「いにしへ号」
約35年ぶり! JR西、京都~奈良間の臨時特急「いにしへ」号を運行へ…奈良観光のマイナス面、打開なるか まいどなニュース 25/02/24
JR西日本は1月、京都~奈良間に臨時特急「いにしへ」号の運行を発表しました。「いにしへ」号が通る奈良線(京都~木津)に臨時特急が設定されるのは、実に約35年ぶりとのこと。一方、京都~奈良間には近鉄特急が幅を利かせています。そこで、「いしにへ」号の意義を考えてみたいと思います。なお、料金は2025年2月現在のものです。
京都と奈良を結ぶ「いにしへ」号
「いにしへ」号は奈良線を経由し、京都と奈良を結びます。運転日は4月19日(土)、4月20日(日)、5月17日(土)、5月18日(日)です。ダイヤは1日1往復となり、下りは京都9時41分発、奈良10時36分着。上りは奈良16時14分発、京都17時03分着です。途中停車駅は宇治駅のみ。京都~奈良間の所要時間は京都→奈良間は55分、奈良→京都間は49分です。
「いにしへ」号は、全車指定席の3両編成です。乗車には乗車券の他に指定席特急券1290円(通常期)が必要です。京都~奈良間の普通運賃は720円なので、指定席特急券を加えると2010円になります。なお、指定席特急券の料金は、全区間同一です。
ところで、京都~奈良間にはすでにリクライニングシート車を使う近鉄特急があります。近鉄特急は、京都~近鉄奈良間を約35分で結び、昼間時間帯の運行本数は観光特急「あをによし」を加えて、1時間あたり1~2本。特急券を加えると、京都~近鉄奈良間の近鉄特急の料金は1280円です。
このように京都~奈良間で単純比較すると、近鉄特急に対し「いにしへ」号はまったく勝ち目がないように思えます。
「いにしへ」号は他線区と組み合わせるとおもしろい
話は変わりますが、現在の奈良県観光のマイナス面を表すフレーズとして、「安い、浅い、狭い」の3拍子がよく聞かれます。「安い」は県内における観光客1人あたりの消費額の安さ、「浅い」は滞在時間の短さ、「狭い」は年間を通じて観光客が奈良公園に集中する観光エリアの狭さ、を表すとのこと。奈良県では、このマイナス3拍子の克服に向け、様々な努力をしています。
たとえば、奈良県は昨年からJR西等と共にプロジェクト「なら SLOW&LOOP」を展開しています。これは万葉まほろば線、和歌山線、大和路線で構成される環状線(奈良~天理~高田~王寺~奈良)を対象とし、Webページ等での情報発信やデジタルパスの販売等を行っています。
また、2022年3月には万葉まほろば線が通る天理市に「なら歴史芸術文化村」が開村。同時に宿泊施設「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」が開業しました。なら歴史芸術文化村へは、JR・近鉄天理駅から直行シャトルを利用します。
「いにしへ」号の終着駅の奈良駅では、万葉まほろば線に接続します。万葉まほろば線沿線には、天理の他に、酒蔵や日本最古の神社といわれる「大神神社」もあり、様々な奈良の観光スポットに出会えます。近鉄でも、奈良市中心地から天理駅へ行けますが、所要時間を比較すると、万葉まほろば線経由の方が短いです。
このように、「いにしへ」号は他線と組み合わせることで、観光客をまだ見ぬ奈良へ導くことでしょう。同列車は、奈良県の観光課題である「狭さ」の解決に貢献できる特急列車のように思います。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)
*https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E7%B4%8435%E5%B9%B4%E3%81%B6%E3%82%8A-jr%E8%A5%BF-%E4%BA%AC%E9%83%BD-%E5%A5%88%E8%89%AF%E9%96%93%E3%81%AE%E8%87%A8%E6%99%82%E7%89%B9%E6%80%A5-%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%B8-%E5%8F%B7%E3%82%92%E9%81%8B%E8%A1%8C%E3%81%B8-%E5%A5%88%E8%89%AF%E8%A6%B3%E5%85%89%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%82%B9%E9%9D%A2-%E6%89%93%E9%96%8B%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%8B/ar-AA1zEF3U?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=7fc7f8e806354f6ad7176ccea9b642c4&ei=9 より
この春、JR 奈良線に臨時特急「いにしへ」号が登場!
*https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240117_00_press_rinjitokyuInishie.pdf より