昨年9月の最終週からピアノを始めた年中の男の子がいます。
ご両親はヨーロッパの方です。
お父様のお国にはアリシア・デ・ラローチャという素晴らしいピアニストがいました。お母様のお国には、クララ・ハスキル、ラドゥ・ルプーというこれまた素晴らし過ぎなピアニストがいました。
今年の3月に、その生徒さんが通っている教室の発表会があります。
これまで7月に始めて翌年3月の発表会に参加された就学前の生徒さんはおりました。それでも私は、参加はあと1年待ってほしいと思っておりました。
今回の新しい生徒さん。
とーぜん私は、見送ってほしいと思っておりましたし、見送って頂くつもりでおりました。
ところが、お母様が
「でます!」
おっ、海外の方なのであり得るなと思っておりましたが、あり得ました。
それで私は、連弾と言って、私と一緒に弾くことになると思いますが、まだテンポが感じ取れないので一緒に弾くこともできない状態です、と言うと、
「知ってます!出たいです」
こ、これは・・
日本人は習い始めて1年に満たないと、大体翌年に参加という話になります。曲の準備が出来そうな生徒さんには、大丈夫だと思いますよと話しますが、それでも見送るご家庭は珍しくありません。
そして、参加申し込みを済まされてしまったので、やるしかなくなりました。
曲目を提出するにも決められず、教本の名前を書くことにしました。
生徒さん本人は、自分が何をするかわかっていないのですが、レッスンに集中してとにかく曲を覚えなければいけません。
結局、2曲は覚えられそうでしたのでそれに決めましたが、曲が短いので1分くらいで終わってしまいます。
こ・これでは楽しみにしているご両親がガッカリしてしまうかも・・
と思い、あと1曲なんとか覚えてもらおうと、伴奏が綺麗な「スケールワルツ」にしようとしましたら、本人が気に入らずでボツ・・
もうこのカッコイイ曲を覚えてもらうしかない!と、ロシアの教本に載っているリストのハンガリー狂詩曲第2番のモチーフを使った曲にチャレンジすることにしました。
普段のこの生徒さんの集中力から考えると、この半音を含む曲は複雑で「やりたくなーい」になる可能性大でした。
ところが、絵に助けられました。
この子はなんで水に足を入れているのかと訊いてきました。
説明すると、〇〇くんはそんなことしたことない、と。
雨の日に水が溜まっている所に足を突っ込んだことない?
と訊くと、「あっ、ある」「ズボンがきたなくなる」と。
この子は「ズボンがきたなくなるのに、なんでやってるの?」と。
「みんなにげてる」と生徒さん。
良い所に気付きました。
この絵のおかげで、この曲に一気に興味が湧いたようで、今日は4小節覚えました。
今日はお父様がいらしていたので、他の2曲を含め最後に部屋に入って聴いて頂きました。
まだ覚えたてで、すらすら弾けませんが、それでも「よく覚えた!スゴイよ、〇くん」と大拍手&Baiserの嵐。
本人もとても、とても嬉しそうでした。
褒め方のレベルが違うな、と思ったのでした。
ダイナミック
リストの曲は、これから手の交差があるのでどうなるか分かりませんが、何とかなりそうに思います。
そして、良い音で弾くこと。
このことは「不思議な音の国」でどのように音を鳴らすかをしているので、出来ると思います。それに、根元から太くて真っ直ぐな指をしているので、上から腕を下ろせれば良い音が出せます。
さらに踊っているような音楽にまで達することができたら、最高です!