ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

お弟子さんと伊豆旅行~(その2)

2010-10-07 02:30:39 | 能楽


お昼ご飯を食べてから、謡会の会場となっている「招福の宿 ゑびすや」さんにチェックインしました。今回は東京近郊在住のお弟子さんのスケジュールがなかなか合わず、少人数しか参加できませんでしたが、伊豆で稽古してくれている、みーちゃん(小6)と ひとちゃん(小4)、それにそのお父さんやお母さんにとっては初めての謡会です!

素謡は「百萬」「松風」「土蜘蛛」の3曲で、とくに東京から参加の「松風」が、とっても良い出来でした。シテとツレは別々の教室の生徒さんで、しかも事前の打ち合わせもしていないのに、こんなに合っちゃっていいの? ってぐらい連吟が合っています。「松風」の連吟部分は長大ですからアラが見えやすい箇所ですが、ここまでユニゾンが合うと名曲の感じが遺憾なく発揮されますね~。

これには伊豆のお母さん方も「こんなにキレイな曲があるんだ~」と感激されるかと期待したのですが、直後のご自分たちの素謡「土蜘蛛」の出番が近づいているので、それどころではないみたい。それでも、泣いても笑っても出番は来るのであった。



「土蜘蛛」は、ちょうど伊豆のお母さんたちが稽古している曲ではあったのですが、ま、初舞台としては、もうちょっと「うるおい」のある曲がいいかなあ、とも思ったのですが。でも仕舞の稽古しかしていない小学生の娘たちも、この際 胡蝶やトモの役に抜擢してしまえば、5人で謡う「土蜘蛛」にはピッタリと人数が合います。よし! というワケで「土蜘蛛」の選曲にしたのですが、どうやらご自宅での稽古では子どもたちの方が積極的だったようで、トモのひとちゃんは、頼光役のパパをつかまえては何度も一緒に謡っていたそうです。

実際のところ、彼女たちは無本でも謡えたでしょうね。本格的な謡は小学生にはちょっと難しいかもしれないけれど、それも謡本の読解をさせるのではなくて、口移しで教えれば、柔軟な頭脳の中にはちゃんと収まる、それも 我々では考えられないほどのスピードで。そのことは子ども能で身にしみてわかっていたのですから、徐々に謡も稽古を始めてみるかなあ。

そうして仕舞はこれ! なんと小学生二人による「二人静 キリ」です! ああ!アップの写真がピンぼけで悔しい!