おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

遊藝黒白 第3巻 #2「作曲家の意図は、すべて楽譜に!」

2019年10月27日 | 書籍紹介
ジャン=エフラム・バヴゼというフランスのピアニストはご存知ですか?

私は知りませんでした・・

サンカンの最後の弟子のおひとりだそうで。
あのルヴィエがなかなか師事できず、8年待ってやっと習うことができたサンカンです。

ルヴィエやロジェ、ベロフの年代が奏法の転換期で、その頃に既に重力を使い身体をどう使うかを熟知していたサンカン。
バヴゼはルヴィエらとは一回りくらい年齢が下です。

バルトーク、プロコフィエフ、ラヴェル、ドビュッシーを得意とするほか、現代音楽にも意欲的に取り組んでいるそうです。

子供の頃、電子音楽を研究していたメシアス・マイグアシュカというシュトックハウゼンの助手に大きな影響を受けたそうです。

「音とは何か」を明確に分析して教えてくれたそうで、音は、音色・音の高さ・音の長さ・音量・音の方向、この5つの要素から構成されているとのこと。そのことを知らない音楽家が多いことに驚いたそうです。

ほー、とーぜん私も知りませんでした。
考えたこともありませんでした。

子供の頃の出会いは将来に大きな影響を与えるものだなとこの本を読んでいるとそれを強く感じます。

電子音楽を学ぶまで音を聴くことはできても音とは何かを知らなかった。
サンカンに学ぶまでピアノを弾くことができてもピアノ演奏とは何かを知らなかった。

サンカンはどのように身体を使うべきか教え、内から外からピアノを演奏するとはどういうことか理解させ、知的アプローチをさせてくれたそうです。

サンカンの指導の優れていたところを一言で言い表しています。
こんなピアノ指導者になれたらと思います。

パリコンセルヴァトワールがジュリアードのシャンドールを客員教授に招き、バルトークの最後の弟子である彼とバルトークの作品について語り合い、その後も親しく付き合うことができたそうです。

シャンドールとサンカンはすぐに意気投合したとのこと。
2人とも古き良き時代のヨーロッパの貴族のような雰囲気を持っていて、立ち居振る舞いが優雅でわざとらしさがなく極めて自然だったそうです。

いや~、私の奏法の旅はシャンドールから始まりましたので、サンカンとシャンドールが意気投合したことはなんだか嬉しいです。

シャンドールを知ったのは、それしかなくて借りただけのバルトークのピアノソロ作品がたっぷり録音されたCDを聴いたことです。
どんな曲か知りたいだけだったのですが、演奏が素晴らしく、返してはまた聴きたくなり度々図書館から借りておりました。

その数年後、偶然にシャンドールのピアノ奏法の本を見かけ、確かあのバルトークのピアニスト!と思い即座に購入し速攻読みました。
この本のおかげで随分楽に弾けるようになりました。
ただ、写真で解説されているので十分に理解はできていませんでした。

何か足りないと思っていたものを解決してくれたのがロシアンメソッドです。
わかってみたら自分が教えていただいていたのに理解できていなかったことだと気付いたのでした。
これまでのことがピーと繋がりました。

話が逸れました・・

サンカンの人柄についても書かれていて、一回り上のピアニストたちとは異なることが書かれています。サンカンの年齢的なこともあるかもしれませんが人によって印象は異なるものだと思いました。

2台ピアノでの共演が多かったゾルタン・コチシュの驚くべき能力の話もあり、多くのピアニストがコチシュが凄いと言っていますがその偉大さの一つを知りました。

バヴゼさん、手を痛めていたことがあるそうで、それはサンカンの指導が間違っていたのではなく使い過ぎだったようです。
心理的なことと複合して起きたようで、その理学療法の先生と、アメリカに行くたびにアドヴァイスを受けていたロシアのピアニスト、アレクサンダー・エデルマンとサンカンからの教えが、ある日突然結びつき自分は正しい道を歩んでいると感じ、それでこの故障を克服できたそうです。

バヴゼさん、言葉の表現が美しいです。
この方のレッスンを受けたらインスピレーションを受けられそうです。

コメント
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