコミュニティコープの事業とは...?
太陽光発電パネルを組合員の自宅の屋根に設置することだそうです! ソーラーパネルの地面設置には除草剤を撒くことになるため 屋根に設置することを初めて決めたのが 有志住民たちが作った「メルピニャーノコープ(comunità cooperativa Melpignano)」とのこと
ここの村長さんは 「イタリアの真の村の協会」(Borghi Autentici d'Italia)の会長でもあります
2014年にプーリア州でコミュニティコープに関する州法が制定されたそうで 州法はアブルッツォやリグーリア州など 他の州にも広がっています
この報告にある2016年4月現在でのコミュニティコープは イタリア全土で40 1500人の組合員がいるとのこと レガコープのコープフォンド(協同組合基金)の助成を受けています
2013年からは継の環境保護のための水販売事業「水の家プロジェクト(Casa dell'acqua)」が始まりました
村の中心地に水の販売機が作られ ペットボトル消費を抑えるだけでなく 運搬のCO2も減らし 村人たちの出会いの場ともなり いつしかカップルまで誕生し...♡ ← これがイタリアらしさ!
次に プーリア州バーリ県 アルベロベッロにあるフェイバーシティコープは 2015年に設立され 30代の若者が中心となって 児童の学習サポート 交通手段の改善を行政に要請したり 村の伝統工芸の振興策なども行っています
まとめには 1970年代に経済危機に見舞われ 公共サービスが行き届かなかった時にも 協同組合が福祉サービスを提供し これが1991年に法制化された社会的協同組合の前身となったとあります
さらにこの「イタリアの社会的協同組合」という本も見つけました♪
* * *
この冊子の特集記事「海外の生協2016」にあった それ以外の国での協同組合の紹介記事をざっと:
欧州6ヵ国生協の経営状況(イギリス フィンランド スゥエーデン デンマーク スイス スペイン) については 欧州での売り上げベスト10に生協は入っていないが ベスト50にはミグロ コープ・スイス コープ・イタリア コーペラティブ・グループ(CG)の5生協(連合会)が名を連ねています
欧州の生協は概してシェアが高く 国外展開するのはフィンランドとスイスのみですが 国内市場で高いシェアを持ち成長の余地がないため 周辺国に進出しているのですね
イギリスのコーペラティブ・グループ(CG)は 2008年にスーパーマーケットチェーンの買収に失敗し 倒産の危機から再建へと 生協内で7割近いシェアを持ちます
スペインのエロスキ(Eroski)生協もやはり2007にチェーンの買収に失敗 2013年に倒産の危機 「Contigo(あなたとともに)」と名付けた生鮮強化の新コンセプトで再建
スゥエーデン生協連(KF)は組織再編 2013年に「コープ・スウェーデン(Coop Sweden)」と再編し 2015年に黒字化...と 事業売却など 事業構造の変化が進んでいます コープのシェアは20.5%ですが ディスカウントストアが急成長
フィンランドは シェア42%の生協(Sグループ)と 30%のケスコの二者寡占状態ですが リドルがシェアを上げているとのこと
デンマークは 「コープ・デンマーク」が31%とトップだが2位の「ダンスク・スーパーマーケット」と激しく拮抗
デンマークのコペンハーゲンのCoopのリポート記事をネットで探して読むと カタログもなく 野菜は選べず配給所まで取りに行く 月3時間の労働もあり組合員参加型とのこと すごいですね!
スイスの生協については レポート「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」を参照
次の特集記事「ユニークな経営で成功を収める イギリスの労働者協同組合」ですが ユニコーン(Unicorn Grocery Workers'Co-operative)という イギリスでもっとも成功している労働者協同組合の一つを紹介していました
ベジタリアン向けのホールフードを開始し 原則オーガニック 非GMO
地域コミュニティと協同し さびれた地域にできたが ユニコーンが成功してから環境がよくなったそうです
また面白いのは職員(組合員は職員であり同時にそれぞれ経営者)は3~4種類の複数の仕事をかけもちし 日によって違う仕事をし(マルチ・スキリング) 時給もよいが その時給も組合員自身で決め 賃金は全員同一とのこと
大変興味深い内容でした 日本の 自分の入っている生協と色々比べてみてみました♪
公益財団法人 生協総合研究所は こちら
他にも色々な発行物があり さまざまな活動をしています
(2016.8)
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コミュニティコープは 欧州をはじめとした世界各地で増え続けている 地域社会と密着した事業活動を行う協同組合のことです
とりわけ 公的サービスが行き届かない小規模自治体で設立が増えており 「くらし」にかかわるニーズに応えて住民の満足度を高めることが目的とのこと
なのでこのリポートでは 南イタリアのプーリア州(かかとの部分)のレッチェ(Lecce)とバーリ(Bali)の 二つの村のコミュニティコープが紹介されていました
これらは レガ・コープ(Lega Coop)によって支援されています
イタリアには協同組合の中央会が5つありますが(コンフコープ レガ・コープ AGCI UNCI Uni.coop)2017年1月に一つに合併し ACI(Alleanza Cooperative Italiane/イタリア協同組合同盟)を設立したとのこと
さてプーリア州バーリとは かのアルベロベッロで有名な街ですね
コムーネ(comune)は基礎自治体で8000以上ありますが そのうち7割が人口5000人未満なのです ← というわけで"Il borgo più bello d'Italia"という「イタリアの美しい村コンテスト」が盛んなのですね♡
2008年のリーマンショック 2010年の経済危機で 小規模自治体は様々な公共サービスが閉鎖・中止されたりしている中にあって 福祉 交通 エネルギー 地産地消 観光 飲料水 教育などのサービスを 地域のニーズに合わせて提供し 組合員以外の非組合員である地域社会の構成員にもサービスが利用できるのだそうです
またイギリス・ウェールズでも 子育て支援や地域のレクリエーション活動 コミュニティセンターを運営等のケースがあるそうです
さてプーリア州レッチェ県 メルピニャーノ(Melpignano)村(人口2300人のコムーネ)に2011年に設立されたコミュニティコープの事業とは...?
