俳句は己を振り返るのに適している。過ぎて行くばかりの時間に、これでストップが掛かる。するとそこが静かになって来る。明るくなって来る。過ごしている人生が、やさしく語り掛けて来る。
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コーヒーと日付けの変はるころの雪
埼玉県川越市 諏訪一郎さんの投稿作品。
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この俳句が高野ムツオ選で三席に入賞したいた。
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選者評;受験勉強とも在宅ワークとも取れる。やっと一区切りつき、コーヒーを淹れた。時計を見たら午後12時過ぎ。折から雪が降り出した。中七から下五の句またがりによるゆったりとした表現が一息ついた充実感を伝える。
さすがは選者だなあ。こんなふうに読み取られると、状況がありありと浮かび上がって来る。
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「日付けが変わる頃」の作者の時間が、おーいと呼びかけて来て、そこで立ち止まって、あったかいコーヒーとあったかい俳句を飲ませているようだ。
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過ぎて行くばかりの時間もこうやって日の目を見て、よろこんでいるだろう。
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