第117回 2016年2月16日 「神秘の模様 輝く光~宮城 仙台の漆器~」リサーチャー: 白石美帆
番組内容
朱と黒、緑と黄の4色の漆があやなす神秘的な模様の器がある。仙台で作られたもので、実は陶器に漆を施した「陶胎漆器」。素地を作る際、指で付ける円環状の“ろくろ目”と、40回以上塗り重ねた漆層を研ぐワザが模様を生む。そして、光の当たり方によって色味や輝きが繊細に変化する「玉虫塗」も仙台生まれ。近年では、現代のニーズに応え、食洗機でも傷が付きにくい強度を実現させた。挑戦を続ける仙台の漆器。その魅力に迫る。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201602161930001301000 より
1. 陶胎漆器 仙臺堆朱製作所(南 一徳さん)
一般的に漆器と言えば木に漆を施してあるもので、これを『木胎』と言います。
それに対して、陶磁器に漆を施し装飾したものを『陶胎漆器』と言います。
奈良時代にほぼ消滅してしまったのですが、近年、実は徐々に広まっている技法で、全国各地で、様々な作家が活躍しているようです。
NHKの朝の連続テレビ小説『まれ』で紹介されて、話題になっています。(あれは輪島塗ですね。)
ご自宅が『まれ』での舞台の一つになっていた、大崎庄右ェ門さんとノリタケのコラボコレクション
輪島塗×Noritake 「陶胎漆器」コレクションが とてもすばらしいので、是非、ご覧になってみて下さい!
南さんの陶胎漆器の作品は、堤焼(針生和馬さん)の陶器に色漆を数十回塗り重ねて研ぎ出したものです。
いわば仙台の2つの伝統技法が融合した作品といえます。
(二人の作品は、「みやぎ伝統的工芸品/プロジェクト匠について」でご覧になってみて下さい。)
仙台堆朱は、仙台堆朱は、明治末期に宮城刑務所に招かれた新潟県村上堆朱の職人によって技術が普及され、耐熱・耐水性に優れた現在の仙台堆朱の基礎が確立されました。
一方堤焼は、17世紀末、第4代仙台藩主綱村公のときに城下町仙台を通る奥州街道の守りを兼ねて足軽侍達を堤町に住まわせ、その地で大量にとれる良質の粘土で彼らに器などを作らせたのが始まりといわれています。
粗く優れた地元の土を活かした素朴さと、黒と白の釉薬を豪快に流し掛けた"海鼠釉(なまこゆう)"が特徴で、昭和初期に堤町を訪れた民藝の父・柳宗悦にも 東北を代表する民窯として注目され、水甕などが高く評価されました。
2. 玉虫塗 東北工芸製作所
光の当たり方で色味や輝きが繊細に変化する仙台生まれの「玉虫塗」。
伝統的な下地を施した器に、銀粉やアルミニウム粉を蒔き、その上から染料を加えた透明な漆を吹き付けて仕上げます。
そのため、光の加減で色合いが微妙に変わり、その豊麗な色調がタマムシの羽根に似ていることからこの名が付けられました。
「玉虫塗」は、昭和7年、国が仙台に作った工芸指導所で誕生しました。
設立の目的は、日本工芸の近代化と、東北の産業を開発すること。
世界恐慌以降の東北は産業が疲弊し、貧困が社会問題となっていました。
産業の活性化のために着目したのが、当時海外から高い評価を受けていた日本各地の工芸・民芸品でした。
地域に根づく手工業の伝統技に光を当て、輸出を視野に入れた新しいモノ作りをしようという試みが始まり、その中で「玉虫塗」は生まれました。
東北工芸製作所は、昭和14(1939)年に玉虫塗の特許実施権を得て、その後、国内・海外向けに次々と新商品を製作し続けています。
2011年には、「戦国BASARA」「ジョジョの奇妙な冒険」など、話題のアニメとコラボレーションした玉虫塗の絵葉書を発表。
震災後は伝統工芸品としてただ飾るのではなく、くらしの中で自然に触れ、味わい、楽しむために生まれた新しいシリーズ「TOUCH CLASSIC」を展開して国内外の注目を集めています。
これまでの玉虫塗は朱色と緑がベースカラーでしたが、「TOUCH CLASSIC」は黒をベース。
黒は多様なライフスタイルになじみやすく、様々なシチュエーションに使えるという理由からです。
*http://atmarymead235.seesaa.net/article/447221507.html より
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