発行された当時はスルーしちゃったのを後悔。
今でギリギリ最初の発行から1年くらい(汗)
テレビでのスポーツ中継の映像製作における番組作りの経験値を語り尽くす一冊。
まず登場するスポーツがいちいち凄い。
箱根駅伝、世界陸上 東京(1991)、トヨタカップ、Jリーグ、WC、五輪、パラ etc…
当ブログが特に面白いと思ったのが、後半の【第3回】【第4回】の2章。
【第3回】「そこに音があるんだから」
~平昌オリンピック2018 の国際映像制作の現場~
経験値を買われ、平昌オリンピック2018 の映像製作にかかわった STV(札幌テレビ)
冬季オリンピック史上初、ジャンプの空中音を計16本のマイクで収録し放送。
ジャンプ台に実際にバーチャルでラインを照射し、競技をわかりやすく(こちらも初)
OBS(Olympic Broadcasting Services)から学んだ「良いスポーツ中継」のフィロソフィー
1. SPORTS ー 競技そのものが面白いこと
2. GOOD SHOT & SOUND ー 競技の迫力をテレビが倍増する
3. STORY TELLING ー 試合の流れや機微を見逃さない
4. NEW TECHNOLOGY ー 最新機器を投入し使いこなす
【第4回】「白いキャンバスに絵具を落とすように」
どういう意味かというと、この章はスポーツ中継のコメンテーターの姿勢を語る。
タイトルの意味は、ボクシング中継の事例。
瞬間瞬間に目の前で発生するコトをコメントし続けた結果、終了時には一枚の絵になるように、と。
他にも面白い表記が次々と…
・ゴルフ中継は歌舞伎の大向こうと同じ。見得がきまった瞬間に「成田屋!」と声を掛ける。
のべつ掛けていたら、邪魔になる(アウトオブプレイ、インプレイの減り張り。雄弁な沈黙)
・プロレス実況中継で成功した手法を他にも取り入れた結果、全体レベルが落ちた(的なことを言っている)
で傑作なのが名言集。
幾つかを引用してみる。
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だあ」(アテネ五輪2004 NHK 刈谷 富士男アナ)
「トリノのオリンピックの女神は、荒川 静かにキスをしました」(トリノ五輪2010 NHK同アナ)
「ここはカンプノウ。オールド・トラッフォードではありません」(CL決勝1999 バイエルン vs マンU)
特にラストのCL決勝は、まだ大逆転する直前にコメントで、2度目に同じコメントしたそう。
その2度目の時は何と!「ロスタイムに2点という奇跡が起こるのでしょか」と逆転を予言(汗)
結論:スポーツ中継を、映像製作からコメンテーターまで、ノウハウを一挙公開。