

昨年のちょうど今頃、テレビドラマ化されて話題になっていた、奥田英朗さんの オリンピックの身代金
見る気満々だったのに、ついつい見逃してしまって、その後も気になっていたので原作のほうを読んでみました。
あらすじ 上・・・・(「BOOK」データベースより)
昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。
そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。
前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。
敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ
わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。
圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作。
あらすじ 下・・・・(「BOOK」データベースより)
急死した兄の背中を追うようにオリンピック会場の建設現場へと身を投じた東大生・島崎は、労働者の過酷な現実を知る。
そこには、日本が高度経済成長に突き進む陰でなお貧困のうちに取り残された者たちの叫びがあった。
島崎は知略のすべてを傾けて犯行計画を練り、周到な準備を行う。
そしてオリンピック開会式当日、厳重な警備態勢が敷かれた国立競技場で運命の時を迎える!
吉川英治文学賞を受賞した、著者の代表作。
家日和、我が家の問題と、ほのぼの系家族を描いた作品の印象が強かった奥田英朗ですが
こんなにリアルでディープなフィクションを書いていたのかと、印象を新たにしました。
昭和39年、東海道新幹線の開通、東京オリンピックの開催
西日本の小都市に住む幼稚園児だった私ですが、当時の華やかなムードだけはおぼろげに覚えています。
フィクションとはいえ、50年前の日本の文化や経済や当時の人々の生活が
まるで実際に起こった出来事であったかのように、丁寧に描かれていて
高度成長の裏と表が実にリアルで、なかなか興味深いストーリーでした。
東京の浮かれっぷりと、地方の農村の貧困、日の当たる層と、底辺を這いつくばるしかない層の歴然な差。
5年後に開催される、2度目のオリンピックに沸く現代の東京ですが
当時幼かった我々の世代こそ、こういう歴史を受け止めなければいけないんだなーと思いました。
ちなみに作者の奥田さんも私と同世代ということで、よくぞここまで掘り起こして書いてくれたと思います。
なかなか原作がよかったので、ドラマで先に見なくてよかったかなと感じました。
奥田作品、もっと極めたいと思います。
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