ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

東北支援の旅、スタートしました!(その9=石巻の宿舎と「味の東助」)

2012-01-08 02:44:47 | 能楽の心と癒しプロジェクト
石巻初日のスケジュールをこなした一行は、これから5日間を過ごすための宿舎へとりあえず移動。現地で ぬえたちの宿舎を確保してくださったのは9月に上演した門脇中学校の住民さん(避難者)のリーダーのFさんで、ご案内頂いた場所は、ボランティア団体の事務所のとなりにあって住民さん向けの憩いの場として解放されている「石巻まちカフェ」という施設でした。

トップ画像がその外観ですが、意外にキレイでしょ? 年末年始ということで休業中の事務所・カフェを使わせて頂いたのですが、もとよりその施設も被災した建物(店舗が集合した建物)をボランティア団体が間借りしているもの。ぬえらが投宿した「カフェ」は、元は旅行代理店でした。カーペット敷きのフロアに事務所から畳をお借りして敷いて、寝具はもちろん ぬえらが持参したものを使います。寒さについては随分心配したのですが、さすが寒冷地とあって、巨大な石油ストーブは完備してあって安心! ただし元は商業施設ですからトイレはそれぞれのオフィスの共用。宿舎としてはいったん外に出て行かねばならないことになります。しかもトイレは電気が復旧しておらず、LEDランタンを持参して行くことになりました。



こちらは宿舎の内部。いやいや、快適です~



で、こちらはNくんにマッサージをしてもらうTさん。そろそろ東北滞在も5日目を数え、お疲れも出てくる頃でしょう。Nくんはマッサージ終了後、Tさんにこと細かに身体の使い方についてアドバイスをしていました。能楽師は器用な人が多いね~。。

それで、宿舎にはもちろんお風呂はナシ。こちらは近所の銭湯も被災していたので、車で10分くらいかけてスーパー銭湯に通うことになりました。このスーパー銭湯、もとは「やまとの湯」といっていたようですが、震災後に名前を変えたのでしょう、ぬえらが行ったときには「元気の湯」という名前になっていました。しかし~、スーパー銭湯の入浴料700円は痛いっ! ぬえらが東京に帰る元日にはボランティアさんのお手伝いもあって近所の銭湯「鶴の湯」も再開することになっていましたが。。そういえば ぬえも以前にご紹介したように、避難所時代の湊小学校には新潟の地震被害への手助けのお礼として設置された「希望の湯」がありましたし、それが終了してからもピースボートによって運営されていた仮設風呂「不動の湯」がありました。これらもすべて10月の避難所の閉鎖とともに姿を消し。。避難所を活動の拠点としていたボランティア団体と一緒にこの地を去ってしまったのです。

それでも ぬえがお世話になっている「チーム神戸」など、避難所閉鎖のあともまだ石巻に別の拠点を確保している団体はお風呂はどうしているのか。。これ、今回の滞在の事前に「チーム神戸」と連絡を取っている間にちょっと聞いてみたのです。。というのも、避難所から出た彼らが次の拠点として見いだした場所は。。やっぱり ぬえらの宿所と同じく、被災した建物をオーナーの善意によって拝借しているのでした。ちなみに「チーム神戸」の場合は湊小学校からすぐそばの激甚災害地にある歯医者さんの建物が新しい拠点でした。石巻に到着した翌々日には ぬえもそこで公演することになりますが、ここも水道電気ガスは通っていても、湯船につかるのは無理だそうで、やはりスーパー銭湯頼みなのだとか。出費も大変だろうに、震災に遭った神戸のボランティア団体だからこそ、というか、支援体勢の充実があればこそ、でしょうね。

さてお風呂に入ってから急いで湊小学校のそばにある焼き鳥店「味の東助」へ夕食に。このお店、これまた ぬえがかつてご報告しましたように、震災直後に京都から石巻支援に単身で来て、それからずっとここに滞在して自転車の修理などをしている ちゅんさんの拠点。湊小避難所時代に仲良くなった店主の「とおさん」の店の再開のためにずっと店の改修を続け、避難所が解消されてからはここに住み込んで、店舗の一部を自転車修理の店としています。とおさんは仮設住宅住まいですけれど、先日には念願の焼鳥屋さんも再開し、ぬえはここで焼き鳥を食べるのを楽しみにしていました。年末なのでどうかな~~?? とは思ったけれど、なんとか正月休み直前に行けてセーフ! ちゅんさんは ぬえとは入れ違いに東京経由で京都へ里帰りして不在で残念でしたが、焼き鳥はウワサに違わず絶品! でした。



お客さま(近所の住民さん)と話も弾み、ぬえもこれまでの湊小での活動をお知らせしましたが、とおさんと かあさんは「私、あんたの能を見たよぉ」とのことでビックリ。ま、同じ湊小にいたのですからそういう事もあるかもしれませんが、なんだかうれしいお言葉でありました。