ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

子ども能…願成就院参詣(その3)

2010-10-20 20:35:02 | 能楽

新聞記事、届きました~~! まずは伊豆日日新聞。さすが地元紙だけあって、なんと1面トップ扱いですっ!(゜_゜;)

ん~以前、カメラマンの山口宏子さんを通じて、カンボジアの小学校に使っていない楽器を贈るプロジェクトに共鳴しまして、伊豆の子どもたちやお母さんに呼び掛けたところ、元・教え子が所属する大仁中学校のブラスバンド部から多くのリコーダーが寄贈されたことがあって…あのときも教え子から ぬえに楽器が贈呈される様子を日日新聞さんでは1面トップの扱いにしてくれましたっけ。ありがたいことです~m(__)m

さて願成就院ではご住職さまより子どもたちに頼朝の挙兵のお話をして頂きました。前述の通り、伊豆をめぐる頼朝の逸話はキレイごとではない部分も多いのですが、まずは挙兵当時の若々しい頼朝の決意を、子どもたちがこれから立ち向かう舞台や人生になぞらえてお話頂きました。

ところでこのご住職さま、子ども能にとっては今後ずうっとお側で見守ってくださることになります。

どういう事かというと、これまで子どもたちがユニフォームのように着てきた「狩野川薪能」Tシャツをこのたび新調しているのですが、その背中に大きく「能」という文字を入れ、その字こそ、この願成就院のご住職さまにご揮毫をお願いしたものなのです。

いやこれが…詳しくは今後Tシャツが出来上がったときに経緯はまとめてご紹介させて頂く予定ですが、背中に一文字の漢字を入れることは最初から決まっていたのですが、当初は「舞」という字を入れようと思っていました。なんとなく「能」じゃストレート過ぎるかなあ、と思いまして。

これはこれで かなり悩みまして、ネットで目星をつけた書家の方に直談判して、ほとんど謝礼ができないヒドイ条件ながらご揮毫をお願いしようか…なんて状態でした。その後、子ども能出演者のお母さん方にもたくさん意見を出して頂きまして、ほ~んとにいろんな事を考えて、そうして やはり文字は「能」で行こう! という事になったのでした。

でも、字は何であれ、問題は誰がそれを書くか、ということですよね~。「能」に決まるまでが紆余曲折の連続でしたから、いざそれに決まって、またここで行き詰まっちゃいました。あ~誰が書いてくれるんだろう~~?? 子どもたちが習っている書道の先生…とか?? ええい、いっそのこと ぬえが書いちゃおうかなっ…でも ぬえ、あんまり字は上手じゃないしなあ。面白いアイデアでは、ヘタうまを狙って子どもたちに書かせてみる、なんてのもありました。これはかなり有力な案になったのですが、Tシャツ製作のスケジュールとしてはそろそろ時間切れでして、みんなが集まったところで筆や墨を用意して…というところまでの準備は無理でした…

悩んだその時! お母さんのお一人が ぬえに提案してくださったのです。「あの~。今度みんなで願成就院さまへお参りに行くのですよね? Tシャツの「能」の字…こちらのご住職さまにお願いしてはどうでしょうか」

ををっ…?? (゜_゜;) そんな事ができるの?