おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

倍音

2020年01月22日 | 書籍紹介
「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」を読んでいます。

美術学部(美校)と音楽学部(音校)、それぞれの話が書かれています。
著者の奥様は藝大美術学部に通う学生さんだそうです。

この中で音楽創造環境科に通う口笛世界一に輝いた学生さんがこのような話をされています。

「口笛は基本的に倍音が出せません。・・中略・・これ、機械的に作った倍音なしの音です」
スマートフォンからその音を出し、「こういうブザーみたいな音です。凄く味気ない音なんですよね。サイン波っていうんですけど。口笛はどうしてもこういう音になっちゃうんです。単調で、高音寄りで・・・聞き手としては長時間聴きづらいんですよ」

倍音が出せないのは、どれくらい大きな欠点なんですか?

「うーん…教授には楽器として致命傷だよ、と言われちゃいましたけど・・」

「受話器を取った時のプーって音や、信号機のピヨピヨって音もみんな倍音のないサイン波なんですよね」


サイン波なんて知りませんでした・・
調べてみると三角関数と関係しているようで、サイン、コサイン、タンジェントなんてやりました。遠い昔に・・

これが音に関係しているとは全く知りませんでした。
数学の問題を解くためだけにあるのかと思っていました。

面白そうな論文を見つけました。
私にはチンプンカンプンで読んでもよくわからないところだらけですが・・
http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/KOUKAI/text-h18/Sound.pdf

この中にこのようなことが書かれています。

『はっきりした高さを持つ音を楽音、そうでない音を非楽音と呼ぶことにします。楽音には際立った特徴があります。それは波が周期的であるということです。』
『楽音は基準音とその倍音に分解できる。』

倍音がなければ楽音とは言えない、と言うことになるでしょうか。

電子ピアノはピアノの音に似せるために様々な波形を合成しているのだと思いますが、とても雑な言い方をすれば、音の高さを変えたブザーを88個並べたものと言えるかもしれません。鍵盤型ブザー?鍵盤型ピヨピヨ?

こんな言い方をしたら開発者に絶対に怒られますが・・

ピアノはただでさえ血の通った音にするのが難しい楽器なのに、それをはじめから放棄しているのが電子ピアノだと思います。

魂を何とか吹き込もうとイメージやテクニック、精神を総動員させる。気持ちを届けたいと思えばピアノは応えてくれます。

そういうものを知ってほしいと思うのです。

ブザーのプレハブ(間に合わせ)で音楽は感じられません。創造することも出来ません。

音が読めて、リズムが分かって、指がたくさん動かせる。
それは何のためにするのでしょう・・
それだけを教えるために私たちはいるのではありません。

ここのところをもっとピアノ指導者は発信していかなければいけないのかもしれません。何を目的にしているか。

コメント
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