リストが書いたショパン伝。
なんでも、ショパンが亡くなって最初に書かれたショパンの伝記はリストが書いたそうで、
誰よりも先にリストが書いたので、ショパンを知る他の人たちは書きづらくなったとか。
他の本にそのような事が書かれていたので、興味を持ち、
その本を読んでみることにしました。
まだ読んでいる途中ではありますが、既に、リストの教養の深さと言葉の表現力に圧倒されています。
単にショパンとの思い出を書いているのではありません。
ポロネーズやマズルカが、ポーランドの舞踊としてどのような存在だったのか。
ポロネーズに関しては、衣装まで細かく説明されています。
何かの解説書でポロネーズやマズルカについて調べるより、
この本でリストに教えて頂いた方が勉強になりそうです。
ポーランド人がどのような人柄なのかも書かれています。
そして、ショパンの音楽についての描写が上手い !
病的にまで高められた感受性の強さ
喜びを曇らせながらも悲しみを和らげる神秘の響き
など、この数十倍もの言葉がこの本にはあり、
リストが音楽のイメージを非常に具体的に持っていた人物であることが分かります。
生涯、ほぼピアノ曲しか作らなかったショパンですが、
その事についてリストは、
管楽器や弦楽器がいかに魅惑的であるか述べ、
本文を抜粋させていただきますが、
一見すると荒野のようでさえあるピアノ音楽の分野に身を尽くして、
その痩せた土壌に望むべくもないほどの豊穣な花々を咲かせるまでには、
どれほどの才能と情熱が必要とされたことか !
と、書いています。
ほぼピアノ曲しか書かなかったショパンを
このように捉えるリスト。
ショパンの才能を目の当たりにした人物でなくては
書けない言葉。
ショパンを知り、リストを知り、音楽家の人柄と知性に触れられる本です。
歴史に名を残す人はやはり違うな、と実感。
そのような人たちが作った音楽を演奏しているのだと、恐れ多さも感じます。