ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

写真展「津波が来た学校」(9/4~9/9 東京・吉祥寺)

2011-09-06 01:36:15 | 能楽の心と癒しプロジェクト
今日は笛方のT氏とともに写真展に行ってきました。

写真展『津波が来た学校 ―石巻・湊小学校―』
2011年9月4日(日)~9月9日(金) 11:30~18:30

吉祥寺・あーとらんだむ 吉祥寺駅北口パルコ裏レンガ館2F
主催:復興支援ボランティア・コーポレーション=石巻・湊小学校を応援する東京の会+加藤昌人写真事務所

東京新聞web

ぬえ、ツイッターでこの情報を見つけたのですが、なんと ぬえもお世話になった湊小学校を、被災から避難所として使われている現状までを活写した写真展です。

会場は東京の吉祥寺ですが、じつは ぬえ、高校時代に吉祥寺に通っていまして、なんだか久しぶりにこの街に来たように思います。

さてこの写真展ですが、吉祥寺がある武蔵野市在住で元・高校教師である松田隆夫氏が中心となって開かれているものです。松田氏は震災の10日後に友人の安否を確認するために石巻に入り、その友人との再会を果たしたのち、湊小学校の支援を始められたそうです。校舎が津波の被害を受け、被災者の避難所になっているために教室が再開できない湊小学校のために物資支援を続け、ようやく近所の中学校の教室を間借りして授業が再会されてからも、登下校にバスを利用するストレスが児童や教師に重くのしかかる様子を見て支援を拡げる必要を感じ、この7月に「湊小学校を応援する東京の会」を立ち上げたのだそうで、この写真展も湊小学校の支援の輪が拡げられれば、とのお考えで催されているのでした。

なるほど…元教師ということもあって松田氏の視点は、避難所になったために犠牲を強いられる事になってしまった湊小学校の児童たちに向けられているのですね。一方で住む家を失った避難者にとってこの学校は生活の基盤そのものでもあるわけです。難しい問題はこんなところにもあったのですね…

ともあれ松田氏のスタンスは等しく児童にも、避難者にも向けられているようでした。160点におよぶ写真は松田氏が撮影されたほか、湊小学校避難所で撮影を続けるカメラマン加藤昌人氏の撮影されたものなどによって構成されていますが、湊小学校や周辺の被災状況から児童の姿、そして避難所の住人の方々の姿まで、まんべんなく網羅されてあるようでした。

会場となったギャラリーは小さなスペースでしたが、オーナーの方が松田氏のために提供してくださったとのこと。写真は壁一面に所狭しと貼り出されてありましたが、ぬえが知らない震災直後の、瓦礫だらけ、ヘドロが堆積した学校や周辺の様子から始まり、それは目を覆うほどのひどい被害でした。ぬえが最初に湊小学校を訪れたときは震災から3ヶ月半が経ったところで、それでもひどい有様でしたが、よくまあこの状態からあそこまで片づけたものだと思います。



それから写真が伝えることは、湊小学校が4月下旬にに新学期を開始したものの、教室が確保できずに再び休校に追い込まれた様子、近所の住吉中学校で授業が再開されたけれど、3台のバスを使って毎日登下校をしなければならない現状、中学校の行事のため校庭が使えず、やむなく近所の公園で体育の授業を受ける児童の姿…。そしてまた一方、湊小学校で寝起きする住人さんたちの様子やボランティアのみなさんの奮闘ぶりまで、あますところなく湊小学校をめぐる様々な事象を網羅しています。



この写真展に ぬえが伺うことにつき、湊小学校で活動を続けるボランティア団体「チーム神戸」の代表・金田真須美さんにもお話したのですが、金田さんは「カメラマンの加藤さんにも ぬえさんのお話はしてありますので、ぜひ声を掛けてくださいね」と、意外なお言葉を頂き、なんだか楽しみに写真展に伺ったのでした。

あいにくこの日は加藤氏はおられなかったのですが、松田氏とは親しくお話をさせて頂きました。これまた意外な展開があったのですが…



そして加藤氏という方も、じつは ぬえが知っている方だということがわかりました。明日(もう今日ですが)、ぬえは加藤氏にお目に掛かるために、もう一度写真展に行って来ようと思っております。