「一番星」 山鳩暮風
すべてがなされたことを
感謝します
わたしが
今日を生きて行くために必要な
必要なすべての歯車が
回ったのです
働き合う歯車の一つ一つが
わたしをゴールにしています
それを順々に遡って行くと
遠く銀河に至ってしまいます
夕日が西の山稜に
ゆっくり落ちて行きます
一番星がきらりと光りました
すべてがこうしてなされました
わたしが生きて行くために必要な
必要なすべての歯車が回りました
八階の病室の窓に
街の赤いネオンがキラキラします
若い看護婦さんが一日のラストの
血圧と熱を測りに来ました