江戸各地に百人の美女を配した作品で、豊国が美人図を、国久が景色を描いている。
図は「深川」で、多分深川芸者がこれから仕事にでようとしているところであろうか。
ところで二人の絵師が分担しているといっても、見る通り景色はほんの付けたし程度でこれれでは名所絵の中には入れにくかろう。師と弟子の関係では当然だろうが、この人物絵と景色絵の合作の場合、広重と豊国の対等のような関係でも、人物を手前に描けば景色は背景に過ぎなくなってしまい、広重は損な役回りといつも思うのだが。
この豆本では、二図入手不能で全九八図なので、江戸の地名を冠した、豊国の別作二図で百図にしてある。