■第33回都山流尺八演奏会チラシ・プログラム
■日立システムズホール
11月17日、仙台市青葉区旭が丘の日立システムズホールシアターホールで開催された都山流宮城県支部主催の『第33回都山流尺八演奏会』へ行ってきました。
尺八の音色に興味を持っていた私でしたが、本格的な尺八演奏会へ行く機会が無く、今回、初めて行ってきました。
【「光」をテーマにした尺八演奏会】
開催にあたりテーマがあるそうで、今回は、「光」をテーマにしたそうで、直接、「光」でなくても、光を感じさせる曲を含めて演奏するということでした。
季節感のある「若葉」、「都の春」、「若葉」、「朝緑」、夜の光から「月夜」、「夕月」、「銀河の幻想」、曲調や歌詞、リズム感等から「新青柳、「松風」、「光陰」などを選曲し、光を感じて貰えればという内容でした。
【賛助出演・特別出演も多く】
都山琉の他に仙台の尺八グループ8社の賛助出演、都流山山形県支部からも特別出演、更には東北大学邦楽部の出演など盛大な演奏会になっていました。
尺八だけの演奏と思いましたが、箏や絃などの共演もあり、尺八と弦の音色に耳を傾けて見事な演奏を聴いてきました。
【羽織・袴姿の正装】
圧巻は、金屏風をバックに羽織・袴の正装で演奏した尺八奏者約50名による本曲若葉・八千代と言う演奏でした。
【尺八・箏・弦の演奏は圧巻】
今回は、全16曲を演奏されたそうですが、1曲の演奏時間は長く、尺八の音色は多種多様で、聞きごたえのある尺八の音色を楽しんできました。
尺八、箏、弦に合わせた唄いも心地良く、別世界へ引き込まれたような気分で聴いてきました。
【尺八奏者の名前も独特】
尺八奏者の名前も独特でした。
師範の演奏なのか都山流の流れを汲む○○山という名前が多く、演奏家の紹介でも、○○山というアナウンスも聞きなれないためか新鮮な気持ちで聴いてきました。
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【尺八の思い出から~2004年10月16日~】
尺八と言えば、南蔵王へ登山に行った時のことを思い出しました。
2004年10月16日の出来事として私のホームページに記した、『南蔵王登山と山麓に流れる尺八の音色・・・』の一こまをご紹介したいと思います。
◆前山付近で女性の登山客と・・・
〔尺八を持った登山客〕
前山付近で女性の登山客に会った。これから登るにしては時間も遅いのではと思った。一期一会と思いながら女性の登山客に話しかけた。ふと女性の手許を見ると、ステッキにしては太い竹のようなものが目に付いた。登山に尺八と不思議に思いながら、「それは、尺八ですか。」と聞いた。女性は、「そうです。練習に来ました」と答えた。
〔尺八の思い出〕
私は、今まで経験した尺八の思い出をいろいろ話した。尺八の音色が好きなこと。秋田出身の私は、小さい頃から民謡を聴く機会があった。田舎のお祭りには、紅白の幕が張られた舞台が設けられ、そこでは、必ず尺八や三味線つきの民謡が歌われていたこと。また、新入社員研修の際、尺八を吹く教官がいて、教室で尺八の演奏を聴いたこと。更に、今年の夏、『瑞厳寺灯道』のお祭りで虚無僧が吹く尺八の演奏を聞いたことなどを話した。
〔山麓に尺八の音が〕
この機会を逃してはと思い、「尺八を聞かせてくれますか。」と問いかけてみた。少し躊躇されたが、私の尺八にまつわることを聞き、「それでは、力を込めて吹きます。」と言った。
吹く前の作法が感動的だった。尺八を両手の親指と人差し指に挟み手を合わせ山に向かって拝んだ。おもむろに両手で尺八を頭上にかざしながらお辞儀をした。山の神様に尺八の全霊を捧げる雰囲気であった。そして、吹き始めた。蔵王山麓に尺八の音色が響いた。風に乗って響き渡った。山麓には、尺八の音色と風の音だけが聞こえた。尺八の独特の音程が広がりなんと素晴らしい空間だろうかと思った。異次元の空間とはこういうことを言うに違いないと感動した。約10分の演奏だっただろうか、その後、風の音だけが残った。尺八を吹き始めた時とは逆の作法で、尺八をおし抱くように頭上に高く 上げお辞儀をし、その後、胸まで尺八を持ってきて手をあわせて拝んで終わった。
蔵王山麓で尺八を聞くことはこれからも無いだろうと思った。尺八を聞かせてくれたことに感謝した。
演奏曲は、虚無僧が吹く「虚空」と説明してくれた。尺八を吹いて6年目と言った。尺八は、首振りで3年と言っていたが、それから3年の経験を積んでいる。それにしても素晴らしい演奏だった。
〔帰りの山道で尺八のBGMが〕
午後3時45分頃、そろそろ時間も遅かったので帰ることにした。帰り道、話が弾んだ。「登山するときは、尺八を持ってよく来ますか。」と聞いた。「蔵王には、1年で5・6回位くらい来るけど、尺八を持って来ることはあまり無いです。尺八の音が好きな人や嫌いな人もいるし、折角、気持ちよく登山しているのに下手な尺八を聞かせると登山客に失礼になるので。」と言った。
途中、練習をして行くと言ったので先に下りることにした。尺八の音色が山々に広がった。女性は、歩きながら練習をしていた。尺八の音色と風の音、熊除けの鈴の音が相互に広がった。尺八のBGMを聞きながら登山道を歩くことは贅沢すぎると思った。
〔鳥を呼び寄せる尺八の音〕
帰りの道は足も上がらなくなりきつかった。間もなくして女性に追いつかれた。
尺八の音が聞こえなくなった時、突然、鳥の鳴き声と羽ばたく音が聞こえた。一瞬、びっくりした。「尺八の音色は、鳥を呼び寄せるんですか。」と聞いた。「そうですね。鳥が同僚の鳴き声と間違えることがあるらしいです。前にも同じようなことがあったので・・・。」と言った。それだけに素晴らしい演奏と思った。後日、友人に聞いたところ、鳥を呼び寄せるための「バードコール」があると言っていた。成る程と納得した。尺八もそのバードコールの役割をしていたのかと思った。
〔獣の糞!?〕
いよいよ南蔵王登山入口の終点に近づいた。女性は、黒い糞をみつけた。女性は、「これは、獣の糞じゃないかな。」と言った。私は、「犬の糞では無いのかな。」と言った。ところが、犬を連れて登山した人がいるのだろうかと思った。「どうして獣の糞なんですか。」と聞いた。「糞に木の実がついているので。」と言った。熊の糞だったら大変と思いながら足早に終点へと急いだ。
駐車場に到着したときは、既に午後4時30分を回り、西の空は、茜雲が広がっていた。