ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

東北支援の旅、スタートしました!(その2=パレットおおさきの挑戦)

2011-12-26 08:46:05 | 能楽の心と癒しプロジェクト
宮城県・古川市に泊まったのは、ここで今回ではなく次回の東北支援活動のための事前打合せのためでした。まずは ぬえより先に石巻に入って、現地での打合せをしてくださっていた笛のT氏と合流して、さて向かった先は「パレットおおさき」と通称される「大崎生涯学習センター」でした。

ここには500名を収容できるホールや視聴覚施設、そうして「伝統文化室」と名付けられた和室などもあるのですが、なんといっても素晴らしいのは天文台や立派なプラネタリウムがあることです。館内に入った ぬえはびっくり! プラネタリウムなんて何年も行っていませんでしたが、やっぱり圧倒される巨大さ。最近は映画館に近いような投影もされているようで、この日もお客さんでにぎわっていました。

そうして、やはりこちらの施設でも震災の被災地支援のために、さまざまな活動をされておられました。被災地へ赴いて子どもたちのために星空を見上げる集いを開いたりする「天文ボランティア」活動、親子で楽しむことによって家族や地域のつながりを深める試みである「星を見る会」「星空音楽会」をプラネタリウムで開いたり。。「絆」プロジェクトという名前の活動をされておられます。

こうした取り組みに、ぬえらの「能楽の心と癒しプロジェクト」もご協力させて頂く提案を、幽玄堂さんより頂きまして、この日はその可能性を探る打合せです。ところが ぬえらの活動を説明させて頂いているときに、担当の方が意外なお言葉を。「あ。。石巻の湊小学校で活動されておられるんですか。。? そこの子どもたちのために“移動プラネタリウム”の投影をしてきましたよ」

またしても湊小つながりが。いやいや、その前に「移動プラネタリウム」って何??

なんとそれは小型の投影機を使って、プラネタリウムを学校などに持ち込んじゃおう、というものでした。そしてその「携帯投影機」がトップ画像! なんと元々はプラネタリウムに固定されていたものを取り外して車輪を備えた台座に据えたもの。そうしてその星空を映し出すスクリーンは、空気を送り込んで膨らませる、やはり移動式のドームです。投影機は50kgの重量しかなく、驚くべきことにドームは折り畳めば一人で持ち運びができるほどコンパクトになります。トップ画像の投影機の横に見える青いバッグにそれは納められているのでした(!)。これで収容人数は大人で20名ほど。学校の子どもたちが対象であれば、1クラスみんなで一緒に星空を見ることができます。

この機材はプラネタリウム業者さんが開発したもので、こちらでは1年間の貸与を受けておられるそうでしたが、これを駆使して、湊小…の校舎は被害を受けているので、その子どもたちが通う住吉中学校を会場に、星空の投影を行ったのだそうです。う~ん、素晴らしい!

さてさて打合せは順調に進み、先方のご意向も伺って、いろいろなアイデアを出し合って ぬえどももご協力させて頂けるのではないか、という確信を持つことができました。今からとっても楽しみです~~

が。。ふと事務室から外を見やると、そこは雪が渦を巻くように建物に吹き付けています。。「!!」 「…いや、こんなものじゃないですよ」「今日はおだやかですよ」なんて事も無げにおっしゃる担当の方。そしてダメ押しのひと言が。「次にお出でになる頃は地吹雪ですんで、覚悟してお出でください」 。。。(×_×;)

覚悟を、今日から決めて外に出ました。次に目指すのは岩手県の釜石市。最初の活動地です。東北道を走っていると、だんだん吹雪になってきました。もう3時を過ぎてだんだんと暗くなってきて、あたりの車は慣れたもので陽が出ているうちに少しでも距離を稼ごうとするかのように猛スピードで走っています。ぬえは4時間の行程でしたがビクビクしながらノロノロと。。

やがて高速も終点を迎えて、それでもあと釜石まで80km! そのうえ、カーナビが選んだ最短ルートは。。山越えでした。。走りながら ぬえは考えた。「これが。。釜石に向かう幹線道路。。? あり得ない。。」。。はい、その通りでした。釜石の宿所に到着してそのことを話すと、一様に驚かれたのでした「あそこを通って来たんですか!?」すぐに明日到着するメンバーにメールしました。「カーナビを信じるな。ヤツは裏切り者だ」