おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

不思議な音の国、素晴らしすぎ !

2019年10月21日 | 不思議な音の国
この教本、本気で使ってこそ、その素晴らしさが実感できると思います。

4歳半くらいでピアノを始めた生徒さんたち。
去年から始めた生徒さんは全員この教本です。これ1冊です。

はじめは時間がかかります。身体の意識もはっきりしないので、手首だの指先だのやっても感覚がわかりません。

体操のようになるか動かせないかのどちらかになることが多いと思います。
身体の動きは全て音を聴いてこそです。
どんな響きになっているか、どんな伸び方をしているか、どう響かせたいか。

しかしそんな事、ピアノを始めたばかりの小さな子供にはわかりません。
しかもご自宅では電子楽器を使っています。

ここで諦めたり、初めから試みなかったりしては1年後、1年4カ月後(細かいっ)の彼女たちはいないのです。

私も無理なのかなと途中で何度も思いました。
年長や小学生と違い、身体自体が出来上がっていないので指先も手首も上手く使えない。
ただ、変な癖がついていないこと、腕全体を動かせる大きな動きができること。これはたいへんな長所です。

そして、小さいわりに集中力があったことにも助けられました。
もちろん同じことを何度もしたり聞いたりはできません。
せいぜい3回が限度です。フォルマシオンミュジカルやグネーシンを織りまぜ、聞き覚えの曲を入れたりして進めてきました。
それからこの教本自体にも集中できる魅力があるのだと思います。
登場人物やちょっとした出来事がそれを作り出してくれています。

小さな子供たちは上巻を終えるのに1年はかかります。
私は元々初級に時間をかけるので気にはしていませんが、ノンレガートだけで1年過ごさせたことはないのでこれでどうなるかは未知でした。

しかし1年数ヵ月経って彼女たちの音が音楽を表現できる音になっていることの驚き。

はじめは皆にピアノ本来の音が鳴らせるようになってほしいと、それだけの想いでこのメソッドを始めました。
しかし「不思議な音の国」はそれ以上の世界に導いてくれました。

不思議な音の国下巻に1年半近くかかった生徒たちも音楽が求めているそれぞれの場面に合った音を造り出すことができてきています。
それは耳が育っているから、そしてテクニックが育っているからです。
何のためにどう身体を使うか、その目的を理解しているからです。

初期の段階でこのようにピアノを習うことが今の日本ではできるのです。
しかも選ばれた子供たちにではなく。(教える側が勉強することが唯一の条件です)
それを可能にする教本です。

趣味として芸術をたしなめるとは贅沢! 



コメント
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