太陽光発電パネルを組合員の自宅の屋根に設置することだそうです! ソーラーパネルの地面設置には除草剤を撒くことになるため 屋根に設置することを初めて決めたのが 有志住民たちが作った「メルピニャーノコープ(comunità cooperativa Melpignano)」とのこと
ここの村長さんは 「イタリアの真の村の協会」(Borghi Autentici d'Italia)の会長でもあります
2014年にプーリア州でコミュニティコープに関する州法が制定されたそうで 州法はアブルッツォやリグーリア州など 他の州にも広がっています
この報告にある2016年4月現在でのコミュニティコープは イタリア全土で40 1500人の組合員がいるとのこと レガコープのコープフォンド(協同組合基金)の助成を受けています
2013年からは継の環境保護のための水販売事業「水の家プロジェクト(Casa dell'acqua)」が始まりました
村の中心地に水の販売機が作られ ペットボトル消費を抑えるだけでなく 運搬のCO2も減らし 村人たちの出会いの場ともなり いつしかカップルまで誕生し...♡ ← これがイタリアらしさ!
次に プーリア州バーリ県 アルベロベッロにあるフェイバーシティコープは 2015年に設立され 30代の若者が中心となって 児童の学習サポート 交通手段の改善を行政に要請したり 村の伝統工芸の振興策なども行っています
まとめには 1970年代に経済危機に見舞われ 公共サービスが行き届かなかった時にも 協同組合が福祉サービスを提供し これが1991年に法制化された社会的協同組合の前身となったとあります
さらにこの「イタリアの社会的協同組合」という本も見つけました♪
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この冊子の特集記事「海外の生協2016」にあった それ以外の国での協同組合の紹介記事をざっと:
欧州6ヵ国生協の経営状況(イギリス フィンランド スゥエーデン デンマーク スイス スペイン) については 欧州での売り上げベスト10に生協は入っていないが ベスト50にはミグロ コープ・スイス コープ・イタリア コーペラティブ・グループ(CG)の5生協(連合会)が名を連ねています
欧州の生協は概してシェアが高く 国外展開するのはフィンランドとスイスのみですが 国内市場で高いシェアを持ち成長の余地がないため 周辺国に進出しているのですね
イギリスのコーペラティブ・グループ(CG)は 2008年にスーパーマーケットチェーンの買収に失敗し 倒産の危機から再建へと 生協内で7割近いシェアを持ちます
スペインのエロスキ(Eroski)生協もやはり2007にチェーンの買収に失敗 2013年に倒産の危機 「Contigo(あなたとともに)」と名付けた生鮮強化の新コンセプトで再建
スゥエーデン生協連(KF)は組織再編 2013年に「コープ・スウェーデン(Coop Sweden)」と再編し 2015年に黒字化...と 事業売却など 事業構造の変化が進んでいます コープのシェアは20.5%ですが ディスカウントストアが急成長
フィンランドは シェア42%の生協(Sグループ)と 30%のケスコの二者寡占状態ですが リドルがシェアを上げているとのこと
デンマークは 「コープ・デンマーク」が31%とトップだが2位の「ダンスク・スーパーマーケット」と激しく拮抗
デンマークのコペンハーゲンのCoopのリポート記事をネットで探して読むと カタログもなく 野菜は選べず配給所まで取りに行く 月3時間の労働もあり組合員参加型とのこと すごいですね!
スイスの生協については レポート「スイスの二大生協の歴史と現況 ミグロとコープ・スイスを比較しつつ」を参照
次の特集記事「ユニークな経営で成功を収める イギリスの労働者協同組合」ですが ユニコーン(Unicorn Grocery Workers'Co-operative)という イギリスでもっとも成功している労働者協同組合の一つを紹介していました
ベジタリアン向けのホールフードを開始し 原則オーガニック 非GMO
地域コミュニティと協同し さびれた地域にできたが ユニコーンが成功してから環境がよくなったそうです
また面白いのは職員(組合員は職員であり同時にそれぞれ経営者)は3~4種類の複数の仕事をかけもちし 日によって違う仕事をし(マルチ・スキリング) 時給もよいが その時給も組合員自身で決め 賃金は全員同一とのこと
大変興味深い内容でした 日本の 自分の入っている生協と色々比べてみてみました♪
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(2016.8)
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