


一枚の画を二人で描くようなことは現代ではほとんどないと思うが、浮世絵では珍しくはない。
この豆本は広重と豊国の二人の「江戸自慢三十六興」「東都高名会席尽」「当勢十花撰」の三作品を収めたもので、各作品は広重が風景風物を、豊国が人物を描いている。
二人で書く場合にも二通りの形がある。左の「江戸自慢」のようにどこまでをどちらが描いたのか分らない形と、右の「会席尽」のように、景色と人物が別な形で描かれている形である。
どちらにしろ一枚で風景画・人物画の両方を楽しめるとあって江戸乃人には歓迎されていたようである。