「古代ローマ ごくふつうの50人の歴史 無名の人々の暮らしの物語」(河島思朗/さくら舎」を読みました(2023年9月)
本の紹介:
古代ローマの人々は、どのような生活を送っていたのでしょうか。本書ではローマが大きく発展した共和政末期から帝政初期に生きていた50人の人々(ときどき神様や伝説上の人物、動物も含む)に焦点を当て、彼らの碑文などの資料から当時の庶民の暮らしをひもといていきます。
彼らはカエサルやアウグストゥスといった、ローマの統治によって歴史を彩った有名人物ではありません。しかしその暮らし・人生を一片一片集めることで、巨大なモザイク画のように古代ローマがリアリティをもってよみがえってきます。
第1章:ローマのはじまりの歴史
第2章:衣・食・住事情
第3章:日常生活をのぞき見る
第4章:働く人たち
第5章:学術・技術の担い手
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今まで古代ローマの歴史や皇帝について等の本を読んだり ローマ歴史セミナーを受けてきましたが この本はローマ時代の市井の人々に焦点をあてた一冊で とても身近に感じつつ読みました
お墓に刻まれた碑文をひもといて ローマ市民が生きてきたその暮らしぶりや職業のことを詳細に再現しており とても興味深かったです
写真等も多く 説得力のある一次資料を参考にしつつ読み進めました
「ポンペイ展」 「永遠の都ローマ展」で見てきたものもあります
第1章:「ローマのはじまりの歴史」
ロムルスとレムスの母 レア・シルヴィア ローマを裏切ったサビーニ人の娘タルペイアが 特に印象に残りました
第2章:「衣・食・住事情」
クリーニング店 (当時は尿を用いてクリーニングをしていたのですよね!) 靴職人(解放奴隷が主人の名前をつけていたことも知りました) 居酒屋 (ポンペイで発掘された遺跡のように 台所がないため外食がメインでした) パン屋 美食家(客によってもてなす部屋を変えていたとは😲) 商人 マンションの管理人 質屋 レンガ造り 家と家庭の守り神ラレス(土地・家と家庭の守り神で ララリウムという神棚のようなものが各家庭に祀られていた) 交通事故で亡くなった少年等...
第3章:「日常生活をのぞき見る」
女神や奴隷 美容師 香油店の経営者 戦車競走の賞金王 剣闘士 エトルリア人等が紹介されています 解放奴隷が主人の職業での片腕となったり等興味深いですね
第4章:働く人たち
皇帝と王の主治医 小売り業者 宝石デザイナー モザイク職人(主に奴隷で 天井のモザイクは作る際に危険を伴った等) フレスコ画家 ガラス職人 縫製や銅細工職人 鍛冶屋 配管工等 今の暮らしにも直結する職業が紹介されていて興味深かったです😊
第5章:学術・技術の担い手
Gを発明した小学校の先生(当時はラテン語のCは「ク」と「グ」と発音されており、子供たちのためにGを作ったそうです😲) カエサルの家庭教師 女性詩人 (ポンペイ展で見たあのサッフォーのモザイク💕)
女性詩人サッフォー(ナポリ考古学博物館)
速記者 本屋 図書館司書 助産婦(当時の死産・乳幼児死亡率の高さ!) 建築家 犬(ポンペイ展で見たモザイク🐶) 等...
古代ローマの無名の人々の暮らしぶりが見えてきて ローマ帝国がとても身近に感じられる一冊でした📖
本は こちら