おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

予習しておきます~ツィメルマン編~

2019年10月16日 | コンサート情報
クリスティアン・ツィメルマンの室内楽のコンサートがあります。
ツィメルマンのコンサートはソロのリサイタルしか聴いたことがないので楽しみにしています。

ツィメルマンの音楽の原点は室内楽のようです。

子供の頃、お父様が仕事が終わった後に職場の仲間たちに楽器を持ち寄って我が家で演奏しようと呼びかけていたのだそうです。
お父様は音楽家だったそうですが音楽では食べていくことができないので工場で働いていらしたそうです。

ツィメルマンは家に皆が集まって演奏することをいつも楽しみにしていたそうです。
学校から帰るとあと何分と時計を見ながら待ち構えていたと。
ピアノの状態を確かめたり、何を演奏するのかと予想をしたり一日中彼らの演奏を待っていたのだそうです。

ツィメルマンが子供の頃は公園に不発弾が残っていたり、テレビもなく、たとえ見られたとしてもニュース番組や戦争映画だけで誰も見たいと思うようなものではなかったと。

ツィメルマンはその頃はまだピアノは弾けませんでしたが、鍵盤ハーモニカは何とか弾けるようになっていて誰かが来られないときは代わりにそのパートを鍵盤ハーモニカで演奏したのだそうです。ヴィオラのパートだったりチェロだったり。

楽譜はまだ読めなかったそうですがそれぞれのパートをどのように演奏すべきかはわかっていたと言います。
そのようなことをしているうちに自然に楽譜が読めるようになり、調号や楽語も覚えていったのだそうです。

この経験が室内楽の演奏の妙味を教えてくれたのだそうです。
16年間もこのような経験を積んだそうで。

この時期に得た一番大きなことは音楽への情熱だと。
彼らにとって音楽は人生の中でもっとも大切なもので、毎日演奏することを待ち望みひとたび楽器を持って楽譜に向かうと、それさえあれば食べ物もいらないというくらいだったと。

音楽に対して誠実な心を持った人たちに囲まれて育ったことは幸福なことだったと言っています。

ひとつツィメルマンの話で面白いことがあります。
これは音楽家になってからの話ですが、ある日ルトスワフスキに彼のピアノ協奏曲をどう弾いてほしいか尋ねたのだそうです。そうしましたら、
「そんなこと知らないよ。私は自分の協奏曲がどんなふうに発展するかに興味があるだけなんだ。この曲は子供のようなもので、私は命を与えただけで束縛することはできない。彼は自分で発展し、成長し、自分の人生を歩んでいかなければならないのだから・・」と。

焦さんの遊藝黒白に書かれています。
本当にこの本は面白いです。
コメント
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