ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

石巻市の在宅避難者支援団体『明友館』【支援希望】

2011-07-04 04:04:13 | 能楽の心と癒しプロジェクト
石巻市で ぬえが出会った市民団体はこちら。

石巻 明友館

明友館はもと市の「勤労者余暇活用センター」で、震災により被害を受けて、現在は避難所になっている施設です。ところが数ある避難所(段々減りつつあるが、一時は石巻市だけで143箇所の避難所があった模様→石巻市避難所マップ(pdf))の中でここが異彩を放つのは、避難所でありながら在宅避難者支援の活動の一大中心基地となっているところでしょう。ぬえが突然訪問した時にも、石巻市のとなりの東松島市で罹災し、夫の実家に身を寄せている、という若いお母さん二人が不足している物資を求めて来館していました。こういう相談にも乗り、また全国から集まる支援物資を必要に応じて被災者に届け、また不足の品の支援を発信する、というネットワークが確立されてありました。活動地域は石巻市を越えて、すでに宮城県さえ越えて東北地方の沿岸部一帯の被災地域をカバーしそうな勢いです。

ぬえは前日にネットではじめてこの団体を知り、突然訪問したのですが、リーダーの千葉恵弘(ちば・やすひろ)さんにお会いしてお話を聞くことができました。

ぬえは恐る恐る、どうしてよいかわからず東京からとりあえず野菜を少量持参したこと、被災地の惨状と明友館の活動を知り、演能の場や能楽師を通じてこちらの活動を発信できないか考えていること、などを話しました。

が、千葉さんから伺った当地の支援活動の現状など。

まず、震災から3ヶ月が経ち、基本的に食料・衣類などは充足している(しかし義捐金はやはり届いていない)。ただ現地のニーズは日々刻々、また場所によっても大きく変わるので、いま大切なのは、必要な物を的確に集めて必要な場所にいち早く届けること。だから明友館としても必要品の発信の方法には気を遣う。「これが必要」と発信すると、「それ」ばかりが全国から必要以上に大量に送られてしまうので。保管場所の限られているし、配達する車両も軽自動車2台だけしかないので、余分な品物はかえって困ることもある。現地のニーズを捉えて、それに充足する支援をお願いしたい。

要するに、すでに支援のネットワークは確立されていて、このネットワークの中に入り込んで現地のニーズを知り、必要品を必要な数だけ迅速に揃える、というのがいま最も求められているようです。

とはいえ、刻々と変わるその現地のニーズを知るためには現地との頻繁なコンタクトが必要なわけです。伺えば明友館にもいくつか大口の支援者があり、それらの支援者はトラックに物資を満載して幾たびも当地を訪れて支援しておられるらしい。こういう方々との息の合った通信によって必要な物資を届けるネットワークが構築されて、物資のスムーズな流通~円滑な支援が可能になったのでしょう。ああ、どうも ぬえは遅きに失したらしい。いや、いち早く支援を始めても、ぬえの財力では途中で息切れしてしまうかも…

では、これらのネットワークに入っていない、また個人のささやかな善意はすでに受け入れてもらえないのでしょうか? 否、それでも千葉さんが仰るには、「いくつあっても困らないもの」があるのだそうです。

まずは野菜。これはとても重宝され、先日も支援者が4tトラックに野菜を満載して支援しましたが、あっと言う間にはけてしまったそうです(トップ画像は ぬえ持参のあまりに貧弱な数の野菜を感謝して受け取って下さった千葉さん)。それから季節によって必要なもの。たとえば扇風機。それから子どもの下着類。扇風機は節電が叫ばれているためどこでも品薄で、現地でも足りていないそうです(これはこのあと訪れた避難所でも感じた)。子どもの下着類というのは、どうしても被災地では洗濯の機会が少ないところにもってきて、子どもの衣類は90cm~160cmまでいろいろなサイズが必要なため、不足しがちな品物だということでした(注:衣服の支援は新品に限る)。

これらの品物ならば、現地で邪魔にならず喜んで頂けると思います。前回書きましたように、野菜であれば数千円である程度の分量の支援ができます。衣類もまとめて安価で売っているお店があるかも。ぬえも早速何か送ろうと思っています。どうか現地のご支援を希望されておられる方、募金だけでは心のトゲが抜けない方は、上記 明友館のサイトもご覧になって最新情報に留意された上、ご支援頂ければありがたく存じます~


【以下 明友館サイトから転載しました】

支援物資送り先

※お手数ですがお送りいただく前に必ずメールにてご連絡頂き、品目、
 個数を詳しくお知らせ下さい。 明友館はそれほど広い施設ではありません。


〒986-0017 宮城県石巻市不動町2-16-10
           明友館 千葉 恵弘 宛

支援物資募集にあたり下記注意事項を良くお読みください。

【梱包の際のお願い】

1 物資はなるべく側面にも内容物をご記入下さい。
  ダンボールは積まれる事が多いので側面を見て内容が解ると
  送る側、配る側の手間が省けます。

2 混載はご遠慮下さい。様々な物資が入っている箱をそのまま
  避難所などに届けることはまずありません。仕分けする必要があります。

3 衣類はサイズ別、品目別に分けてください。また、
  下着など直接肌に触れる物は必ず新品をお願いいたします。
  自分が着たくないものを送るのは支援活動ではありません。残財処分です。

