インヴェンションNo.1を2つのファクシミリ版を基に、原典版・実用版と比べてきました。
楽譜を見ていると時々疑問に思うことに出合います。
「これ、ほんとに合ってるの?」と。
ひとつの曲でも色々な版があり違いがあるのはこれまで書いてきたようなことがあるからです。
自筆譜(ファクシミリ版)の段階で既に解釈が異なる事態が生じたり、何人かの弟子の書いた筆写譜がそれぞれ違かったり、よくわからない実用版を底本にした実用版が作られたり・・
何を資料にして作られたかが校訂報告に明記されている版でしたら信用して良いと思っています。少なくとも原典版にはそれは書かれています。
その校訂報告。英語、ドイツ語またはフランス語で書かれていることが多いです。
私が学生の頃はどの版も全て外国語でした。
しかし、現在はライセンス版なるものが存在し日本語で読むことができます。
パデレフスキー版の日本語が出現した時には驚きました。コルトー版もそうでした。
このライセンス版。なにかと申しますと、その出版社の古いバージョンを譲り受けたものです。譲り受けたは正しくないと思いますが、改定されたものができたので古いものはいらなくなったから使っていいよ、となったものです。使ってよい期間は定められている場合があります。そりゃそうです。心血を注いで新版を作ったのに永遠に古い版が発刊され続けていたら評判を落とします。
インヴェンションのライセンス版はベーレンライターとウィーン原典版があります。
ベーレンライターは、1971年版を全音とヤマハが2010年まで日本語訳で出版する契約を結びました。10年前に切れているので在庫のみです。
ウィーン原典版は元々ショット社とユニヴァ―サル・エディション社の共同版です。
音楽之友社が1970年版の旧版(校訂者:Edwin Ratz/Kari Heinz Füssel)と契約しています。現在、ウィーン原典版は新版のLeisinger校訂が主です。旧版はC-dur,E-dur,F-durの3曲を発刊しているのみです。
要するに日本語訳のあるライセンス版は本家の50年前の版であるということです。
そこをわかって使う必要があります。新版は2005年(ベーレンライター)、2007年(ウィーン原典版)に出ています。
長く新版が作られなかったヘンレは2015年に新版ができたようです。これは知りませんでした。先程調べたらそういうことになっていました・・
そういえば10年位前に、ヘンレが色々な作曲家の新しい版を作り始めたと読んだ記憶があります。
最新版の内容が大きく異なることはないと思いますが、新しい資料が出現して変わったところもあるわけです。指使いを考えた人が変わることもあります。
それでも校訂報告を日本語で読めるのは便利です。
ご興味のない方にはつまんないです・・という内容を10回にもわたり書かせていただきました。
お読みくださりありがとうございます。
実はこの「エディション研究」の内容は、学生の頃に必修の科目だったのです。もう30年以上前になります。
先生が学生に教えるものではなく、毎回学生が調べたものを90分授業で発表する形態で行われた授業でした。先生は発表後解釈のアドヴァイスをされました。
曲は年間で何をやるか決まっていて、それぞれ好きなものを選びました。
校訂報告を翻訳し、すべて手書きで書き、資料として皆が分かりやすいように作って配布しました。
生徒数が少なかったので年に2回発表した記憶があります。
この経験は今も大いに役立っています。自分で調べたり考えたりしたものを形にすること。わかりやすく伝えようとすること。
さて、今回のエディション研究はいったんこれで終了します。
手元にインヴェンションがあと数曲と、他の作曲家のものもあるので、いつかご紹介できたらと思います。
えーっ、また~?なんて言わないでください・・
生徒さんのためにも質の良い楽譜を選びたいと思いますので。
楽譜を見ていると時々疑問に思うことに出合います。
「これ、ほんとに合ってるの?」と。
ひとつの曲でも色々な版があり違いがあるのはこれまで書いてきたようなことがあるからです。
自筆譜(ファクシミリ版)の段階で既に解釈が異なる事態が生じたり、何人かの弟子の書いた筆写譜がそれぞれ違かったり、よくわからない実用版を底本にした実用版が作られたり・・
何を資料にして作られたかが校訂報告に明記されている版でしたら信用して良いと思っています。少なくとも原典版にはそれは書かれています。
その校訂報告。英語、ドイツ語またはフランス語で書かれていることが多いです。
私が学生の頃はどの版も全て外国語でした。
しかし、現在はライセンス版なるものが存在し日本語で読むことができます。
パデレフスキー版の日本語が出現した時には驚きました。コルトー版もそうでした。
このライセンス版。なにかと申しますと、その出版社の古いバージョンを譲り受けたものです。譲り受けたは正しくないと思いますが、改定されたものができたので古いものはいらなくなったから使っていいよ、となったものです。使ってよい期間は定められている場合があります。そりゃそうです。心血を注いで新版を作ったのに永遠に古い版が発刊され続けていたら評判を落とします。
インヴェンションのライセンス版はベーレンライターとウィーン原典版があります。
ベーレンライターは、1971年版を全音とヤマハが2010年まで日本語訳で出版する契約を結びました。10年前に切れているので在庫のみです。
ウィーン原典版は元々ショット社とユニヴァ―サル・エディション社の共同版です。
音楽之友社が1970年版の旧版(校訂者:Edwin Ratz/Kari Heinz Füssel)と契約しています。現在、ウィーン原典版は新版のLeisinger校訂が主です。旧版はC-dur,E-dur,F-durの3曲を発刊しているのみです。
要するに日本語訳のあるライセンス版は本家の50年前の版であるということです。
そこをわかって使う必要があります。新版は2005年(ベーレンライター)、2007年(ウィーン原典版)に出ています。
長く新版が作られなかったヘンレは2015年に新版ができたようです。これは知りませんでした。先程調べたらそういうことになっていました・・
そういえば10年位前に、ヘンレが色々な作曲家の新しい版を作り始めたと読んだ記憶があります。
最新版の内容が大きく異なることはないと思いますが、新しい資料が出現して変わったところもあるわけです。指使いを考えた人が変わることもあります。
それでも校訂報告を日本語で読めるのは便利です。
ご興味のない方にはつまんないです・・という内容を10回にもわたり書かせていただきました。
お読みくださりありがとうございます。
実はこの「エディション研究」の内容は、学生の頃に必修の科目だったのです。もう30年以上前になります。
先生が学生に教えるものではなく、毎回学生が調べたものを90分授業で発表する形態で行われた授業でした。先生は発表後解釈のアドヴァイスをされました。
曲は年間で何をやるか決まっていて、それぞれ好きなものを選びました。
校訂報告を翻訳し、すべて手書きで書き、資料として皆が分かりやすいように作って配布しました。
生徒数が少なかったので年に2回発表した記憶があります。
この経験は今も大いに役立っています。自分で調べたり考えたりしたものを形にすること。わかりやすく伝えようとすること。
さて、今回のエディション研究はいったんこれで終了します。
手元にインヴェンションがあと数曲と、他の作曲家のものもあるので、いつかご紹介できたらと思います。
えーっ、また~?なんて言わないでください・・
生徒さんのためにも質の良い楽譜を選びたいと思いますので。