巣篭もりで、「監督」繋がりで連作を鑑賞、も良いなを実感した。
(ジェシカ・ハウスナー監督「リトル・ジョー」→「ルルドの泉」)
そこで一挙に、大御所 イングマール・ベルイマン特集に突入!
実は、これまでイングマール・ベルイマンはかなり観てきたはず。
ざっと挙げると、
「ファニーとアレクサンドル」「秋のソナタ」「沈黙」「ある結婚の風景」「魔笛」など
だが、よくよくみると、後期の作品が多いことに気づく。
特にモノクロ系の彼の作品で見逃しが多い。
で今回は、「野いちご」
先日みた「仮面 / ペルソナ」のようなショッキングな映像は登場しないが、こちらもなかなか。
一言にいうと、現在・過去・未来(死)体験する 老医師 の1日。
長年の功績が認められ、晴れがましい1日にもかかわらず…
飛行機で表彰式に向かうはずが、早朝に起き出した主人公はクルマで会場まで行く事を決意。
こちらに泊まりに来ていた息子の妻とともに、車を駆って出発する。
その車中で、息子の妻が陥っている苦境を知るとともに、息子に影響を与えてしまった自分を知る…
極め付けは、立ち寄った実家。
ここで 老医師 は若かった時代の幻想にとりつかれる。
自分のトラウマを引き起こした事件を傍観者として再現され、自分の過ちがその原因だと痛感させられる…
彼が貫いてきた「正しさ」が愛すべき人たちに惨めさを植え付けていたことに愕然とする…
その「正しさ」はベルイマンらしく、宗教とも紐づいたりしているので、なんとも厄介…
一方で家族での食事シーンがなんとも上流貴族的で「ファニーとアレクサンドル」を思い出した。
さらに物語が進むと、スムーズに悪夢にありがちな展開に(ていうか、その元祖か?)
姿は 老医師 のままにも関わらず、医学的なテストを受験させられ、全く歯が立たない…
黒板に書いてある字の意味さえ、理解できない…
そして有罪を宣告される主人公。
実に悪夢!(笑)
他にも「針が失われた時計」が「死」を予感させるモチーフとして効いていた。
そんな苦悩が続くが、ラスト、ほのかに主人公に「救い」が訪れる。
ここも、実にベルイマンらしいと思わせたエンディングだった。
ウディ・アレンのファイバリット・ムービーだそう。
確かに、一度でもう終わり、じゃなくて、何度と観たくなる魅力のある作品。
結論:ベルイマンモノクロ時代の大傑作。のちの映画作家たちに大きな影響を間違いなく与えている、と改めて確信(汗)
次は「第七の封印」の予定。
第一回「仮面 / ペルソナ」はコチラ