少し前にはやった話題の絵本です。
「はじめてのおつかい」
筒井頼子 作
林 明子 絵
「はじめてのおつかい」をテーマとしたテレビ番組なんかもありましたよね。
小さい子がドキドキしながら、一人でお母さんに頼まれた仕事をやり遂げようとするのがかわいかったな~。
絵本の内容は題名の通り。
5歳の「みいちゃん」は忙しいお母さんに頼まれて、一人で牛乳を買いに行くことになりました。
近くのお店ですが、初めて一人で外を歩くみいちゃんには、ドキドキがいっぱい!
風のように通り過ぎる自転車にドキッとし、お友達に会ってちょっぴり得意になっちゃったり、転んでお金を落として泣きそうになったり。
ようやくお店に着きましたが、だれも小さなみいちゃんに気がついてくれません。
後から来た大人の人がどんどんみいちゃんより先に用事を済ませていきます。
そのうちに、お店のおばさんが気がついて、ようやく牛乳を買うことができました。
おばさんは「まあ まあ、小さなお客さん。気がつかなくてごめんなさいね。」とあやまってくれました。
みいちゃんの目から涙が一つこぼれ落ちました。
牛乳をもらいお金を払うと、みいちゃんは、早く帰ろうとお店を飛び出します。
お店のおばさんが後ろから追いかけてきました。
みいちゃん、おつりをもらうのを忘れていたのです。
おつりをもらって一安心。
家の近くまで来ると、お母さんが待っていてくれました。
* * * * * *
ブラジルで子育てをしている方はみんなそうでしょうが、私は娘が8歳になるまで、一人で買い物をさせてことがありませんでした。
まず、子どもが一人で買い物に出るということなど考えられないですしね。
スーパーなどに連れて行っても、欲しいものを持ってこさせて、私が払っちゃう。
うちの娘が一人で買い物をしたのは、マナウスに引っ越してきてから。
最初に通ったラサール校は高校まで(現在は大学まで)ある大きな学校で、校内に購買コーナーや軽食コーナーがありました。
リオのときは小学校のみの小さな学校だったので、毎日おやつを持たせていましたが、せっかく軽食コーナーがあるのだから、今度は自分でお金を持って買い物をさせてみようと思い、お小遣いを渡して毎日のおやつはその中から買わせることにしました。
お小遣い帳もきちんとつけてね。
でも、はじめの2,3日で何かおかしいことに気がつきました。
お金が足りないのよ。
買い物と残高が合わないの。
よくよく調べてみたら...
むすめ、おつりを受け取ってなかった。
母としては、結構ショックだったわよ。
お釣りって物がわからなかったのね。
いくら算数ができても仕方がありません。
生活経験って偉大なんだな~っ、子どもって大人が当たり前と思っていることでも教えてあげなくちゃいけないんだな~ってひしひしと感じました。
すっごく反省しましたよ、母として 大人として。
* * * * *
あっ、もう一つ、思い出深いことが...
リオで仕事をしていたときに、毎年何人かの日本人のお子さんを連れて動物園へ行くということがありました。
で、動物園のおみやげ物やさんで自分でお買い物させるの。
7歳8歳の子どもたち。
もちろん一人で買い物するのは初めて。
あらかじめお店のほうに事情を話して、時間がかかっても許してもらうことにして、おうちの方にはできるだけ細かいお金を持たせてくれるよう頼んで、子どもたちには買い物をするときのポルトガル語を教えたり、自分の持っているお金で買える範囲の値段を考えさせたり...
お店の品物の値段を見て、子どもに持たせても問題ないぐらいのお小遣いの額を決めるのも結構大変だったな~。
さて、動物園訪問当日。
一通り動物を見て、最後におみやげ物やさんに。
子どもたち、緊張してお財布を握り締めながら品物を選んでいました。
レジには同行の大人が一人付いて、おつりの間違いがないかどうかチェックしてね。
リオの動物園はあまり治安が良いとはいえないところにあるので、園内で安全とはいえ、そういう点で大人のほうがドキドキしました。
後日、子どもたちに感想を尋ねると、みんながみんな、見てきた動物のことよりも、一人で買い物をしてきたことについて話していました。
企画した私たちも、送り出した親御さんたちも、そして当の子どもたちもみんなそれぞれドキドキした経験でした。
今、この絵本のことを書いていて、ひょいと思い出しました。
思い出したら、懐かしくて涙が出てきそうだ。
初めて何かをするときの、わくわく、ドキドキの子どもの顔って、本当に素敵ですよね!