さぁ、お正月ですが、お勉強モードの続きです。
そんな気分ではないという方、新しい年はバッハからスタートするのはいかがですか?
今年はベートーヴェン生誕250年ですが、J.S.バッハは生誕335年、フリーデマン・バッハは生誕310年。バッハたちのイベントはありませんが、そこそこ切りのいい数字です。お祝いしてあげましょう!
では、インヴェンションNo.1の2つのファクシミリ版を比較します。
前回は楽譜全体を載せただけなので、細かいところを見ていこうと思います。
(m.は小節を表します)
【リズム】
初稿
清書譜
基本になるリズムがこんなに違います。
Henle版の校訂報告には、清書譜の3連符はバッハが弟子にこのように変化をつけることができると提示したかったのだろうとあります。
Bäremreiter版は初稿とは別の形として考えるべきだと3連符のものも載せています。
清書譜を見ると3連符の音符を後で書き足した感じがします。音符が小さめで線も細めなので。
清書譜を書いた頃、バッハはケーテンのレオポルト公の下で宮廷楽長を務めるかたわら、多くの弟子を持ち教育活動も盛んでした。
3連符は一種のリズム変奏の例として書き加えたものと考えられます。旋律線の柔らかさや残響時間の短さも考えたのかもしれません。
ー・-・-・-・-・-・-・-
【音】
◈m.19
初稿
左手4拍目ウラの「B」がナチュラルで「H」になっています。これは明らかにミスです。本気で「H」にしたとしたら次に「C」に進行しているはずです。しかし次の音は「A」です。
また、「BAGF」「DCBA」をゼクエンツと見た時にも「B」が適していると思われます。
◈m.20
初稿
清書譜
左手の1拍目ウラからの音型が上行形から清書譜では下行形に変わっています。3回連続のほぼゼクエンツに書き直されています。
そのあとは音域が1オクターブ違います。これは、右手と大きく離れていて音域的に問題があるとみて清書譜で書き直されたと思われます。
◈最終小節
初稿
清書譜
初稿は左手が単音、清書譜はオクターブ。
これは面白いところです。
清書譜のオクターブはフェルマータがそう見えているのではないかと原典版では解釈し、どの版も単音になっています。
ここの部分は、はっきり言って清書譜はわかりにくい!見えない!
左横にアルペジォらしきものも書かれているので、実用版ではこの記号を付けているものがあります。
ー・-・-・-・-・-・-・-
【装飾音】
◈m.6
初稿
清書譜
右手4拍目のプラルトリラーが清書譜で書き加えられています。
この装飾音の奏法がゲルバー写本にあります。
(初稿の5、6小節目のバスにある書き加えられたような音は長男に説明するために書いたと思われます。ここで通常のカデンツならこう終止すると。Ⅵ度を経過した方が断然良いです。バッハのセンス、素晴らしい!)
◈m.20
初稿
清書譜
右手4拍目のプラルトリラー。初稿では書かれていますが清書譜ではよくわからない縦線があります。原典版でもここは書いていないものもあれば、小さく書いているものもあります。
各カデンツのプラルトリラーを見てみます。
m.6 初稿なし/清書譜あり
m.14 初稿あり/清書譜あり
m.20 初稿あり/清書譜?
構成の区切りであるカデンツは統一した方が良いと思われます。
全てプラルトリラーありと考えて良いと思います。
ー・-・-・-・-・-・-・-
以上が初稿と清書譜の違いです。
原典版を見ても疑問だったことが、なぜそうなのかファクシミリ版を見るとわかると思います。自筆譜自体が全て正確というわけではないからです。
改めて初稿の演奏をお楽しみください
そんな気分ではないという方、新しい年はバッハからスタートするのはいかがですか?
今年はベートーヴェン生誕250年ですが、J.S.バッハは生誕335年、フリーデマン・バッハは生誕310年。バッハたちのイベントはありませんが、そこそこ切りのいい数字です。お祝いしてあげましょう!
では、インヴェンションNo.1の2つのファクシミリ版を比較します。
前回は楽譜全体を載せただけなので、細かいところを見ていこうと思います。
(m.は小節を表します)
【リズム】
初稿
清書譜
基本になるリズムがこんなに違います。
Henle版の校訂報告には、清書譜の3連符はバッハが弟子にこのように変化をつけることができると提示したかったのだろうとあります。
Bäremreiter版は初稿とは別の形として考えるべきだと3連符のものも載せています。
清書譜を見ると3連符の音符を後で書き足した感じがします。音符が小さめで線も細めなので。
清書譜を書いた頃、バッハはケーテンのレオポルト公の下で宮廷楽長を務めるかたわら、多くの弟子を持ち教育活動も盛んでした。
3連符は一種のリズム変奏の例として書き加えたものと考えられます。旋律線の柔らかさや残響時間の短さも考えたのかもしれません。
ー・-・-・-・-・-・-・-
【音】
◈m.19
初稿
左手4拍目ウラの「B」がナチュラルで「H」になっています。これは明らかにミスです。本気で「H」にしたとしたら次に「C」に進行しているはずです。しかし次の音は「A」です。
また、「BAGF」「DCBA」をゼクエンツと見た時にも「B」が適していると思われます。
◈m.20
初稿
清書譜
左手の1拍目ウラからの音型が上行形から清書譜では下行形に変わっています。3回連続のほぼゼクエンツに書き直されています。
そのあとは音域が1オクターブ違います。これは、右手と大きく離れていて音域的に問題があるとみて清書譜で書き直されたと思われます。
◈最終小節
初稿
清書譜
初稿は左手が単音、清書譜はオクターブ。
これは面白いところです。
清書譜のオクターブはフェルマータがそう見えているのではないかと原典版では解釈し、どの版も単音になっています。
ここの部分は、はっきり言って清書譜はわかりにくい!見えない!
左横にアルペジォらしきものも書かれているので、実用版ではこの記号を付けているものがあります。
ー・-・-・-・-・-・-・-
【装飾音】
◈m.6
初稿
清書譜
右手4拍目のプラルトリラーが清書譜で書き加えられています。
この装飾音の奏法がゲルバー写本にあります。
(初稿の5、6小節目のバスにある書き加えられたような音は長男に説明するために書いたと思われます。ここで通常のカデンツならこう終止すると。Ⅵ度を経過した方が断然良いです。バッハのセンス、素晴らしい!)
◈m.20
初稿
清書譜
右手4拍目のプラルトリラー。初稿では書かれていますが清書譜ではよくわからない縦線があります。原典版でもここは書いていないものもあれば、小さく書いているものもあります。
各カデンツのプラルトリラーを見てみます。
m.6 初稿なし/清書譜あり
m.14 初稿あり/清書譜あり
m.20 初稿あり/清書譜?
構成の区切りであるカデンツは統一した方が良いと思われます。
全てプラルトリラーありと考えて良いと思います。
ー・-・-・-・-・-・-・-
以上が初稿と清書譜の違いです。
原典版を見ても疑問だったことが、なぜそうなのかファクシミリ版を見るとわかると思います。自筆譜自体が全て正確というわけではないからです。
改めて初稿の演奏をお楽しみください