<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

三月の僕の詩 「一番星」

2022年03月05日 09時23分53秒 | Weblog

「一番星」       山鳩暮風

 

すべてがなされたことを

感謝します

わたしが

今日を生きて行くために必要な

必要なすべての歯車が

回ったのです

 

働き合う歯車の一つ一つが

わたしをゴールにしています

それを順々に遡って行くと

遠く銀河に至ってしまいます

 

夕日が西の山稜に

ゆっくり落ちて行きます

一番星がきらりと光りました

 

すべてがこうしてなされました

わたしが生きて行くために必要な

必要なすべての歯車が回りました

 

八階の病室の窓に

街の赤いネオンがキラキラします

若い看護婦さんが一日のラストの

血圧と熱を測りに来ました

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3月の僕の詩 「届け物」

2022年03月05日 09時15分11秒 | Weblog

「届け物」      山鳩暮風

 

お届け物です

声が言いました

少年が玄関に出てみると

もう声はいませんでした

声の代わりに

真っ赤な夕焼け雲が

兵隊のように挙手をしました

 

届け物は

隣の家にもその隣の家にも

そのまた隣の家にも

隣の隣の隣にも

平等に届いていました

 

夜になると

冷たく重なる玻璃山稜は

影の欠片の一つ一つを

丁寧に集めて回って

この少年のために

ペチカを燃やしました

 

届け物はこれからも

きっときっと続くでしょう

寂しい一人の少年が

寂しい目をしなくなるまで

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