ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

東北支援の旅、スタートしました!(その16=チーム神戸「ふれあいサロン」能の会)

2012-01-21 20:58:06 | 能楽の心と癒しプロジェクト
ご報告に戻って12月30日の続き。

避難所が解消となってから「チーム神戸」の拠点となった「ふれあいサロン」(内海歯科のご厚意によって被災した医院の建物を拝借している)での公演は、なんだか大盛況でした。1階は津波被害があったとは思えないほど手入れが行き届いていて、いつもの面々…リーダーの金田真須美さんとスタッフの水島緑ちゃん、無尽洋平くんも相変わらず忙しく立ち働いていました。

水島さんは当初から金田さんと一緒に関西から当地にやってきたようですが、無尽くんはなんと東京の人。ぬえと同じように6月に石巻にやってきて、そのままチーム神戸の一員として湊小で働きはじめ、以来ずっと石巻にとどまっているのです(!)。若さがあるから出来ることですね~。なんにしても素晴らしいバイタリティです。そのうえ無尽くんはこの日が誕生日でした! おめでとう~~ まずは「ふれあいサロン」の開所祝いということで、到着してすぐ出演者一同で居囃子『高砂』を謡いました。邪気を払い、福がもたらされますように。。

この日つめかけた(と言って良い盛況でした)お客さまは、みんな近所の住民さんです。ある方は比較的被害が軽微だったご自宅に住まわれ、またある方は仮設住宅からお出ましになりました。多かれ少なかれ湊小避難所で金田さんたちのお世話になった方々なのでしょう。金田さんの人望の厚さゆえ、その後もこうして「ふれあいサロン」に集っておられるのですね。

とはいえ、次の3月11日…震災1周年を迎えると、当地の状況はガラリと一変してしまうのですが。。

さてこの日は『菊慈童』を演じましたが、終演後には装束の着付け体験をしました。ワキのNくんも大サービスで『菊慈童』のワキの勅使の装束を着付けて差し上げて、をを~お内裏さまとお雛さま~ …少々時代は経っておりますけれども。いや、それでも立派に、キレイに、みなさんとても楽しんでくださいました~ (^^)V



ところでこの日、9月に湊小で上演したときにご一緒したお坊さん、曹洞宗庄内青年会の渡辺祥広さんとまたまたご一緒させて頂きました。

渡辺さんは9月にはじめてお目に掛かった際も、万事控えめに身を引きながら 能の上演の合間に住民さんたちに果物のサービスをされていましたが、伺えば ぬえなんかよりずっと以前から湊小で活動しておられ、それは ぬえのような上演などの、いわば派手な活動とは違って、有志のお坊さんたちとご一緒に、湊小避難所の住民さん方のお部屋をひとつひとつ廻りながらお茶やコーヒーのサービスを続けてこられたのだそうです。9月に見た、作務衣を着てとても静かに果物を勧めておられるそのお姿に ぬえはとっても美しさを覚え、感銘を受けました。

こんな事もあって、この度の石巻訪問では ぜひ再び渡辺さんたちとご一緒に活動をしたい、という希望を持ち、9月の訪問をコーディネートしてくださったチーム神戸の金田さんから渡辺さんのご連絡先をお知らせ頂いて、ぬえの方から活動をお誘いしたのでした。渡辺さんも喜んでくださって、前回と同じように能の公演の合間に茶などをお勧めします、とのことでした。あいにく年末の事ですからお寺も忙しい頃で、結局この日は渡辺さんお一人で石巻にいらしたのですが、まあ大きな荷物をお持ちになってびっくり。お茶や紅茶などの飲み物、お菓子、そうして絶品の玉こんにゃく! これは抜群に美味しかったです~~(*^。^*)





金田さんもカレンダーなどのお土産を住民さんたちのために用意され、いや~楽しい1日になりました。



こっちでは無尽くんが近所の子どもたちの宿題を見てやっていますね~



この夜は仮設住宅の集会所でも能の上演をしたのですが、避難所当時とは違ってこのような場所では上演後に住民さんと如何にふれあう時間を作るか、が大切だということを学びました。

そのうえこの日は金田さんがお客さまに提案してくださったらしく、終演後に住民さんからの寄せ書きを頂戴しました(!)。これやヤバい…マジ泣きそうでした。半年間しか石巻に来ていない ぬえに頂く資格があるのか。。でも ぬえも、最初こそ「被災地支援」なんて格好のよい事を言っていましたが、今となっては石巻のあの優しい人々に会いたくて、また行ってしまうのですよね~。金田さんも ぬえにこっそり「な? なんだか元気をもらっているのは、うちらの方かも知れへんな」と言っておられました。確かに。。



渡辺さんと再会を約して、次の公演会場である仮設住宅に向かいました。渡辺さんは今回も爽やかな印象と明るい笑顔を ぬえに与えてくれましたね~。また次回の訪問の際も渡辺さんとご一緒に活動できるよう、いまご相談を申し上げているところです。



あ、そうそう、仮設住宅に向かう前に、同じく避難所が解消となって拠点を変えた「明友館」にもお邪魔してきました。



ここは湊小のすぐ目の前の「みなと荘」という建物で、正式には「石巻市総合福祉会館」という施設でした。1階には「湊幼稚園」もあったのですが…やはり津波の被害を受けていまは無人の状態で、そこを間借りして支援団体である「明友館」が新しい事務所を開いたのでした。幼稚園のあった部屋は、いま支援物資倉庫となっています。





ここでリーダーの千葉恵弘さん(ご本人も被災者)と久しぶりに再会して、ここでもやはり居囃子『高砂』にてお清めをして参りました。

を?? Kyoranに手伝ってもらった「ふれあいサロン能の会」のチラシがちゃんと入口に貼りだしてありました~