浅田次郎と軽井沢

2013年04月08日 | 健康・病気

昨日、私は午後からの出勤だったので午前11時半過ぎに御代田図書館に行った。
「等伯」上下巻を返却するためです。
そして、「夕映え天使」(浅田次郎著 新潮社刊)と
「柚子は九年で」(葉室麟著 西日本新聞社刊)を借りてきた。
「夕映え天使」は短い小説が6編入った短編集です。
「柚子は九年で」は、葉室麟著のエッセイ集でした。
夜、「夕映え天使」を読んでみた。

50代の一郎と、その父親がやっているひなびた商店街の中華料理屋。
そこにおととしの夏、わけありの女がラーメンを食べにきた。
他の客が帰るのを見計らってこういった。
「あのう、住み込みで雇っていただけませんか」
「あいにくだけど、手は足りてるんだ」
「少しの間でいいんです。ご迷惑はおかけしませんから」
その日から純子という名の女は、昭和軒で働くようになった。
一郎は20年前、上野のキャバレーの女と籍を入れたが、
1週間で逃げられ、兄と名乗るやくざ者におふくろの香典までをふんだくられた。
純子は半年の間かいがいしく働き、川開きの花火みたいに華やかなおしゃべりをし、
笑顔をふりまいていたが、ある日消えた。

新年早々、軽井沢警察署から電話がかかってきた。
昨年の11月30日に発見された身元不明者についての照会です、ということだった。
ここで私は、いきなり軽井沢かよ、と思った。
その女が、昭和軒のマッチを持っていたので警察は、電話をかけてきたようだ。
「軽井沢でよ、高校のダチが交通事故を起こしたんだと。意識不明だからすぐこいって」
一郎は父親にそんな下手なウソをいって、新幹線で軽井沢に行った。

一郎が軽井沢の駅に着くと小雪が舞っていた。
タクシーに乗ろうとしたら、貸自転車屋の看板が目に入った。
それで一郎は自転車を借りるんだけど、
あのレンタル自転車は夏のときだけの営業じゃないかな?
ま、客が貸してくれといえば貸すのだろうが、
冬の間は営業していないと思うのだけど、どうなんだろう?
> 国道の長い下り坂を走るうちに、冬空からふいに雲がはらわれて、
> 午後の光を満身に浴びた浅間山が姿を現した。
という文章があるんだが、軽井沢駅から軽井沢警察署までは平坦な道路です。
そのあとの小説の展開から考えて坂道にする必要はないと思う。
なんで浅田次郎は、“駅から警察署までの道路を坂道”にしたんだろう?
なんてことを、21日の中軽井沢図書館開館記念講演で質問したいけれど、
私は“落選”しているので行けない。

軽井沢警察署に行くと、大阪のうどん屋の男がいた。
どうも話を聞くと、一郎の昭和軒を出て行ってから女が働いた店のようだった。
ちよ子という名前で働いていたらしい。
女は、去年の11月30日、千ヶ滝の山中で首を吊っていた。
一郎と大阪のうどん屋の男は、警察からその女の発見されたことを説明され、
調書に署名と指印をして警察を出た。
過去に同じ女に淡い夢を抱いた男2人が、軽井沢駅まで歩いていく。
大阪のうどん屋の男がいう。
「どうしてまた軽井沢なんやろ」
「何となく幸せな感じがするからだろ」

コメント
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