4 食料については賞味期限、消費期限をよくお確かめ下さい。

明友館支援活動基金

現金書留の場合は以下の宛先までお願い致します。

〒 986-0017 宮城県石巻市不動町2-16-10
                明友館  千葉恵弘
お振込み頂く場合下記の口座にお振込み下さい。

 三菱東京UFJ銀行 仙台中央支店
 普通 1387149
 名義 チバ ヤスヒロ

ご協力お願いいたします。


石巻市で支援団体にコンタクト

2011-07-04 04:04:13 | 能楽の心と癒しプロジェクト
翌日…石巻市を訪れましたが、海沿いの一部地域はもう壊滅的な被害で、目を覆うほど…。また地形によって被害に大きな差があることも印象的でした。

さて ぬえは思いつきのように東京を出てきたわけですが、東京に、どちらかというとひそやかに伝えられている情報としては、どうも赤十字などの大きな団体に寄せられた義捐金が現地の被災者にうまく届いていないこと、今はむしろ在宅避難者の支援が急がれていること、そこで必要とされているのは現金…はもちろんでしょうが、むしろそれよりも野菜や飲料水など、その場ですぐに使える生活必需品であること…などでした。

それで、ぬえもその情報の真偽はわからないままに、出発直前に近所のスーパーマーケットに行って野菜を買い求めることにしました。…なんせ思いつきのスタートだったもので、その日の ぬえの準備は慌ただしいもので、まずはカーナビを買うところから…(^_^;) ぬえの愛車のレイちゃんには、いまだにカーナビがついていなかったのです。いつでも ぬえは、こういうの、遅いです。でもさすがに今回はあまりに東京から離れた土地を広範囲に移動しようというのですから、カーナビがなくては無理だな…と判断して、ようやくナビを買うことにしたのですね。出発当日に買ったナビ。取説は実際に走りながら休憩時に時々読む程度で、あとは走りながら動かすことで使い方を覚えました。

さてそれからようやく被災地に持って行く物資の買い込みでしたが、そもそも被災地に何を持っていけば良いのか? それを誰に渡せば良いのか? まさか避難所に突然持って行く? …それも前回ご紹介した八千代ウェディングの内田さんから「100人避難しているところに99個の品物を持っていっても意味がない…それはまた別の問題を引き起こすことにもなる」…というような事を以前聞いていまして、ぬえは買い物にも躊躇してしまいました。…でもまた、手ぶらで被災地に入ることは、結局 被災地の「見物客」と同様になってしまうわけで、それだけはなんとしても避けたい、という思いもあって、それで出発直前にスーパーに野菜を買いに行ったのです。もう、手探り状態ですね。

スーパーではたまたま、キャベツのタイムセールをしていました。葉物野菜はすぐに傷んでしまうけれど、キャベツは別。ニンジンとかジャガイモとか、保存の利く野菜が、長距離の輸送にはいいでしょう。…で、店員さんにこのキャベツを10個欲しいので段ボール箱をつけてください、と聞いてみました。タイムセールの品で、個数に制限があるのでは? と危惧した ぬえではありましたが、数量をまとめての購入にも「奥から箱入りのまま持ってきますね」とあっさりOK。「10個だと1箱とちょっとですね~」と言われたので、それでは2箱ください、ということになりました。これと先日の生徒さんの発表会の打上パーティーで余ったウーロン茶を1箱もって いざ出発。

あとで思ったことですが、被災地への援助はこれでも十分に意味を成します。この時掛かった費用は、恥ずかしい話ですが2,000円にも満たないものでした。現地で引き取ってもらえない場合を考えて2箱を購入するにとどめた ぬえでしたが、これならば10箱買えばよかった。事前に事情を話せばスーパーでも特価のまま10箱を用意してくれるでしょう。現地で現実に逼迫して必要としている物資を数千円で届けられるならば、誰でも気軽に支援が出来るでしょう。こういう情報はもたらされないのか? これを知っていれば ぬえの心のトゲも簡単に抜けたでしょうに。…ところがそう簡単ではない事情を、この日、現地の支援団体の方とお会いして話を聞いて、はじめて知ることになるのでした。

ぬえは東北に入った初日は現地を見て回り、その夜はネットで予約した塩竃市のビジネスホテルに宿泊したわけですが、翌日の行動の目安を知るために、そうして野菜を受け入れてくれる団体や施設を知るために、ホテルの部屋でPCを使っていろいろと検索してみました。これは東京でも検索できたことかもしれませんが、今回の震災はあまりに被害が広範囲に渡っていて、支援をしようにも個人の検索では目的地が絞り込めない、ということもあると思います。気仙沼や石巻は地名としても知られていますが、それだけに支援の手はいち早く差し伸べられたのではないかと思います。一方 南三陸町や陸前高田市、女川町などは、この震災で初めて名を知った人も多かったのでは… また一方ではこういうマイナーな…つまり規模として小さい町にこそ支援が届きにくい、というような情報も聞こえてきて、遠隔地の人々はピンポイントに即効性の確かめられるような支援がしにくく、結果として日本赤十字やテレビ局など大きな義捐金募集に応募するしかない、または支援そのものを躊躇することになってしまった…という事もあったのではないかと思います。

ぬえはこの日塩竃市に宿泊することで、ようやく翌日の行き先…野菜を届ける先は石巻市が適当であろう、と思って検索を絞り込んで、ようやく一つの市民団体のサイトにたどりついたのでした。